20年後、30年後を見すえながら、永く快適に暮らせる住まいの条件住まいのナビゲーター大塚有美
分譲住宅を賢く選ぶために、どんな視点で考えたらいいのだろうか。
永く快適に暮らせる住まいの条件について、多くの住まいを精力的に取材している大塚有美さんに伺った。
●分譲住宅の場合、「まち」選びも大切です。ポイントとなるのはどんなことでしょうか。
まず、周辺環境ですね。通勤・通学などの交通面、医療や教育など生活に必要な要素が点在し、まちが将来も成長し続けるかどうかがポイントです。気をつけたいのは、分譲地周辺の用途地域。準工業地域などに指定されている地域があると、将来、周辺の環境が変わる可能性があるからです。
また、昨今は大きな自然災害が多発しています。分譲地はあらかじめ地盤が整備され、インフラも整えられていますが、そこがどんな地盤なのかをしっかり把握しておくことも必要でしょう。
さらに、自治体によっては子育て支援に力を入れている場合がありますから、そうしたサポート体制を活用するという視点で選ぶのもいいですね。
●住まいを選ぶ際、何を基準に考えたらいいでしょう。
やはり、基本性能がしっかりしているかどうかを見極めることでしょう。日本の住宅も品質が向上しており、今は、建築基準法を上回る家も珍しくありません。さらに厳しい基準も設けている「住宅性能表示制度」を利用した家や「長期優良住宅」の認定を受けている住宅は、基本性能が客観的に判断できますから、安心できます。
また、住まいは建てたときがマックスではありません。そこから暮らしがスタートし、住まいも歳月とともに成長していきます。その間には当然メンテナンスも必要ですから、保証やサポート体制が充実しているかも大きなポイントとなるでしょう。
●では、永く快適に暮らすことができる住まいの条件について教えていただけますか。
それには、6つの条件があると考えています。
❶ まず基本性能ですね。耐震・耐風性、耐久性、耐火性、断熱・気密性、防音・遮音性、防犯性など、先ほど述べた住宅性能表示制度を利用したり、長期優良住宅の認定を受けることもその一つです。
❷ 快適な暮らしのための通風・採光も大切です。住まいは何より快適でなくてはなりません。窓の位置や大きさに工夫がある、中庭などを設けるなど、光や風といった自然を感じながら暮らすことも、快適性につながります。
❸ 広がりを感じられる空間づくりも必須条件。個室は狭くても家族が集まるリビングは広いなど、メリハリがあると空間が豊かに感じられます。
❹ 将来のリフォームに対応できる構造であることも重要ですね。家族構成や暮らし方が変化したときに、制約が多いと必要なリフォームが実現できません。
❺ 性能を保つための適切なメンテナンスも必須条件。耐久性の高い素材を使っていても、メンテナンス次第で寿命が変化します。先ほども述べたように、定期点検から補修まで、きちんと対応してくれる体制が整ったメーカーなら、より安心でしょう。
❻ そして、6つめは住まいに対する愛着です。分譲住宅も、間取りに工夫が施されています。そこにお気に入りを見つける、あるいは全体として飽きのこないデザインになっていれば、愛着も深まり、住まいを大事にしようという気持ちが保てるはずです。
●6つの条件を満足する分譲住宅を見つけるために、アドバイスをお願いします。
20年後、30年後を意識して住まいを考えていただきたいですね。できれば、家族みんなで将来について話し合い、どんな暮らしが望ましいのか、そのためにどのような住まいがいいのかを確認しておくことをおすすめします。
また情報収集をして、住まいについて勉強することも大切でしょう。それが自分たちにふさわしいまちや住まいを見極める目を養うことになるからです。
大塚 有美(おおつか・ゆみ)
大学卒業後、編集プロダクションに入社。その後、一戸建て注文住宅の情報誌の編集部門で家づくりの流れを解説する企画をはじめ、住宅メーカーの情報、インテリア、設備機器などを取材しながら、多数の建て主に接し、生活者、住む人の視点で、「いい家」とは何かを追求。独立後、「住宅とその周辺」をテーマに取材、執筆活動を行う。住む人、使う人の立場に立ってやさしく解説することを心がけている。
愛猫の好みを理解することが快適な空間づくりのヒント
猫の習性を知ることで、猫も家族もストレスなく快適に過ごせる暮らし方が見えてきたのではないでしょうか。猫と共に快適に暮らす家づくりは、猫の習性を理解すれば、決して難しいものではありません。家の中で過ごすことの多い猫には、外と同じように楽しい思いをさせあげたいもの。どうしたら家のなかで安全に楽しむことができるのか、猫の気持ちになって考えてみるとアイデアが浮んでくるかも知れません。
猫の遊び場をつくる
猫用ポールでキャットタワーを [上下運動][高い場所][外を眺める]
猫の爪研ぎが一緒になった猫用タワーが各種販売されているので、高さのあるところに設置すると、猫のお気に入りの場所になるでしょう。市販のものを買わなくても、家具を階段のように並べて段差のあるスペースをつくってあげるのもよいでしょう。
カーテン部分を利用して、猫の足場に [上下運動][高い場所][自由に歩きまわる]
カーテンレールを覆うようにボックスを取り付けると、猫の格好の足場になります。対面の壁に同じ高さの棚を取り付け、板を渡すとキャットウォークが完成し、猫の好きな高い場所を自由に歩きまわることができます。また、カーテンレールが隠れるので、見た目にもスタイリッシュになります。
キャットウォークへつながるネコ棚を設置 [上下運動][高い場所][外を眺める]
ネコ棚を設置し、キャットウォークへ飛び上がる際のステップにしてあげると、運動や遊びのバリエーションが増えます。ときどき棚にとどまって休憩したり、景色を眺めたりするスポットにもなります。
POINT
猫がグルーミング(毛づくろい)によって飲み込んだ毛は、便と一緒に排出されることがほとんどですが、ときどき吐き出すこともあります。キャットウォークなどの高い場所で吐く場合もあるので、キャットウォークやネコ棚などを取り付ける際は、掃除のできる高さであることも考慮しましょう。
出窓を猫専用のスペースに [専用空間][外を眺める][昼寝場所]
外を眺めるのが大好きな猫のために、出窓カウンターを活用して専用スペースをつくってあげましょう。窓辺に箱ユニットを重ねると、猫用の階段になります。日向ぼっこの場、お昼寝の場にもなります。出窓がない場合は、サッシを出窓にリフォームすることで、スペースを活用でき、猫が喜ぶ居場所をつくってあげることができます。
ペットドアで自由に行き来ができる環境に [自由に歩きまわる][狭い場所]
リビングのドアなどに小さなくぐり戸を設けることで、猫が自由に室内を行き来できる環境になります。ドア表面を抗菌仕様にすると、汚れも簡単に拭き取れます。
室内での事故・ケガを防ぐ
床材を工夫し、室内でのケガを防ぐ
高いところを好む猫には、転落や足を滑らせるなどのケガの心配もつきものです。一般家庭のフローリング材は材質が固いものが多いので、クッション性のあるコルク材にしたり、絨毯にすることで、万が一の事故の被害を軽減することができます。
キッチンの出入り口はペットゲートで安全確保
自由に歩きまわりたい猫だからこそ、危険な場所への侵入を阻止する工夫も必要です。特にキッチンまわりは、調理器具や火、熱湯などなにかと危険がいっぱい。ペットゲートを設置して通れなくするなど安全対策をしましょう。
ドア付き収納棚で整理整頓
猫が家庭内の小物でケガをしたり、猫によって壊されたりイタズラされるのを防ぐためにも、収納棚はすべてドア付きにすることをおすすめします。テーブルや棚まわりも常に整理整頓しておくことが大切です。
快適な温度を保つ
寒がりな猫も、床暖房でポカポカ快適
猫は暖かい場所が大好きですが、ストーブなどの暖房器具周辺はとても危険です。火を使わない床暖房なら、熱源も露出しないので空気も汚さず室内全体を快適に暖めてくれます。ダニやカビの発生も抑えてくれるので、猫にも家族にも安心ですね。部分的に特殊加工を施したシートを上に敷いて猫専用のスペースにすると、汚れ対策になります。
ヒンヤリ気持ちいい土間スペース
タイル床材を使った土間スペースは、ヒンヤリした感触で高温多湿な夏も快適に過ごせます。掃除も手軽にできるのもうれしいですね。
吹き抜けのリビングで田園風景に憩い、大空間で愛犬と一緒に楽しく過ごす家
[静岡県 Iさま邸]
緑の田園風景にニューセラミックの白い外壁が映えるIさま邸。大きな吹き抜けのリビングは、南面のワイドな窓からなだらかな山並みが一望でき、屋内とは思えない開放感に満ちています。
「四季折々、のどかな自然の風景を眺めて暮らす毎日は、気持ちも大らかにしてくれます。2匹の愛犬は芝生の庭で遊ぶのが大好きで、サッシを開けるとうれしそうに駆け出していきます」とIさまは目を細めます。
スケルトン階段をアクセントにした大空間のLDKは、愛犬が滑りにくい「うづくりPlus」のフローリングに。壁掛けテレビの壁はストーンタイル調のエコカラットを貼ってすっきりと演出しています。
奥さまはリビングや外の景色が見渡せるオープンキッチンがお気に入り。 「家族とお喋りしながら料理ができるから孤独感がありませんし、勝手口からパントリーに直接買い物した食材を運べる動線も便利です」
エコ意識の高いIさまは省エネの暮らしを求めて、切妻屋根に6.5kWの太陽光発電システムを搭載。オール電化の住まいにされました。
「気密・断熱性が高いから、夏も冬もエアコン1台で大空間が快適に保てます。夏は愛犬のために、冷房を一日中つけていましたが、電気代の収支はプラスになって驚きました」
リビングは高い窓からも日射しがふんだんに差し込み、冬も暖かく過ごせるそう。「休日、家族が揃ってランチを楽しんでいると、ワンちゃんたちがそばに来て気持ちよさそうに寝そべります。そんなひとときに、とびきりの幸せを感じますね」と語る奥さまの笑顔が印象的でした。
浮世絵にも描かれていた冬の風物詩、日本の雪だるまの意外な素顔
雪だるまは2段?3段?
2月は寒さと積雪がピークを迎え、各地で雪まつりが開催される月です。雪まつりでは芸術的な雪像が作られますが、一般的に雪で人型の像を作ろうとすれば、雪玉を2つ重ねる「雪だるま」になるのではないでしょうか。ところが、西洋の「雪だるま」は雪玉を3つ重ねて作るのだとか。この差はどこからくるのでしょう?雪だるまを通して、日本の雪文化の特徴を探ります。
西洋の「雪だるま」は「snowman」
「雪だるま」は英語で「snowman」。文字通り「雪の人」です。雪玉を3つ重ね、一番上の雪玉にニンジンを挿して高い鼻を作り、帽子をかぶせたりマフラーを巻いたりします。真ん中の雪玉に木の枝を挿して、腕を表すこともあります。真ん中の雪玉に木の枝を挿して、腕を表すこともあります。
真ん中の雪玉に腕をつけることから推察されるように、真ん中は"胴体"を現しています。一番上は当然"頭"、すると一番下の雪玉は......そう、"足"を表しているんです。頭・胴体・足をそれぞれ1つの雪玉で表現していると考えれば、3段雪だるまは理にかなっていますね。
日本の「雪だるま」は座禅中?
では日本の「雪だるま」は何故2段なのでしょう?実は、いつから雪玉2段の雪だるまが作られるようになったのか、はっきりとしません。ただ、「雪だるま」というものは江戸時代からありました。浮世絵師・歌川広景の『江戸名所道戯尽(えどめいしょどうけづくし) 廿二御蔵前(にじゅうにおくらまえ)の雪(ゆき)』を見ると、縁起物の置物でおなじみのいわゆる「達磨さん」が雪で作られている様子が描かれています。そう、西洋の「雪の人」に対して、日本は正に「雪の達磨さん」だったんですね。
そもそも「達磨」とは、禅宗の開祖とされている「達磨大師」のこと。達磨大師の座禅姿を模した置物が、私たちがよく知る達磨さんです。達磨さんの雪像が、どうして雪玉2段の雪だるまになったのかはわかりません。しかし、座禅を組んでいるゆえに足を表す3つ目の雪玉が必要なく、2段になったのだと言われればなんとなく納得ですね。
歌川広景の絵をよく見ると、雪だるまの顔の下に魚らしきお供え物がしてあります。雪だるまも、縁起物であったことがわかります。思えばかまくらも、雪遊びで作るただの雪洞ではなく、元々は中に祭壇を設け、水神を祀るものでした。もちろん、雪で何かを作るのは単純に楽しい・美しいことではありますが、どこか信仰と結びついているところが、日本の雪文化の特徴かもしれません。
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