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優良ストック住宅の普及で住まいの資産評価はどう変わる?住宅再生推進機構高橋正典

価値あるものを永く大切に使うストック型社会を迎え、良質の中古住宅を資産として評価し、流通を促進する「スムストック」の取り組みが注目されている。中古住宅市場の活性化に努める高橋正典さんにお話を伺った。

中古住宅を適正に評価し永く住み継ぐ時代が来た

日本の住宅は寿命が短く、30年も経てば建て替え時期と言われてきた。長く新築偏重の時代が続き、建てては壊す「スクラップ&ビルド」の考え方が主流だったからだ。実際、中古住宅は優良物件であっても評価が低く、中古流通市場において築20〜25年の木造物件の建物評価はゼロ。減価償却に関する省令でも、木造住宅の法定耐用年数は22年と定められている。
「古いというだけで資産価値がないと評価されるのはどう考えてもおかしいでしょう。まだ十分使用できるのに取り壊すのは、地球環境保護の視点からも間違っています」と高橋正典さんは語る。
 きちんとメンテナンスをして住宅の価値を守り、永く大切に住み継ぐことは、産業廃棄物を減らすことにもつながる。そこで高橋さんが専務理事を務めるNPO法人「住宅再生推進機構」では建物再生支援を行い、「良質中古住宅Ⓡ認定制度」を設けて安心・安全な中古住宅の普及を推進している。

 政府もこうした状況を改善しようと、中古住宅を有効な住宅資産として活用するための仕組み作りに動き出した。国交省では平成25度から「中古住宅市場活性化ラウンドテーブル」という会合を開催。建物価値が消滅するのを防ぎ、中古住宅市場を活発化させるために、どのような市場環境の整備と制度が必要なのかを議論している。
「今や総住宅数は世帯数を大きく上回り、空き家は過去最多となる820万戸と増加の一途を辿っています。お金にならないから売りに出されず、空き家になったままの物件も多いのです。住宅資産を資金化できれば、こうした空き家問題の解消にもつながるでしょう。高齢者が自宅を担保に年金の形で借り入れができるリバースモーゲージも本格的に普及するかもしれません」と高橋さんは期待する。

スムストック条件を満たす資産価値ある家づくりを

 住宅メーカーでもすでに新築物件の開発・販売だけでなく、既存の住宅を社会共通の資産にするための取り組みに力を入れている。2008年にはミサワホームを含む9社が参加して「優良ストック住宅推進協議会」を設立(現10社)。良質な中古住宅を「スムストック」として評価し、広く流通させようと努めているところだ。
 スムストックは、「住宅履歴情報の保有・管理」、「50年以上の点検制度・メンテナンスプログラム」、「新耐震基準レベルの耐震性能」という3つの条件を満たす住まい。査定は構造躯体(スケルトン)と内装・設備(インフィル)に分けて行われるので、住宅の価格がより明確になる。販売時には土地の価格と別々に表示される。また、リフォーム履歴やメンテナンス記録も含めて査定されるので、売り主は手入れした分、価格面でも高く評価されるメリットがある。

「中古住宅の購入の難しさは、建物がどのような状態なのか、わかりづらいことでした。なかには『古い味わいが好き』といった理由で中古を選ぶ方もいますが、住宅はビンテージの家具を買うのとわけが違います。家族の安全を守るシェルターですから、耐震性など構造がきちんと評価されている点は何よりも納得ですね」と高橋さん。
 目に見えない性能や住まいの履歴がきちんと把握でき、築50年以上のメンテナンスプログラムも継承できるとなれば、買う側の安心感は大きく高まる。
「終身雇用制度が崩れ、将来の保証が見えない今、長期の住宅ローンを安心して組むためにも、資産価値を高く保てる家づくりは不可欠だと思います。また、住宅は人よりもずっと長生きします。『スムストック』のお墨付きがあれば、お子さんにも喜んで住み継いでもらえるのではないでしょうか」

高橋正典(たかはし・まさのり)

NPO法人「住宅再生推進機構」の専務理事として、『ストック住宅』の流通促進や「長期優良化」に関する活動を行う。国土交通省 長期優良住宅先導事業採択による「住宅履歴書」に関する講演・セミナーや、不動産会社と建築・リフォーム事業者、並びにファイナンス事業者との事業者連携コンサルティングの実績多数。また、不動産業界を単なる紹介ビジネスではないエージェント企業とすべく、株式会社バイヤーズスタイルを設立し、業界初全取扱い物件に「住宅履歴書」を導入、顧客の資産価値の向上を図る。その後、社名を価値住宅株式会社として「住宅価値創造企業」を目指す。

  • 連載「住まいとお金」ファイナンシャルプランナー 久谷真理子
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