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武蔵野の自然が息づく石神井公園漫画家弘兼憲史さん

島耕作も池のボートに乗った


マンションの仕事場で、常時6人のアシスタントを従えて漫画の執筆にいそしむ弘兼さん。「窓から公園の緑が眺められるので、部屋に閉じこもっていても四季が感じられます」

東京都練馬区にある石神井公園は、武蔵野の面影を色濃く残す自然豊かな都心のオアシスだ。三宝寺池、石神井池の二つの池を抱く広い園内には雑木林が広がり、水生植物の群落もあって、モズ、コサギ、カワセミなど多くの野鳥が飛来する。その石神井池に面した南側、瀟洒なお屋敷街の一角に佇むマンションに、弘兼憲史さんの仕事場はある。
「今の自宅は吉祥寺ですが、結婚して3年目に公園の西側エリアに家を建てて、長く住んでいたから、ひときわ愛着があるんです。子どもが小さい頃は家族みんなでよくスケッチに来たものです」


石神井池の対岸から眺めたお屋敷街。池面に映る姿も絵のように美しい。

弘兼さんの代表作「島耕作」シリーズにも、石神井公園のシーンはよく登場する。離婚した妻が育てている娘と耕作が会い、ボートに乗るのもこの公園だ。
「たまに作画の資料にするために写真を撮りに行きますが、絵になる場所が多いですよ。マンション前の池に面した石畳の道の雰囲気も好きですね。水面にお屋敷街が美しく映り込んだ風景は情緒があって、つい見とれてしまいます」  弘兼さんは昼食がてら近くのファミリーレストランで漫画のアイデアを練り、それから仕事場に来て深夜3時頃までペンを握る。窓から見える公園の景色が、執筆で疲れた目を癒やしてくれるという。

巨石をオブジェにした庭の眺め

吉祥寺の自宅は、奥さまである漫画家の柴門ふみさんの希望を活かして2年前に建てられた。「家づくりはカミさん任せで、僕が采配したのは庭のみ」と語る弘兼さんだが、これがただの庭ではない。
「敷地内に座禅石のような動かせない巨石があったので、庭師と相談してこの石をオブジェに活かしてみました。周囲に現代アートのように鉄板をあしらって赤さびを出し、さらに取り壊した古家の屋根瓦を縦に差し込んで、白砂利を敷き詰めたんです。こうした造形を彩るように、春はしだれ桜、初夏は紫陽花、夏にはサルスベリが真っ赤な花を咲かせてくれます」
多忙な弘兼さんが自宅でくつろげる時間は少ない。だからこそ、たまの休日、朝起きてインナーテラスの椅子に座り、コーヒーを飲みながら庭の景色を眺めるひとときを大切に慈しんでいる。
「この家が終の住処になるだろうから、僕が生きている間にこの桜はどれくらい大きくなるだろうか...なんて思いながら、天気がいいときは2時間ほど飽きずに庭を見ています。頭を空にしてリラックスできる至福の時間ですね」

弘兼憲史 (ひろかね けんし)

1947年、山口県生まれ。早稲田大学法学部を卒業後、松下電器産業(現・パナソニック)勤務を経て、74年に『風薫る』で漫画家デビュー。85年に『人間交差点』で小学館漫画賞、91年に『課長島耕作』で講談社漫画賞を受賞。『黄昏流星群』では、文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、第32回日本漫画家協会賞大賞を受賞。07年、紫綬褒章を受章。テレビ番組「島 耕作のアジア立志伝」(NHK BS)が現在放送中。

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