Column│新しいライフスタイルのご提案や、子育て、オーナーさまのこだわりのお宅拝見、
著名人によるコラムなど、毎月厳選した住まいに関する情報をお届けいたします。

吹き抜けのリビングから和庭を望む大屋根が映える平屋の趣豊かな住まい

[静岡県 Kさま邸]

山々に囲まれた自然豊かな地に、和風庭園を抱いてたたずむKさま邸。築120年の生家を、大屋根が風格を漂わせる平屋のお住まいに建て替えられました。
「生家はご先祖から引き継いだ思い出深い建物でしたので、外観のシルエットを踏襲し、愛着のある古材も空間づくりに上手に生かしてもらいました」とKさまは語ります。

玄関ホールに入ると、正面の大きな地窓から中庭の景色が切り取った絵のように目に入ります。季節の花が飾られた古木の台は、以前の大黒柱を再利用したものだそう。

ご家族団らんの場となるLDKは、大開口サッシから庭を一望できる明るく開放的な空間。吹き抜けリビングの天井に渡る木梁も、生家に使われていた古い梁で、愛猫たちのキャットウォークにもなりました。さらにダイニングの照明の上やキッチンの腰壁にも古材を使って、古き良き味わいをモダンに生かしています。

また、リビングには大収納空間「蔵」を設け、その上をスキップフロアの部屋にして、置き畳で和室のような落ち着いた雰囲気に。
「冬は畳の間に炬燵を置いて、家族でお鍋を囲みたいですね。ここにもロフトタイプの収納をつくってもらったので、書籍や季節モノがたっぷりしまえて助かります」と奥さま。

LDKは23畳大の伸びやかさですが、夏はエアコン一台でスキップフロアの部屋まで涼しくなったそう。
「30℃の省エネ設定で十分快適でした。リビングとダイニングには床暖房を設置したので、冬も足下からぽかぽか暖まり、愛猫たちも気持ちよさそうです」と笑顔が広がりました。

街や自然とほどよくつながる住まいアーバンデザイナー猪狩 達夫

心地よい暮らしは、外とのつながりを抜きにしては考えられない。エクステリアの植栽計画にはどんな工夫が必要なのだろう。エクステリア&ガーデンアカデミー前学長の猪狩達夫さんにお話を伺った。

個人、家族、近隣、3つの小風景づくり

エクステリアデザインの目的は、①個人単位の小風景づくり、②家族単位の小風景づくり、③近隣単位の小風景づくりの3つに大きく分けられると猪狩達夫さんはいう。
「1つ目は、庭やバルコニーなど、個人と自然が対話できる空間づくり。植物を愛で、水やりや土いじりでやすらぐ『癒やしの景』です。窓辺に置く寄せ植えやハンギングバスケットもこれに入るでしょう。2つ目は、『団らんの景』。家族で屋外生活を楽しむスペースづくりです。みんなで菜園や花壇をつくったり、屋外パーティーなどミニイベントも開ける活動的なシーンですね。そして3つ目は、花と緑に彩られた街並みづくり。地域に根ざす『社会の景』です。家の前庭や花台・バルコニーを植栽や花鉢で飾り、隣人たちと共同で道路に面した生垣等を剪定管理することで、美しい街並みを創り出すことができます」。

常緑樹と落葉樹をバランス良く配置する

エクステリアをプランニングするときは、まずアプローチ、駐車場、門扉やフェンスなどの要素と住まいのつながりを考えて、機能的な動線を決めたい。ただし、アプローチは住まいの顔になり、街並みにも影響を与える存在なので、「路」としてとらえるだけでなく、潤い豊かな「空間」として演出することも大切だ。屋内の窓からどう見えるか、あるいは歩いてくる人の目にどう映るかなど、景色を意識して、アプローチを含めた庭づくりを進めたい。
「エクステリアに命を吹き込むのが植栽の緑ですが、ここで大事になるのが樹種の選定です。常緑樹ばかりを植えると暗さや圧迫感が生まれ、うっとうしくなりがちですし、かといって落葉樹だけだと冬は葉が落ちて寂しい風景になってしまいますから、バランス良く配置したいですね。花や実が楽しめる樹種を植えると、より豊かな表情になって楽しいですよ」

猪狩さんは「マイ・アウテリア」と称し、パーゴラ、デッキ、テラスなどを使った自然浴や団らんが楽しめるスペースづくりを提唱している。住宅まわりの空き空間を活用して、「瞑想空間」「夫婦の対話空間」「ミニパーティースペース」など、自分たちのライフスタイルに合ったスペースを創り出そうという提案だ。
「庭にウッドデッキやテラスを設ける場合は、どんな使い方がしたいのか、具体的なシーンを思い浮かべて計画すれば失敗がありません。たとえばバーベキューを楽しむなら、緑陰や日除けはどうしようか、何人集まるのか、テーブルからの眺めはどうか、水場は必要か...というふうに課題を明確にしていくのです」
また、隣地や道路との境界に塀をつくるときは、高さに気をつけたい。高いほど防犯に効果的だと考えがちだが、実はそうではない。いったん侵入されてしまうと外部から中が全く見えなくなるため、かえって逆効果になりかねない。透過性のあるフェンスや生け垣で、乗り越えにくい程度の高さにするのがおすすめだ。

壁面を上手に活用すれば、狭くても豊かな緑化が叶う

植物は温度が上がれば葉から水分を蒸発させ、気化熱によって周囲の温度を下げる働きがある。従って庭に樹木を植えたり、屋上緑化をすることによって冷暖房エネルギーが節約でき、都市のヒートアイランド現象の緩和にも役立つ。地表を低く覆う性質を持つササやシバなどの地被植物を植えるのも緑化に効果的だ。
また、落葉樹を窓の近くに植えれば、夏場は繁った葉で強い陽射しや放射熱の室内への侵入を防ぐことができ、冬場は落葉して暖かな陽だまりを室内に取り込めるので、エアコンだけに頼ることなく快適に暮らせる。

ただ、ゆとりのない植栽スペースに無理をして植物を植えても、環境が整わず立ち枯れさせてしまう恐れもある。そんな場合は、壁面を活用すると効果的だ。フェンスやブロック塀にツタなどのツル性植物を絡ませてもいい。
「壁から離してワイヤーメッシュを張り、緑化植物を這わせれば、小さな地面でも豊かな緑化ができますし、植物の根で建物を傷めることもありません」と猪狩さんはアドバイスする。
エクステリアと建物は切り離せない関係だ。一体にデザインすることで美しいハーモニーが生まれ、心地よい住環境が得られる。敷地条件や建物の設計にマッチした外構プランを描き、枕木やレンガ、テラコッタといったエイジングが美しい素材と植栽を組み合わせて、年月を経るほどに味わいを増す佇まいを創り出してはいかがだろう。

猪狩 達夫(いかり・たつお)

アーバンデザイナー。エクステリア&ガーデンアカデミー前学長。1959年早稲田大学建築学科卒業。菊竹清訓設計事務所に入所。カナダに渡り、トロント大学大学院アーバンデザイン専攻修了後、ロンドン滞在を経て帰国。1968年より大阪で都市計画に携わる。1972年、(株)イカリ設計を設立。2000年、兵庫県より「人間サイズのまちづくり・街並み設計賞」受賞。著書『戸建て集合住宅による街づくり手法』、編著『イラストでわかるエクステリアデザインのポイント』など。

夏を快適に過ごす -屋根・壁断熱-

暑い夏、できるだけエアコンに頼らず、涼しく快適に過ごすためには、(1)強い日差しをカットし、(2)蓄熱させない、そして(3)風通しをよくすることがポイントです。もともと日本人は四季にあわせて自然の恵みを取り入れた家づくりをしてきました。光や風、緑と上手につきあうことで、環境にもからだにも、無理のない暮らしができます。本格的な夏を迎える前に、住まいの暑さ対策を考えてみてはいかがでしょう。

太陽の熱を受けやすい屋根・壁面からの熱の進入を防ぐ

太陽の熱を直接受ける屋根表面は、気温の高い日で60℃を超える高温になることもあります。1階よりも2階のほうが暑いのは、この屋根の熱が影響しています。また、道路や隣家の屋根・壁に反射した熱も侵入してくるため、屋根や壁面の断熱性を高めて、熱が室内に届くのを防ぐことが重要です。そのために効果的なのが、塗料などで日差しをはじく「遮熱」、断熱材を使って熱を伝わりにくくする「断熱」の2つの方法です。

屋根からの熱を遮断する

屋根表面に塗る遮熱効果を発揮する屋根専用の遮熱塗料が普及しています。高い遮熱効果により、屋根に当たる日差しをはじき返すため、室内温度を低減でき、快適な環境をつくると同時に冷房費の節約にもなります。
また、天井面の断熱にも効果があります。屋根面を遮熱しない場合、屋根裏の温度は約50℃に達することも。室内は30℃近くにもなって寝苦しい夜を過ごすことになります。天井裏にマット状に断熱材を敷き込むことで屋根面から伝わる熱を極力抑えることも重要です。

壁の断熱性を高める

住まいの中で、外気と接している面積が最も広いのが壁です。外気の影響を受けやすく冷暖房の効果にも大きく関わってきます。断熱性を高める方法としての施工方法は、壁の中に断熱材を詰める充填断熱と、建物の外側から断熱材で包み込んでしまう外張り断熱の2種類。壁面の温度が上がるのを防いで、熱を建物内部に伝えにくくする効果があります。


排熱換気ファン

日差しを受けて熱くなったバルコニーなどからは、熱が反射して家の中に入り込んできます。日が沈んだあとに室内の熱気を追い出してくれるのが換気排熱ファンです。2階の居室や廊下の天井に取り付け、天井面付近に溜まった熱気を換気・排出します。夜間の蒸し暑さを低減するのに効果的です。

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エアコンの効きをよくするチェックポイント
室外機の周辺に空気の流れを遮るようなものを置いてあったり、直射日光が当たる場所に室外機を置いていませんか?エアコンの効率の良し悪しは室外機の周辺環境も影響します。室外機に直射日光が当たっているなら、日よけを取り付けるだけでもエアコンの効率アップに効果があります。

四季の自然を感じ、愛犬と楽しく過ごす、果樹園に面した中庭ダイニングのある家

[埼玉県 Kさま邸]

果樹園に面した緑豊かな立地が気に入って土地を購入されたKさま。
「果樹園の眺めを生かした家で愛犬と楽しく過ごしたいと相談したら、コの字で中庭を囲む間取りを提案してもらえました。プランを見たとたん、リゾート感のある暮らしが浮かんで心が弾みました」と語ります。

3m超の高天井が伸びやかなリビングは、板張り天井やアルウッドサッシで木の温もり漂う雰囲気に。床材は愛犬が滑りにくい「うづくりplusフロア」を採用。木製棚には、エスニックな調度品など、インテリアがお好きな奥さまのコレクションが飾られ、空間を引き立てています。

中庭に面した4つ窓の大きな窓辺は、3匹の愛犬の特等席です。ソファの背もたれに座り、外の景色を眺めていることも多いそうです。
「窓を開けると大喜びで中庭に出て、自由に遊んでいます。その姿を見ると癒やされます」とKさま。さらに隣家に面した側の壁には、高い位置にスリット窓を設けて、視線を遮りつつ、光を明るく採り入れています。

オープンキッチンからつながるタイル土間の広い中庭は、人目を全く気にせずにくつろげるので、アウトドアダイニングとして大活躍。Kさまの手作りの囲炉裏テーブルで、毎日のように旬の食材を焼いて食事を楽しまれているとのこと。

「白い梨の花が咲く春は、うっとりするほど綺麗な景色ですし、実がたわわになる秋の風情も格別です。冬も炭をおこすので、それほど寒くありません。四季の変化を自宅で愛でられるのは最高の贅沢ですね」と顔をほころばせるご夫妻。その笑顔が満足感の大きさを物語っていました。

大空を泳ぐ鯉のぼりのように子どもの成長を願う

ゴールデンウィークの風物詩

5月5日の「こどもの日」が近づくと、様々な場所で鯉のぼりを見かけるようになります。住宅事情から「尾根より高い鯉のぼり」とはなかなかいきませんが、ベランダ設置用や室内飾りなど、各家庭の事情を考慮した様々な商品が生まれています。イベントも各地で行われ、大空を豪快に泳ぐ鯉のぼりを楽しめる機会も多いようです。そんな鯉のぼりについてご紹介します。

庶民の願いが生んだ鯉のぼり

5月5日は元来「端午の節句」といいました。奈良時代に中国から入ってきた風習で、平安時代には厄払いの宮延行事として定着しました。そこで重要な役割を果たしたのが、香りで邪気を払う「菖蒲」。時代が流れて武士の時代になると、「菖蒲」は「尚武(武道を重んじること)」につながるとして、端午の節句は「男子の成長と健康を願うお祝い行事」に変化していきました。やがて江戸時代中期、商人が力を持つ時代になると、端午の節句を祝う風習は町人層にも広まっていったのです。
そこで登場するのが"鯉のぼり"です。武士は端午の節句に「旗指物(はたさしもの:家紋を染め抜いた旗)」を飾りました。それを町人が真似て、武者絵や縁起の良い図柄を描いた「絶句幟(ぜっくのぼり)」が生まれます。中でも人気だったのが、「鯉の滝登り」の図柄。これは「黄河上流にある"竜門の滝"を登りきった鯉は、龍となって天を駈ける」という故事に由来し、そこから鯉の滝登りは「めざましく立身出世すること」を意味しました。この鯉の滝登りの節句幟をよりリアルに、鯉が空を泳ぐように改良したのが鯉のぼりなのです。

鯉のぼり家族は時代とともに

鯉のぼりの歌に「♪大きな真鯉はお父さん〜小さな緋鯉は子どもたち〜」という歌詞があります。鯉のぼりは色や大きさによって、家族を構成している印象がありますね。ところが、江戸時代の鯉のぼりには黒の真鯉しかいません。そもそもこの時代は、鯉といえば黒の真鯉。鯉がカラフルだというイメージは、錦鯉の養殖が広まった明治時代以降のものなのです。では明治時代の鯉のぼりはというと、黒の真鯉と赤の緋鯉を対で揚げていたようです。ただしここでの緋鯉は、歌詞にもあるように子ども(男児)のこと。男子の行事ということから、父親と男児しかいなかったのかもしれません。
黒の真鯉が父、赤の緋鯉が母、青の鯉が子ども、というイメージが定着したのは、家族観が変化していった昭和30年代。さらに現在では、緑や橙などよりカラフルな子鯉が登場し、女児も含めた家族全員分の鯉を揚げるところもあるとか。伝統の鯉のぼりも、いろいろな時代背景を反映しているんですね。

  • 連載「住まいとお金」ファイナンシャルプランナー 久谷真理子
  • わが家の建てどきガイド
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