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大増税時代だからこそ住まいづくりSUUMO編集長池本洋一

消費税増税が見込まれ、相続税も改正によって増税となったいま、それでも住宅を購入するとしたら、どんなことを意識したらいいのだろう。市場動向に精通しているSUUMO編集長 池本洋一さんに伺った。

●大増税時代に突入しつつある今、住宅へのニーズはどのように変化しているのでしょう。

現在の住宅市場のなかで堅調なのが、共働き世代と50歳以上のシニア世代のニーズです。共働き世代には、子どもが生まれると、子育てと仕事を両立させなくてはならず、それにふさわしい住宅を求める必然性があります。夫婦でペアローンを利用できることも大きいでしょう。一方でシニア世代の住み替えは、子どもが独立した後は自分たちの望む暮らしがしたい、あるいは老後の資金としての資産価値を期待するという思いがあるのでしょう。
この傾向はマンション市場でより顕著ですが、戸建て住宅でも同様の動きが見受けられますね。

●戸建て住宅も資産価値を意識するようになっているのですね。

資産活用というとマンションを連想するのに対し、戸建て住宅は一生住み続けるという感覚ですね。ところが、今は事情が少し変わりつつあります。というのも、人も住宅も寿命がとても長くなりました。以前なら子どもの誕生、進学や就職など、その成長を追いかけていればよかったのですが、今はその先まで考えなくてはなりません。両親の面倒を見るため実家に住む、仕事で海外赴任をするなど、不測の事態が起こることもあるでしょう。年金が減った後の老後の資金として、あるいは売却や賃貸せざるを得ないときの担保として、戸建て住宅にも資産価値が求められているのです。

●では、どんな住まいづくりを心がけたらいいのでしょうか。

箱と中身を分けて考えることが大切です。箱とは構造体などの建物部分で、耐震性や耐久性といった基本性能をしっかり確認する。その際、必要な性能は担保したうえでコストに合理性があるかどうかも、きちんと説明してもらうようにしたいですね。
中身は、やはりデザイン性でしょう。動線がコンパクトで家事の時短ができるなどの機能面はもちろん、内装や家具などに自分らしさを表現できるのか、この辺りも重要になってきます。
同時に、可変性も考えておくべきでしょう。たとえば、子どもが巣立った後の部屋を賃貸する、老いた親御さんや単身の兄弟姉妹と同居するなど、事情によっては異なる世代や世帯と暮らす可能性もあります。そうした将来を見すえながら、最小限のリフォームで対応できる間取りにすることも考えておきたいですね。

●建てて終わり、ではなく、その後のことも重要ですね。

今、中古住宅の流通において問題になっているのは、性能の証明、つまりエビデンスです。それがなければ取引ができず、中古流通のネックの一つになっています。ですから、今後は性能を数値的に証明するエビデンスがとても重要になるはずです。せっかく長期優良住宅の認定を受けたとしても、その後の維持管理やその履歴がなければ、資産価値が正しく評価されない可能性もあります。メンテナンスや保証について十分なサポート体制があるかどうかは、ぜひ確認してほしいと思います。
大事なことは、お金のことも含めて、いかに納得できる説明をしてもらえるかどうかですね。

●将来を見すえた住まいづくりが大切なのですね。

先ほど申し上げたように、人も住宅も寿命が伸びています。直近の事情だけを考慮するのではなく、20年、30年先を意識してほしい。その際に重要なのが、お金の問題です。日本人は奥ゆかしいせいか、親子で互いの資産について話し合うことが少ないのですが、気持ちよく次の世代へ引き継ぐためにも、互いの状況を把握することは大事です。家を建てるというのは、まさにそのグッドタイミング。親子みんなでお金と暮らしについて話し合っていただきたいと思います。

池本洋一(いけもと・よういち)

1995年上智大学卒業、同年株式会社リクルート入社。「都心に住む」編集長、「住宅情報タウンズ」編集長、「SUUMOマガジン」編集長を経て、2011年より「SUUMO」編集長に就任。消費者、不動産会社、賃貸オーナー向けの講演、業界新聞での連載、マスメディアを通じて住まいのトレンド発信を行う。2013年より国土交通省「中古住宅市場流通活性化ラウンドテーブル」委員。

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