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安心のシェアができる収入を生む家ファイナンシャルプランナー大竹のり子

賃貸併用住宅は家賃収入が得られるだけでなく、税制面でのメリットも大きい。ただし、忘れてはならないのが、借り手がつかない空室リスクだ。安定した賃貸経営を実現するためには、何に気をつければいい?

家が稼いでくれるのでローンの返済がグンと楽に

長寿国ニッポンで老後も末永く安心して暮らすには、どんな準備をしておけばいいのだろうか。期待できない公的年金、不透明な経済など、先行きに不安を感じる社会情勢のなか、解決策のひとつとして注目されているのが「収入型住宅」だ。住まいの一部を賃貸住宅や店舗にして、家賃収入を得る家づくりである。賃貸需要のあるエリアなら検討する価値は大きい。
そこで自宅を賃貸併用住宅に建て替えれば、具体的にどんなメリットが生まれるのかを、ファイナンシャルプランナーの大竹のり子さんに訊いてみた。
「まず、家賃収入をローンの返済に充てることができるので、負担が軽減できます。そして払い終われば、家賃がまるまる収入になりますから、老後の私的年金として役立てることができます。長い目でみて収入源を確保できるという観点で、検討する価値は高いでしょう」

会社員オーナーの所得税軽減もメリット

また賃貸併用住宅は、固定資産税や相続税など税制面のメリットも多い。特に会社員オーナーにとってうれしいのが、所得税の軽減だ。通常、会社員で給与所得しかない場合は、必要経費を計上することが認められていない。しかし、賃貸併用住宅から家賃収入を得ることによって、確定申告で必要経費が計上できるようになる。賃貸部分に相当するローンの利息や、建物・設備の減価償却費、さらに建物の固定資産税、賃貸の募集に係った費用、通信費などを、必要経費として税務上処理することができるのだ。

「ちなみに建物・設備の減価償却費は実際に支出を伴うわけではありませんが、大きな金額の必要経費と認められるのでお得です。年間の賃料収入からこうした必要経費を差し引いて、帳簿上、赤字になると、この赤字部分を給与所得と合算することができます。そうなると、赤字額に応じて所得税が軽減されるだけでなく、翌年の住民税も軽減されますから、節税効果は大きいですね」と大竹さん。

プライバシーや音にも配慮した設計プランに

もちろん、メリットばかりではない。一つ屋根の下に他人が暮らすとなると、やはり気遣いが必要になる。オーナーにしてみれば賃貸部分も含めて我が家だという意識だが、入居者はお金を払って住んでいる自分の城という意識だ。その意識のズレを理解して、プランを立てておきたい。
たとえば入居者の側にすれば、出入り口でオーナーとちょくちょく顔を合わせてしまうのが鬱陶しいこともあるだろう。建物のプランを考える段階で、自宅部分と賃貸部分の出入り口の方向を別々にするなど、アプローチの作り方を工夫しておけば、お互いに気兼ねなく暮らすことができる。

もうひとつ、気をつけたいのが生活音の問題だ。上下や隣からの騒音に悩まされると、オーナー家族の暮らしの快適さが損なわれてしまうだけでなく、入居者間のトラブルにもなりがちである。遮音性もしっかりと確保しておきたい住宅性能のひとつである。

立地条件を鑑みて採算性を十分検討しよう

賃貸併用住宅を建てるにあたって、最も忘れてはならないのが空室というリスクがあるということ。今は一昔前のように、どんな賃貸住宅でも「建てれば入る」という時代ではない。では、どのような点に留意すれば、空室を回避することができるのだろうか。
問われるのが敷地の立地条件だ。都市への通勤圏で、駅から徒歩圏内など、人が住みたくなるような場所であれば事業として成功する確率は高いが、もし立地に不利な点があるのなら、人気の設備を採り入れるなど、それを補う付加価値が必要になる。一度、自分が住んでいる土地のまわりにはどんな賃貸住宅が多いのかを観察し、住宅会社や近所の不動産会社に話を聞いてみたい。

「自宅の一部を利用するにしろ、賃貸経営を始めるわけですから、経営者意識を持って臨むことが大切です。特に将来、空室が続いたらどうするか、地震などの災害が起きてローンが返せなくなったときにはどうするかなど、万が一、想定通りにいかなくなった場合のシミュレーションも慎重に行っておくべきだと思います」と大竹さんは語る。
まずは住宅会社や不動産会社と連携して市場調査を行い、採算性を検討することから始めたい。

大竹のり子(おおたけ・のりこ)

1975年生まれ。編集者を経てファイナンシャルプランナーとして独立。女性による、女性のためのファイナンシャルプランニングサービスを実現したいとの想いから、2005年4月に株式会社エフピーウーマンを設立。現在、講演、執筆、テレビ・ラジオへの出演など多方面で活躍している。『一番やさしく株がわかる』(西東社)、『マネーセンスを磨けば、夢は必ずかなう!』(東洋経済新報社)などお金の分野での著書は30冊以上に及ぶ。日本FP協会会員、金融学習協会理事

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