人々の幸せを創り出すデザインとは?工業デザイナー水戸岡鋭治
デザインは社会の中でどんな役割を担っているのだろうか。デザインの力で私たちの暮らしはどう変わるのだろう。
JR九州の新幹線800系や豪華寝台列車「ななつ星」をはじめ、話題性の高い数々の鉄道車両を創り出し、日本の旅文化に新たな魅力をもたらしたデザイナーの水戸岡鋭治さんにお話をお伺いした。
・鉄道デザインと出合ったきっかけについてお聞かせください。
もともと僕はイラストレーターで、若い頃は建築の完成予想図などを描いていたんです。ただ、いつかは本格的にデザインに取り組んでみたいという熱い思いがありました。それもグラフィックだけ、プロダクトだけというふうに特化するのではなく、総合的なデザインがしたいなと。願いが叶って1987年に福岡市のホテルのデザインに参加し、そのときの縁で当時のJR九州の社長から、車両のデザインをやってみないかと声を掛けられたのです。
・デザインをする上で大切にされているポリシーはなんでしょう。
JR九州 九州新幹線800系。シートは伝統の織り布地と本革の構成。テーブルなど木の温もりを活かしたエコ・デザインも特徴。木製ロールブラインドには九州山地の山桜を使用している。
利用者の視点に立って考えるということです。日本の公共の空間は、見るもの、使うもの、美しくもなければ楽しくもなくて心地いいとは到底言えません。僕は公共空間のデザインの質の高さが、その国で暮らす人々の幸せに直結すると考えています。たとえば公園が禁止項目の看板だらけでなく、もっと自由で楽しい場であれば、自分の家に特別な庭を持たなくても心豊かに暮らせます。身近な環境の質が高ければ、子どもたちにも自然に豊かな教養や美意識が備わるでしょう。ですから僕は依頼主と徹底的に議論をしてでも利用者の立場に立ち続けることを旨として、長年デザインの仕事を続けてきました。鉄道車両にしても企業の事情を優先するのではなく、あくまでも乗客が喜ぶものをつくるという姿勢を貫いているつもりです。
・車両の内装に無垢材を使うなど、素材にもこだわりが感じられます。
人が心地よいと感じるのは、やはり昔から触れてきた木、紙、土、草といった素材なんですね。鉄やガラスもそうです。ですから車両にも無垢材やガラス、革などを贅沢に使い、さらに和紙や金箔、組子など日本の伝統工芸も取り入れています。もちろん最初はメンテナンスが大変だとか、コストがかかるからと抵抗にあいましたが、そこは譲りませんでした。大切なのは企業にとっての経済性や利便性ではなく、利用者に喜んでもらえるかどうか。そのために赤字になるとしたら、それはある程度必要な赤字であると説得しました。今の時代、小綺麗なだけのデザインはもう底が割れています。これからは企業も経済のソロバンではなく、心のソロバンをはじかないと生き残れないと思います。
・住まいの中でデザインが果たす役割とは何でしょう。
デザインとは色、形、素材の組合せではなく、いわば思想なんです。どういう生活をしたいのか、どんな人生を送りたいのか、子どもをどんなふうに育てたいのか。家を見れば、そこに暮らす人の生き方や考え方がわかってしまいます。だからこそ家族の生活スタイルや価値観をきちんと反映させた家づくりをする必要があると思います。それと住まいのデザインには、機能的であるとともに心を満たす「用の美」が大切です。これらを重んじた住環境で生活すれば、自ずといい家庭が育まれるのではないでしょうか。うまくいけば資産価値も高まるでしょう。さらに美しい住宅が建てば、街並みも美しく進化していくという良いスパイラル効果が生まれます。
クルーズトレイン「ななつ星in九州」のデラックススイート。天然木が贅沢に使われ、建具は組子、天井はドーム型に格子のモールで装飾した仕上げ。窓にはカーテン、板戸、障子、木製ロールブラインドが備わっている。
・永く愛されるデザインとはどんなものだとお考えでしょうか。
「懐かしくて新しい」が僕のデザインのコンセプトです。世の中で永く愛されているものは、過去と未来の両方を見つめてつくられていると思うからです。また、美しいだけじゃなく、気持ちが明るくなる、豊かな会話が生まれるといった要素も不可欠でしょう。何十年経っても愛されるデザインは流行を追ったものではありません。常に本質、つまりあるべき姿を追求してこそ、時代を超えた普遍性が生まれるのだと思います。
水戸岡鋭治(みとおか・えいじ)
株式会社ドーンデザイン研究所・代表取締役。建築・鉄道車両など幅広いジャンルのデザインを手がける。特にJR九州の鉄道車両や駅舎デザインでは広く注目を集め、菊池寛賞・毎日デザイン賞・ブルネル賞・ブルーリボン賞など多くの賞を受賞。主なデザイン作品に、クルーズトレイン「ななつ星in九州」、JR九州の新幹線800系、特急車両の787系、883系、885系、和歌山電鐵「たま電車」、「たま駅舎」などがある。
美しく快適な洗面空間 - いつでも綺麗な洗面空間に -
洗面所は、いつでも美しさと清潔さを保ちたい場所。しかし、日々家族みんなが使用するため、どうしても汚れやすく、お手入れがついおろそかになってしまいがちです。最近の洗面化粧台は、素材や形状などに工夫がこらされ、汚れがつきにくく、掃除が楽なタイプが豊富に揃っています。もちろん、素材に合わせた、適切なお手入れや掃除も大切。選ぶ際には、事前にメンテナンス方法を確認しておくことも重要でしょう。
洗面化粧台を汚れから守る工夫
洗面化粧台はデザイン性や機能性だけでなく、お手入れのしやすさにも配慮して設計されています。特に掃除がしにくい排水口、汚れがたまりやすい継ぎ目部分などにさまざまな工夫がこらされています。
●排水口
さっとゴミをまとめることができるもの、排水口のフチのすき間をなくすことで汚れにくくしたり、排水栓やヘアキャッチャーのお手入れが簡単にできるものなどがあります。
●継ぎ目がないカウンター
洗面カウンターとボウルを一体化することで汚れが気になる継ぎ目をなくしたもの、汚れにくくお手入れのしやすい表面加工を施したもの、壁側を立ち上げて水はねに対応したものなどもあります。
洗面所の掃除方法
水垢や石けんカス、カビなどの汚れがつきやすい洗面所。基本は、その日の汚れは、すぐに落とし、水分を拭き取っておくこと。また、掃除のたびに移動させる手間が要らないように、洗面化粧台のカウンター上に物を置きすぎないことも大切です。
●毎日のお手入れは水気を残さないこと
洗面ボウルやカウンター、水栓金具等は、こまめに水気を拭き取り水垢を防ぐことがポイント。石鹸や歯磨剤、化粧品などが付着した場合は洗い流し、鏡に飛び散った水滴も拭き取っておくようにしましょう。カウンターとキャビネットなどの部材のすき間に水分が残らないようにしておくことも重要です。
●念入りに掃除したい場所
洗面ボウルやカウンターなどは、汚れが目立ってきたら洗剤でお手入れを。ミラーキャビネットは、トレイを外し洗剤で拭いた後、水拭き、から拭きをしておくと清潔に保てるでしょう。また、排水口のヘアキャッチャーのゴミは取り除き、必要であれば歯ブラシなどでこすり洗いを。水栓金具の金属部分は、歯磨剤で磨くときれいになります。素材によって、使用できる洗剤は異なりますので、取扱説明書等で事前に確認をしておきましょう。
床材の選択
洗面所の床材には、清潔さを保つことができ、掃除のしやすい素材が適しています。耐水性や耐薬品性、耐傷性などを考慮して選ぶようにしましょう。脱衣室を兼ねる場合は、素足でも足触りがよく、クッション性があり滑りにくい素材がおすすめです。
居心地のよい空間とするには、洗面化粧台のデザインや隣接するバスルームなどとのコーディネートを意識します。耐水性や耐汚性などが高められたフローリングなどもありますし、塩化ビニール製の床材であるクッションフロアは、耐水性に優れ、汚れも付きにくく、適度な弾力性もある素材です。
片流れのラインが美しいファサードに、心地よい空間を兼備した優雅な住まい
[愛知県 Hさま邸]
美しいファサードが、住宅街のなかでもひときわ印象的なHさま邸。ご主人が幼い頃にお住まいだった家を建替え、奥さまが経営するエステサロンも併設されています。
外観にこだわりをお持ちのご夫妻は、10kW以上の太陽光発電システムの搭載もご希望でした。また、住宅街ながら人や車の往来も多いため、しっかりとしたプライバシーやセキュリティ対策が欠かせません。
そこで考えられたのが、敷地の広い間口を活かしたこのファサードでした。片流れ屋根によるシャープなライン、開口部のない正面の白い壁面、その手前に設けた塀など、最小限の要素で構成しつつ、植栽が親しみを与えるエッセンスとなるよう配置されています。
室内は、1階にオープンで使いやすいLDKとエステサロン、2階に個室と浴室などを配置。ただし、敷地正面に開口部を設けていないため、室内には十分な明るさが確保されなくてはなりません。
そのため、1階のリビングを下屋として2階までの吹き抜けにし、屋根の勾配なりに天井が高くなるよう設計。空間的な広がりを演出するとともに、開口部にハイサッシを設けて、キッチンやダイニングにも風や光が届くように工夫されています。
また、1階の広びろとしたエントランスホールや2階中央の和室などは、敢えてゆとりを設けてHさまご自身が自由な発想でお使いいただけるようになっています。
「外観も使い勝手もたいへん満足しています」とHさまご夫妻。Hさま邸は、美しさと機能を兼備した現代的で優雅なお住まいでした。
「母なる海」に思いを馳せつつ久しぶりの祝日を楽しんで!
「海の日」って言われても・・・?
7月の第3月曜日(今年は7月17日)は「海の日」。「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う日」とされていますが、「こどもの日」や「憲法記念日」などと違って、何を祝う日なのか、いまいちピンとこない方も多いのではないでしょうか?そんな「海の日」の由来や制定された背景を探るとともに、おススメの過ごし方などをご紹介したいと思います。
私たちの生活・文化を支えた海
「海の日」は比較的新しい祝日というイメージがありますが、意外と歴史は古く、前身である「海の記念日」が制定されたのは1941(昭和16)年。
1876(明治9)年に明治天皇が東北地方を巡幸された際、汽船「明治丸」で航海をし、7月20日に横浜港へ帰着されたことにちなんで、おもに海運関係者によって祝われてきました。
ところが1995(平成7)年の阪神淡路大震災において、空路・陸路による物流が麻痺した中で海運の重要性が見直され、かねてから行われていた「海の記念日」を祝日にしようという運動が実を結ぶこととなったのです。
確かに普段はあまり意識しませんが、日本は四方を海に囲まれており、古来から異国の優れた文物は海を渡ってやって来ました。現在も資源・食糧を始め様々なものが海を通じて輸入されています。日本が世界に誇る"寿司"も、豊かな海があってこその食文化。確かに日本は、海なくして存立し得ない国といえるでしょう。
海の日の過ごし方
そんな海の日には、どんな過ごし方がふさわしいでしょうか?
素直に海へ遊びに行くのもいいですし、贅沢な海の幸を堪能するもいいですね。各地でイベントが行われるので、それに参加するのも楽しそうです。海の日の由来となった横浜では、帆船日本丸が29枚すべての帆を広げる姿が見られます。日本丸が帆走する姿は優雅で美しく、「太平洋の白鳥」と呼ばれていたのだとか。周辺は記念公園となっていて見どころも多く、おススメのお出かけスポットです。
イベントは自治体が主催することが多いですが、中には海に面していない県もあります。奈良県では、「海の日」と同じ日を「奈良県山に日・川の日」に定め、源流体験ツアーや森林伐採体験など、様々なイベントを開催しています。
なにはともあれ、久しぶりの祝日、それも連休です!「海の日」を7月20日に固定化する動きがあるそうなので、ぜひ今のうちに連休を堪能してください。
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