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おしゃべり上手は子育て上手AERA with Kids 取締役デジタル本部長中村正史

教育から人間関係まで、幅広い切り口で親と子どもの本音に迫る『AERA with Kids』。綿密な取材によって描き出される現代のリアルな家族像は、読者の強い共感を呼んでいる。中村正史取締役デジタル本部長に子育てのこと、そして家のことについて伺った。

子育てで一番大切なのはコミュニケーション

『アエラ ウィズ キッズ』のコンセプトは、「おしゃべり上手は子育て上手」。親子の活発なコミュニケーションが、子育ての基本だと考えています。
学校から帰ってきたら、その日にあったことをお母さんに話す。休日にはお父さんと話をする。こうした日常の何気ない親子の会話が、なによりも大切です。
親子で話すときの、子どもの様子を思い浮かべてください。まず、親の話を聞こうとするでしょう。実はこれ、聞く力が育つと同時に、大人の話し方や難しい語彙を覚えていく上でとても有用です。
そして、子どもは話を聞いたら自分の考えをまとめ、それを言葉にして伝えようとします。つまり、表現力が身につきます。さらに、子どもは親に話を聞いてもらえると、安心感が生まれる、自信もつくのです。

ある調査では、親子の会話量が多いほど勉強に費やす時間が長く、学力向上につながる傾向にある、という結果が出ています。もちろん、勉強がすべてではありません。しかし、相手の話をよく聞いて理解し、それに対して自分の考えを発信するというコミュニケーション能力は、今、社会や企業でもっとも求められているものです。これは経団連などの調査を見ても明らかでしょう。
ある大学の先生とお話しをする機会があったのですが、「話しているときに、相手の目を見ない学生が増えている」という言葉を洩らしていました。また、ある企業の経営者に求める人材像を尋ねたら、「挨拶ができる人」とシンプルに言い切りました。
人の目を見て話す、挨拶をする。これはコミュニケーションの基本ですが、一朝一夕では身につきません。小さい頃からの積み重ねによって培われるものだからこそ、子どもとの会話を大切にしてほしいですね。

子どもはとてもやさしい、親も努力して会話しよう

かつて、日本の家は大家族で暮らすのが当たり前で、地域には親戚も多く、隣近所との付き合いも活発でした。子どもにとっては、親だけではない"斜め"の人間関係が普通に存在しており、大人という他者に触れ合う機会が豊富にありました。
しかし、都市部を中心に核家族化が進むことで、親と子という"縦"の関係しかない家庭が一般的になりました。さらに、母親も外で仕事をする共働き世帯が増えている昨今、親と接する時間も減っているのが、子どもの置かれている現状です。
仕事でへとへとになって帰ってきて、子どもに話しかけられると、つい「後でね」「ちょっと静かにしていて」と言いたくなる気持ちもわかります。
でも、都内の小学校で、子どもたちに聞き取り取材をしていると、みんな親のことをよく見ていることに気づかされます。同時に、ものすごく気を遣っているんです。
「お母さん、疲れているみたいだから、あまり話しかけないようにしよう」
「気分を害してしまったかな」
子どもは親にすごくやさしいんです。だから、親もそのやさしさにがんばって応えてあげないと。話を聞かない状態が続くと「言っても無駄なんだ」と思って、なにも話さなくなってしまいます。
父親も、社員が減って仕事量が増えるという、昨今の労働環境を考えると、子どもと生活の時間帯を合わせられないのが現実だと思います。ならば、せめて休日は子どもと意識的に会話をしましょう。平日でも、朝食だけは子どもと一緒に食べる。そんな努力をしているお父さんもいますよ。

コミュニケーションを豊かにするための家づくり

会話をしよう、と繰り返し言っていますが、なにも特別な話をする必要はありません。その日の出来事、友だちの話、先生の話。日常的なことをたくさん聞いてあげることが、まずは大切です。
ただ、会話は場の影響を受けるものですから、家のつくりはよく考えたほうがいいでしょう。先ほど、昔の日本の家の話をしましたが、かつて、部屋を仕切るものはドアではなく、障子や襖という空間の境が曖昧なものが使われていました。 つまり、家族構成に加え、家のつくりも変わったことで、家族同士の気配が感じにくくなっていることもあるのです。
しかし、ある程度成長したら、子どものプライバシーも尊重してあげたい。となると、家族が自然と集まり会話できるような共有スペース、つまりリビングの場づくりがとても大事になってきます。

最近は、自室ではなくリビングで勉強をさせる習慣も浸透してきています。対面式のキッチンなら、親が料理しながら子どもに勉強を教えたり、手伝ってもらったりしやすい。そこから会話も生まれます。ちなみにお手伝いをする子は、要領や段取りを覚えるので賢くなりますよ。とくに料理はとてもいい。食育になるし、包丁を使わせると手先が器用になるからです。
また、リビングには地球儀や地図、百科事典、書籍などを置くようにしましょう。たとえば、テレビでトランプ大統領が出てきたら、アメリカはここ、ワシントンはここ、とすぐに地球儀で教えてあげられるからです。

漢字や算数などの学力だけではなく、子どもの知力や教養、知的好奇心を育む上で、こうした環境はとても大事です。「知る」ということは面白い。そういう空気を作りましょう。
これから、夫婦共働きの家庭はさらに増えていくはずです。学校から帰ってきたときに、お母さんがいないのは寂しいかもしれない。でも、会話で大切なのは時間ではなく、中身の深さと質です。子どもの毎日の出来事を、ちゃんと聞いてあげれば大丈夫。たくさんおしゃべりして、楽しく、自信をもって子育てしてほしいですね。

中村正史 (なかむら まさし)

長年にわたって教育・大学問題に携わり、『週刊朝日』記者時代に『大学ランキング』を企画し創刊。『週刊朝日』副編集長、『AERA』誌面委員などを経て教育・ジュニア編集部長に。『AERA with Kids』の編集長も務め、朝日新聞グループの教育関連媒体を統括。現在は、取締役デジタル本部長。

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