和の伝統美と洋のモダンが融け合う 平屋の家
[愛知県一宮市 Hさま邸]
おおらかな寄棟屋根にセラミックの外壁やアルミ格子が調和し、気品を醸し出すHさま邸。2台分のビルトインガレージが母屋と流れるように連なり、美しいフォルムを形成しています。純和風だった以前のお住まいをモダンに再現したこの端正な平屋は、強靱な構造を持つ鉄骨ラーメン構造のハイブリッド住宅。
「昭和初期に建てられた古い家に父亡き後、母が一人で暮らしていましたが、老朽化が進み、耐震性も心配でした。それで高齢の母が安心して快適に暮らせるよう、地震や火災にも強いハイブリッド住宅に建て替えることにしたのです」と隣家に住むご子息のHさまは語ります。
Hさま邸を訪れた客人が最初に感嘆するのが、目を見張る広さの玄関ホールでしょう。三和土にはタイルで「H」のイニシャルが描かれ、ペイズリー柄のエレガントな壁クロスと相まって瀟洒なホールのよう。
リビングのサッシの外に設けられたインナーテラスはもうひとつの憩いの場。アルミの縦格子壁で外からの視線も気になりません。
洋間と二間続きになった15畳大の和室にもこだわりが反映されていました。障子の外に11メートルにわたって走るM‐Wood(エムウッド)デッキは深い軒下に守られ、お寺の広い濡れ縁さながら。
縁側に座って灯籠や踏み石が美しく配置された和風庭園を眺めていると、豊かな時間が流れ、心が癒されます。
また、法事などで20人以上のご親族が集まることもあり、二間続きのこの間取りは大変重宝されているそうです。
「以前の家と極力変わらない間取りにしてもらったので、高齢の母も戸惑うことなく快適に暮らせて喜んでいます。良い親孝行ができました」と顔をほころばせるHさまです。
好きなだけ音楽に没頭できるスタジオギタリスト・作曲家春畑道哉さん
魔法が重なって曲が成長
Gスタジオ
パソコンやレコーディング機材が置かれたコントロールルーム。渋いグリーンの壁が落ち着いた雰囲気を醸し出している。
人気バンド、TUBEの名ギタリストであり、メロディメーカーとしても活躍する春畑道哉さんの好きな場所は、東京の六本木にある「Gスタジオ」。TUBEのメンバーのためにつくられた レコーディングスタジオだ。地下にあるコントロールルームは、ガラス壁で広いブースとつながっていて、いつでも思い立ったときに演奏や録音ができる。
「レコーディング以外にも、アンプやドラムの音を確かめたり、アイデアの試し弾きやアレンジをしてみたり、好きなだけ音楽に没頭していられるのがうれしくて。メンバーは全員、時間があるとしょっちゅうここに集まっています」
「ツアーに出ているとき以外は、ほとんどこのスタジオにいますね。今は新しいソロ・アルバムの制作に没頭する毎日です」と春畑さん。
デビューして30年。「家族よりも長く一緒にいる4人」だから、あうんの呼吸で曲づくりが始まり、きたんなく意見を出し合える。
「納得がいくまで無限に音楽に向き合ってしまうので、お昼に来たのに、気がつくと深夜になっていることもあり、たまにやり過ぎを反省するんですけれどね(笑)」
春畑さんにとって、このスタジオは「FIND MY PLACE」。精神的にも落ち着ける自分の居場所を見つけた思いなのだ。
飛行機の窓から雲を眺めたり、バイクでツーリングしているときに、ふとメロディが浮かぶことが多いという春畑さん。そうしたひらめきをメモしておいて、このスタジオで曲の形に仕上げていく。
「けれど、決して僕の予想通りにはなりません。ここでドラムやベースが入った瞬間に変化し、歌詞でまた変わるなど、マジックが積み重なって曲が成長していくんです。完成してみて、自分でも『こうなったのか!』と驚きます」
お風呂で星空を眺めて憩う
2002年に日本人で初めてFENDER USA社との専属契約を結んだ春畑さん。愛器はフェンダーの名器、ストラトキャスター。
プライベートでも音楽漬けは変わらない。13年前に新築した自宅にも本格的な地下スタジオがあり、憩いのリビングには壁一面に数十本ものギターが並ぶ。大事なギターは倉庫に預けず、すぐに弾けるようにしておきたいのだそうだ。
もうひとつ、多忙な春畑さんがホッとリラックスできるお気に入りの場所がある。それはガラス張りの天井から空が広がるお風呂。
「小さい頃から宇宙が好きだったので、夜空を見上げながらくつろぐひとときは至福ですね。湯船に寝そべって、美しくまたたく星や月の動きを眺めていると、心身が癒されていく気がします」
コントロールルームからガラス越しにブースが見える。ドラムもベースもギターもボーカルも同じ場所で録音できるから、一体感がほしい曲のときは一発録りをすることも多い。
こんな時間からきらめく感性が育まれ、豊かな泉となって春畑さんの中から新たな音楽が湧き出してくるのだろう。
春畑 道哉 (はるはた みちや)
1966年東京都生まれ。小学校時代からピアノを習い始め、中学時代にバンド活動に参加。高校入学と同時にエレキギターを手にし、84年にビーイング主催の「シルクロード音楽祭」で「ベストギタリスト賞」に輝く。その後TUBEを結成し、ギタリスト・作曲家として活躍。ソロ作品としてJリーグのテーマソングをはじめ、多数の楽曲がTV・CMで起用されている。2012年には、ソロ・アルバム「FIND MY PLACE」(ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ)がリリース。
エアコンに頼り過ぎない、暑さの賢い乗り切り方
体にも家計にも環境にも優しい?天然素材の"すだれ"と"よしず"
ここ数年、エアコンに頼らずに涼をとる方法がいろいろと紹介され、実践されています。ツル性植物を利用したグリーンカーテンなどもその一つですが、もっと手軽に取り入れられるのが"すだれ"や"よしず"です。見た目にも風情ある"すだれ・よしず"で、暑い夏を乗り切りましょう。
"すだれ"と"よしず"、その特徴
"すだれ"と"よしず"、具体的にどう違うのでしょう? 簾(すだれ)は、主に細く割った竹を原料とし、一本ずつ糸で編んでシート状にし、室外の軒下などに吊るします。もう一方の葦簀(よしず)は、2~3メートルの葦(あし)を棕櫚糸(しゅろいと)で結びつなげ、軒下やベランダの掃き出し窓に立てかけて使います。
いずれも、直射日光や人目を遮る、カーテンやブラインドと同じ役割を果たします。カーテンやブラインドより優れているのは、風をよく通すこと。エアコンが苦手な人には、強い味方でしょう。
また、ブラインドやカーテンと違って室外に設置するため、室内に熱がこもらないないというメリットがあります。日除けとして利用される物は、直射日光が当たるため熱を帯び、室内にあれば室内に熱を放射します。室外に設置したすだれやよしずなら、その心配がありません。窓を閉めてエアコンをつける場合も、冷房効率が良いというわけです。
設置時・設置後の涼感UPポイント
"よしず"は大きいので、買った店から運ぶのは大変かもしれませんが、設置は立てかけるだけなので簡単です。窓に近づけすぎず、斜めに立てかけて開口部を大きくすると、風通しがさらに良くなります。設置後は、水をまくと室内に入る風の温度が2度ほど下がります。近くに植物を置いても、葉から水分が蒸散することで周囲の温度が下がるそうです。
なお、外の気温が室内よりも低くなる夕方以降は、よしずを畳んだ方が涼しいとのことです。
"すだれ"も、窓から数十センチ離して取り付ければ風通しは抜群です。室外に掛ける場所がなく、カーテンレールを利用して室内に掛けた場合でも、素材が金属ではないため、ブラインドより部屋の中が暑くなりにくいそうです。
実際に室温が下がるだけでなく、見た目にも風情があって涼しげな"すだれ"や"よしず"。さらに風鈴を吊るし、かき氷を食べ、五感で涼しさを感じるのも乙ではないでしょうか?
空中廊下がつなぐ、個性豊かな住空間
[北海道帯広市 Kさま邸]
移動する都度、あちこちに視線が抜け、素敵な眺めが頁をめくるように展開する。既成概念にとらわれない設計デザインで、そんな心ときめく暮らしを叶えたKさま邸。
階段ホールを中心に、リビングとダイニングキッチンが振り分けられ、階段ホールの両サイドの戸外には、アウトドアリビングとしても使えるテラスが配されています。
リビングは南面に大きく取った窓から陽光が差し込み、開放感いっぱい。
見上げると寝室と書斎をつなぐ空中廊下が走り、ボーダータイルを縦に貼ったシックな壁面が吹き抜けの大空間に気品を生み出しています。
「他にはない洗練されたデザインの家にしたくて、センチュリーデザインオフィスの建築士である玉木大樹さんに設計をお願いしたら、こんな個性豊かな住空間を創り出してもらえたのです。建築家って芸術家なんだと実感しました」とKさま。
コンセプトは「ヴィラ」。利便性の追求だけでは得られない、いわば非日常から生まれる贅沢感を味わうため、あえて非効率な動線にして眺めを楽しむ設計も採り入れています。
たとえばリビングから、そのすぐ上に見える書斎に行くにも、階段を上がって長い空中廊下を歩き、寝室を通り抜け、さらに別の空中廊下を歩いて到着するというふうに。この動線で「誰にも邪魔されない隠れ家のような書斎を」というKさまの願いも叶えました。
「大人ゾーンと子どもゾーンをうまく分けてつくってもらえたので、リビングは生活感のない雰囲気にできました。シャンデリアの灯りが美しい夜の雰囲気も素敵です。リビングからキッチンが目に入らないので、家事を忘れて100%くつろげるのがうれしくて」と奥さまもお喜びのご様子。日常を離れて心豊かな時間を楽しめる贅沢な暮らしがここにありました。
猛暑を快適に過ごす10の工夫 - 風通しをよく -
できるだけ冷房に頼らず、涼しく暮らせる住まいに。
日本の夏も年々暑さが増して感じられます。
暑いからと、冷房を強くするばかりでは、健康にもよくありません。
今回は住まいの中で、涼しく過ごせる工夫‐10のポイントを整理してご紹介します。
冷房病から解放され、寝苦しい夜も快適に。
さあ、できることから始めてみませんか。
住まいに風を招き、室内に風の道をつくりましょう。
高温多湿な日本の夏を涼しく過ごすには、何より風の利用が大切です。
室内にたまった熱気を風が外へ逃がし、また、空気のそよぎが肌に触れることで、体感温度が下がる効果もあります。
住まいの中に風の通り道をつくるためには、家具などモノの配置にも気をつけたいもの。
まず、邪魔なモノはできるだけ片づけ、空間をすっきりさせましょう。
工夫その1 夏の風向きを知って2方向の開口を意識
日本の場合、夏はほとんどの地域が、南から風が吹いてきますが、大阪は西からなど、地域によって微妙に異なります。まず、自分の住んでいる場所の風向きを知ることが大切です。長年住み慣れた住まいであれば、風の入ってくる方向は体感的にわかってくるものですが、分からない場合には、気象庁のホームページなどでチェックしてみましょう。 そのうえで、風の入口と出口にあたる2方向の開口が確保されているか確認。風の通り道をふさがないように注意します。1階掃き出し窓のすぐ外やベランダに扇風機を置くと、室内に効率的に外気を送り込めます。
工夫その2 できるだけ風を通すアイテムを採用
住まいに上手に風を通すには、窓を開け放つのが一番。でも、住宅の密集する都市部では、プライバシーの問題や防犯面も気になるところです。そこで通風・採光機能のついたシャッターがおすすめ。また、窓だけでなく広い開口部である玄関や勝手口を開け放つと、大きな風の通り道をつくることができます。積極的に活用しましょう。
通風・採光シャッター
ブラインド機能のあるシャッターなら、おろした状態のまま、スリットの調節次第で室内に爽やかな風や柔らかな光を取り込めます。人目も気にならず、防犯上も安心感があります。
玄関網戸・ドア
多彩なサイズのドアに取り付け可能なアコーデオン式の網戸。玄関や勝手口につけて、窓のような風の通り道に。必要ないときは、コンパクトに収納できます。
中央のガラス羽根板の上下で風をとり込める採風玄関ドアもおすすめです。
欄間ドア
室内ドアの上部に欄間ドアをつけると、プライバシーを確保しながら、通風を確保できます。天井付近の熱気を動かし、ふく射熱による不快感を解消できます。
工夫その3 強制換気する設備やプランを利用
換気排熱ファン
2階天井や小屋裏に設置可能な換気排熱ファンは、低騒音・大風量・高静圧で、天井面付近の熱気を排出し、室内温度を下げてくれます。とくに夜間の蒸し暑さを軽減。寝苦しい夜も快適に過ごせるため、寝室が2階にあるお宅にはおすすめです。
トップライト&シーリングファン
おすすめなのがトップライト。開閉式にすると、夏にこもりやすい熱気を排出でき、防犯上も開けたまま眠れて快適です。さらにシーリングファンをそばに併設すると、2.5倍ほど排気効果が高まります。
北側地窓&南側高窓
夏は家の南側の地面や屋根が直射日光で熱せられ、上昇気流が生まれます。反対に北側は日陰となるため、地表温度が低く冷気が滞留。そこで建物の北側の低い位置に地窓を設けると、圧力差で冷気が室内へ引き込まれ、上昇気流のある南側へ抜けていきます。南側には高い位置に小さな開口を設けると、防犯上も安心です。
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