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自然が織りなすアートな世界第47次・50次・52次・53次日本南極地域観測隊員井熊英治

南極と聞くと、おそらく激しい風と雪が吹きすさび、外へ出ようものなら一瞬にして凍りついてしまうとてつもなく厳しい自然を思い浮かべることでしょう。もちろん、そうした瞬間もたくさんありますが、澄んだ大気のなかで穏やかな表情を見せる季節もあります。それが、南極の夏。私が初めて降り立ったときも、そんな夏の時季で、眼前には広大で岩盤に囲まれたごつごつした世界が広がっていました。隊員同士では、「まるで火星のようだね」とよく話します。もちろん、誰も火星に行ったことはないのですが。

日々発生するブリザードなど過酷な自然環境の中での作業が行われる。

そうした夏の時季は、隊員にとってはまさに働きどき。気温も比較的穏やかで、戸外での作業をこなしていきます。私の場合は、管理棟や隊員の住居のメンテナンス、当時新たな建設が計画されていた自然エネルギー棟のための地盤調査などが主な仕事でした。昭和基地で働く30数名の隊員は、観測から医療、食事の準備に至るまで、さまざまな任務を課されたそれぞれの分野の専門家集団です。自分の仕事をこなすことが最も重要なことですが、とにかく30数名しかいませんから、必要に応じてお互いに協力し合うこともとても大切になります。つまりチームワークなくして、南極での任務を果たすことはできません。

朝から夕方まで働いた後の楽しみは、やはり食事。そこでの、創意工夫によってつくられた食事は美味しく、明日への活力となるのはもちろんですが、美味をさらに味わい深くしてくれるのが、仲間達との会話です。とにかく周囲にいるのは専門家ばかり。気候や地質など専門的分野の話をプロ中のプロから聞くことができる。そして「すごい仲間と出会ったんだ!」といううれしい思い。これもまた、南極でしか味わうことのできない醍醐味のひとつかもしれません。

 そうした日々の繰り返しですが、自然には何一つとして同じものはありません。たとえば、オーロラ。風にそよぐカーテンのような光がよく紹介されますが、他にも、光が放射状に広がるもの、渦状のものなど形はさまざまです。その美しさは、まさに自然がつくり出したアートといえます。また、足下を見るとガーネットやルビーといった宝石の小さな原石がたくさん転がっています。それらは、地球がとてつもなく長く生きてきた片鱗を垣間見るようで、改めて地球とは何かということを考えさせられます。

井熊英治(いくま・えいじ)

1969年生まれ。1997年、ミサワホーム近畿建設入社。ミサワホーム直施工会社の社員として住宅の施工管理に従事。2005年11月より、「第47次南極地域観測隊(越冬)」に参加。以降、第50次南極地域観測隊 越冬隊、第52次南極地域観測隊 夏隊、第53次南極地域観測隊 夏隊に参加。現地設営部門、建築担当として活躍、2007年3月帰国。2012年4月よりミサワホーム(株)MRD・法人営業部に所属し、全国各地で「南極クラス」を実施している。

カタログ「南極のミサワホーム」
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