Column│新しいライフスタイルのご提案や、子育て、オーナーさまのこだわりのお宅拝見、
著名人によるコラムなど、毎月厳選した住まいに関する情報をお届けいたします。

「ダンカジ」は、創意工夫と家族愛に満ちているダイバーシティ・コンサルタント渥美由喜


二度の育児休暇を取得し、イクメン・ブームに火を付けた渥美由喜さん。男性が育児や家事にチャレンジすると、ビジネススキルも大きく伸びるという。楽しいエピソードが満載の渥美流「ダンカジ」を大公開!

育児休暇の前に妻から家事の猛特訓を受ける

企業の研究所でワークライフバランス(仕事と生活の調和)の推進を支援するかたわら、率先して育児休暇を取り、子育てを楽しんできた渥美由喜さん。「イケメンよりはイクメン」をモットーに、現在も奥さまとともに10歳と6歳の息子さんの育児真最中だ。
渥美さんは育児と共に男性が家事をする「ダンカジ」も、自分流のやり方で効率よくこなしている。しかし、決して最初から家事が得意だったわけではない。
「当時、育児休暇に入る3週間前、妻から『これ、あなたの家事の通信簿よ』と紙切れを渡されたんです。見ると炊事1、洗濯2、掃除1...と、頼んでもいないのに勝手に5段階評価されている。そして、このままじゃ赤ちゃんがかわいそうだから猛特訓しようと言われまして。カチンときましたが事実なので、妻に弟子入りしたと思って従順に教わりました(笑)。その甲斐あって、育児休暇に入る頃にはすべて3に上がっていました。期待値を込めて、という但し書きが憎らしかったですけれど」

ビジネス手法の活用でダンカジの手腕を発揮

夫婦共働きの渥美家では、家事の効率化と省力化が大命題だ。そこで渥美さんは、ビジネスのツールやノウハウを家事にも上手に活かしている。たとえば日用雑貨の購入にも、仕事のスケジュール管理をしているWEBカレンダーのメール機能を使う。
「オムツや洗剤などの消費サイクルを把握して、ストックが切れるXデーを割り出し、その1週間前に自分宛に購入指示メールが届くように設定しています。こうすると買い忘れたり、だぶつく心配がありません。余計な在庫を抱えない企業のジャストインタイム方式を応用してみたんですよ」
また、家事をどうさばくかは、結局のところ「手抜き」のテクニックを磨くことだともいう。そのための工夫は惜しまない。

当時1歳半だった上の息子さんが玩具を自分でしまえるようにしつけたいと思った渥美さんは、一計を案じて子ども部屋をはじめ家中をパシャパシャと写真に撮り、プリンターで引き伸ばして壁に貼った。そして息子さんに、「これがおうちが一番キレイキレイになっている状態だから、いつもこういうふうに片付けるんだよ」と言い聞かせた。それからは「片付け!」の号令をかけると、息子さんは散らかった部屋と写真を見比べながらきちんとお片付けをするようになったという。なんとも微笑ましいエピソードだが、実はこれも企業の整理整頓手法の応用だ。
「製造工場で工具がなくならないようにするために、ダンボールを工具の形にくり抜いて置き場所にする『姿置き』を見て、ピンとひらめいたんです。妻からも絶賛されて、鼻高々でした」
家事・育児に勤しむようになって、仕事のスキルも向上したという渥美さん。家事によって同時並行で物事をこなすマルチ遂行能力が鍛えられるし、仕事の時間が限られるため業務のムダがなくなり、生産性が高まる。そして言葉の通じない赤ん坊を育てる経験によって、さまざまな人とのコミュニケーション能力が磨かれ、ストレス耐性も高まると断言する

子どもと一緒のときは効率よりも楽しさ優先

もうひとつ、渥美さんが大事にしているのは、お子さんがそばにいるときは、効率を追求するよりも家事を一緒に楽しむこと。
「長男が2歳の頃、鼻歌を歌い、口笛を吹いて、さも楽しそうに洗濯していると、思った通り『パパ、何してるの?』と寄ってきました。『見てて。この白い魔法の粉をかけると、あら不思議、きれいになるから』と言いながら、洗濯機に洗剤を入れてスイッチをオン。興味津々の息子に『やってごらん』と言って、できたら『スゴイ、天才だ』と褒めてあげます。すると、それからは得意になってやり始めましたね」と目を細めた。

ダンカジ&イクメン生活も早10年。「最近は余裕を持って家事・育児に取り組めている自分に我ながら驚いています」と語る渥美さんだが、さて、家事の師匠にして最愛のパートナーである奥さまの評価はいかがなのだろう。
「あるイクメントークのイベントで、家事・育児の自己採点をしてほしいと言われたので、事前に妻の評価は何点かを聞いてみました。すると、なんと90点という高得点。息子たちが私の影響で将来、ちゃんとイクメンに育ってくれたら、百点満点を付けてくれるそうです。一瞬、すごく褒められたと喜んだのですが、よく考えたら、『あと20年間しっかりやってね』ということ。結局、妻の手のひらの上でうまく転がされているのかもしれません(笑)」
家事・育児も仕事も上手に生活リズムの中に組み込んで自分の糧にしている渥美さんの人生が、とてもゴージャスに思えてきた。

渥美由喜(あつみ・なおき)

1968年生まれ。東京大学法学部卒業後、(株)富士総合研究所、(株)富士通総研を経て、東レ経営研究所に入社ダイバーシティ&ワークライフバランス研究部長。内閣府「少子化対策推進会議」、「ワークライフバランスプロジェクト」委員等の公職を歴任。共働きの妻とともに2児の育児に奮闘中(育児休暇を2回取得)。

  • 連載「住まいとお金」ファイナンシャルプランナー 久谷真理子
  • わが家の建てどきガイド
  • 資金計画タイプ別診断 あなたの資金の傾向をタイプ別で診断!

PAGE TOP