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家事と育児に専念するのは夫のツレさん漫画家細川貂々さん


仕事や家事の手を休め、大好きな電車の玩具で遊ぶ息子のちーと君をやさしく見守る貂々さんとツレさん。

細川貂々さんが漫画を描くかたわらで、家事と育児に専念するのは夫のツレさん!


毎日キッチンに立ち、料理や後片付けに精を出すのは夫のツレさんだ。

夫の闘病記を描いた「ツレがうつになりまして。」で知られる漫画家の細川貂々さんは、小学生になる男児のママ。ただし「専業主夫」として家事、育児を一手に引き受けているのは夫の望月昭さん、通称ツレさんだ。

家事が苦手な妻を見かねリハビリの思いで肩代わり


ダイニングの一角に置いたデスクが貂々さんの仕事場。家族の温もりを感じながらペンを走らせる。

貂々さんとツレさんご夫妻のお住まいは、兵庫県宝塚市にある3DKの賃貸マンション。東日本大震災で千葉県浦安市の自宅が液状化の被害を受けたのを機に、関西に移住。ここで貂々さんは在宅ワーカーとして漫画家稼業に精を出し、ツレさんが家事と5歳になる息子さんの子育てに専念している。
二人が結婚した頃、ツレさんは超多忙な会社員で、家事は専業主婦だった貂々さんに任された。ところが貂々さんは料理も掃除もまるでダメな人。
「初めてお味噌汁を作るとき、乾燥わかめをそのままザザッと入れたら、とんでもない量にムクムク増えて仰天しました。半年以上も冷凍していたお肉を使ってお腹を壊したこともありましたし。とにかく家事オンチで、水洗トイレの『水洗』は自動で洗える意味だと思い込んでいたくらい。だから、掃除はしなくてもいいんだと...。実家は汲み取り式だったから誤解していたんです(笑)」
整理整頓も大の苦手。当時のリビングはモノが散らかって足の踏み場もない状態で、乾いた洗濯物を積み上げた山に飼っていたペットのイグアナが登り、「イグアナ御殿と化していた」そうだ。
「あまりの乱雑さに耐えきれずに根負けした方が、怒りのパワーを駆り立てて片付ける感じでした」とご夫妻は照れ笑いする。
一方のツレさんは、実は昔から家事はお手のもの。「高校に入るときに両親が海外赴任になり、祖母宅に預けられたのですが、そのとき祖母から家事の基本を仕込まれたのです。お漬け物や梅酒の作り方も教わりました。やってみるとけっこう好きで、自主的に家事をする癖はそのときについたのかもしれません」
2004年、外資系IT企業に勤めていたツレさんは突如うつ病に襲われ、会社を辞めて闘病生活を余儀なくされる。
「リハビリ代わりにできることからやってみようと思って、彼女が苦手な家事を肩代わりするうちに、気がついたら『専業主夫』になっていました」

授乳、おむつ替え、離乳食 育児もパパが主役で大奮闘

結婚12年目、そんな夫妻に長男のちーと君が誕生。貂々さんの母乳が出なかったこともあって、首が据わる前からツレさんが育児のファーストパーソンとなった。
「ミルクをやって、おむつを替えて、抱っこしてあやして寝かして、離乳食を食べさせて...。すると、ちーとはパパである僕のことを後追いするようになったんです。ちょっと嬉しかったなあ」
目が回るほど大変だったけれど、男性だから育児に困ったことは特にないという。「いつも子どものことを気にしていたので鼻が敏感になって、おもらしをすると、遠くにいてもすぐに気がつきました」と目を細めるツレさんだ。
ちーと君が幼稚園に入ったころ、育児もずいぶんラクになったと話すご夫妻。当時は朝、ツレさんがご飯やお弁当を作っている間に、貂々さんが洗濯機を回し、8時半になるとツレさんがちーと君を幼稚園に送っていく。
「水曜日は幼稚園が午前中だけなので、帰宅して2時間後にまた迎えに出かけなければなりません。だから逆に水曜日の2時間は徹底掃除タイムと決め、帰ったら服も着替えずに、即、掃除機や雑巾を手にして家中をきれいにすることにしていました」(ツレさん)

仕事部屋にこもると子どもが見えなくて不安

ご夫妻は対面式のダイニングキッチンに隣接する和室を開け放して、ワンルームのLDKのように使っている。そのダイニングの隅に置かれたコンパクトなパソコンデスクが今の貂々さんの仕事場だ。ちーと君が走りまわって遊ぶすぐ横で、せっせとペンを走らせる。気が散ったりしないのだろうか。
「本来は北側の一室が仕事部屋なのですが、暖房がなくて寒いので、冬の間はここで漫画を描いているんです。それに仕事部屋にこもると、ドアを開けていてもリビングにいる息子の様子が見えないので、どうしているか気になりますし。本当は個室の方が集中できてはかどるんですけどね」と貂々さん。
特に漫画の構想を練るときなどは集中力が必要だ。だから朝は早起きして、まだ静かなうちに仕事を始め、午後の早い時間に終わらせるようにしているという。
「もし家を建てるなら、リビングの横に本棚がたくさん置ける仕事部屋を作れたらいいなと思います。引き戸を開けておけば、息子が遊んでいる姿が見守れて、閉じれば仕事に集中できるような...」と貂々さん。かたわらでツレさんが、「僕は良いスピーカーを置いて、大好きなクラシック音楽が聴ける部屋がほしいな」と微笑む。
働くのは妻、家事と育児は夫という生活スタイルが、とても自然に感じられるお二人だった。

細川貂々 (ほそかわ てんてん)

1969年生まれ。セツ・モードセミナー卒業後、漫画家、イラストレーターとして活動。夫のうつ闘病生活を描いた『ツレがうつになりまして。』がベストセラーに。結婚12年目に長男が誕生。著書に『その後のツレがうつになりまして。』『イグアナの嫁』(共に幻冬舎)、『親子テツ』(朝日新聞出版)、『いぬがかいたかったのね』(サトシン・作、細川貂々・絵/集英社)など。

望月昭 (もちづき あきら)

1964年生まれ。幼少期をヨーロッパで過ごし、小学校入学時に帰国。セツ・モードセミナーで細川貂々と出会う。卒業後、外資系IT企業で活躍するも、うつになり闘病生活に入る。2006年に寛解し、現在は家事、育児に専念。著書に『こんなツレでゴメンナサイ。』(文藝春秋)、『パパ、どうしてお仕事いかないの?』(幻冬舎)など。

  • 連載「住まいとお金」ファイナンシャルプランナー 久谷真理子
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