片付け上手になるヒケツは?建築家多田祐子
モノが捨てられなくて収納に困っている、片付けが苦手で何から手を付けていいかわからない...。
そんな悩みを解決して、すっきり美しい暮らしを実現するために、まずは頭の中の整理整頓から始めよう。
好みの住空間イメージを言語化して明確に把握する
気がつくといつのまにかモノが増えてリビングにあふれ、いつも雑然としている...。そんな状態に悩む家庭は多いだろう。話題の「断捨離」を決行し、不要なモノを思い切って処分したいけれど、どれを残してどれを捨てればいいのやら迷うところだ。
それに、家族の思い出の品や滅多に使わなくてもずっと大事にしたいものだってある。モノと上手に付き合って、美しく快適に暮らすためには、どんなことを心がければいいのだろうか。
建築家であり、セラピストとしても活躍する多田祐子さんは、自分がどんな空間で暮らしたいのかにまず気づいてほしいという。
「部屋が片付かないのは、実は頭の中が雑然としているからなのです。まず頭の中を片付けるために、自分が憧れる住まいのイメージを言語化してみましょう。たとえば『白い雰囲気の清々しくて透明感がある部屋に住みたい』、『アンティークな家具や調度品が似合うダークな雰囲気の部屋が好き』というふうに。するとその空気に似合わないモノが浮かび上がり、必要なものと不要なものを取捨選択できるようになります」
多田さんは自分が目指したい暮らしのスタイルを見極める練習として、雑誌やネットで見つけたいろんなお気に入りの住空間の写真を切り抜き、スケッチブックに貼ってみることも勧めている。写真に添えられたタイトルやフレーズなど、空間を形容する文章も一緒に切り貼りしておくのがコツ。こうすることで今まで漠然としていた自分の好みの空間イメージが具象化され、明確に把握できるようになる。そしてインテリアに対する感性も磨かれていくという。
「センスを磨くとは、ムダをそぎ落としていくことに他なりません。頭の中が整理整頓されると、モノを選ぶときも軸がぶれなくなり、結果として家の中に余計なものが増えなくなります」
「小掃除」「中掃除」で生活を見直す習慣を
上手な整理整頓の秘訣は、時間を区切って所有しているモノを見直し、未来を見つめながら過去を整理することだと多田さんは考えている。そこで年末の大掃除だけでなく、一日の締めくくりに「小掃除」、四季折々に「中掃除」をする習慣も提唱している。
「その日の終わりにほんの10分でいいから、散らかった部屋をざっと片付ける小掃除の習慣をつければ、毎日に区切りが生まれ、生活を見直すことができます。また、昔の日本は季節ごとに床の間の掛け軸を掛け替え、夏と冬で建具も取り替える伝統がありました。これに習い、四季の節目に中掃除と称して、衣替えだけでなく、季節物の調度品やしつらえを手入れし、入れ替える文化の日にしてはどうでしょう。たとえば『蔵』のような大収納空間があれば、我が家の文化の懐も深くなりそうですね」
包容力のある収納空間が心にもゆとりをもたらす
「蔵」のような大収納をつくるという発想は、日本の伝統でもあると多田さんは言う。
「昔の日本家屋には、季節物やふだん使わないものをまとめて収納しておくために、蔵や納屋のような別棟の大収納がありました。また、武家屋敷を見るとわかりますが、和室の天井が低く、屋根裏が今でいうロフトのような収納空間になっています。ミサワホームの『蔵』は、こうした役割を住まいの内部に取り込んだもので、日本の暮らしの理にかなっています」
それに、散らかったものをきちんと分類して適所に収納しなければならないと思うと、片付けが億劫になるものだ。とりあえず一時的にでもいろんなものを一緒くたに放り込んでおけるこんな「何でも部屋」がひとつあれば、掃除もしやすいし、気持ちもラクになる。
「たとえばリビングのそばに大収納があれば、散らかっているときに突然の来客があっても慌てないですみます。そこにザザッとモノを押し込んで、何気ない顔をしてゲストをお迎えすればいいんですから」と多田さん。
包容力のある収納空間が拠り所となってストレスが解消され、日々の暮らしにも住む人の心にもゆとりをもたらしてくれるのだ。
多田祐子(ただ・ゆうこ)
2000年、多田建築設計事務所を設立。お客様の思いを読み取り、7年先のライフスタイルを見据えた設計に定評がある。和の造作を色や音楽に落とし込み現代の空間に融合させカタチにできる数少ない建築家として活躍。街を活性化させていく「地域住民の交流」や「文化活動の拠点」となる空間づくりにも力を注ぐ。「美しく住まう」「整理整頓をしながらセンスを磨こう」などをテーマとした講演家としても活躍。
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