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資産価値を落とさない住まいづくり不動産コンサルタント長嶋 修

住宅は20年で資産価値がゼロになる時代が終わろうとしている。資産として、住宅の価値が活きる住まいづくりには、何を考えたらいいのだろうか。第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタントの第一人者、長嶋修さんに伺った。

●住まいの資産価値を考えるとき、日本は欧米の先進国とは異なる事情があるようですね。

これまで、日本の住宅は20年で資産価値がゼロになるといわれてきました。その背景には、建物の価値はなくなっても地価が高いとそれなりの資産形成ができたことから、住宅の資産価値が注目されなかったという日本の特殊性があります。
上のグラフにもあるように、アメリカでは住宅投資に対して住宅ストックの資産額が確実に積み上がっています。ところが、日本の場合は住宅ストックの資産額は大きく下回っています。住宅が資産にならないばかりか、長期的には地価も下がる傾向にあるといわれていますから、これでは新築することの経済的合理性がありません。そこで、国も中古住宅について一律に築後20~25年で建物の市場価値がゼロとなる慣行を見直し、築年数ではなく住宅の質を評価しようと動き出しました。新たな評価手法が確立されると、3000万円で購入した住宅の状態が良好なら、30年後もまだ3000万円の資産として認められる、という可能性もあります。ですから、将来、資産価値が落ちにくい住宅を建てることをおすすめしたいですね。

●資産価値が落ちにくい住まいのポイントを教えてください。

まずはロケーションです。どんなにお金をかけた豪邸でも、周辺に誰も住んでいなければ、資産価値は低い。人の集まる地域、利便性の高い地域など、売買や賃貸といった市場の流動性のある立地であるかどうかがポイントです。また、昨今は大規模な自然災害が増えています。自治体ごとに災害に対するハザードマップが公開されていますが、国も土地についてのそうした情報を一元化し、不動産価格の透明性を確保しようと取り組み始めました。ですから、これらをチェックすることも肝要です。

●住まいの性能面でポイントになることは何でしょう。

やはり、耐震性ですね。耐震等級は倒壊防止の場合、「1」が建築基準法の耐震性、「2」がその1.25倍、「3」が1.5倍を表します。熊本地震のように、震度7や震度6が短期間に複数回発生するという想定外の地震が、日本中どこでも起こる可能性があります。新築の場合は、最低でも「耐震等級3」はほしい。耐震性は地盤とも密接に関係していますから、地盤の状況を把握し、必要に応じてしっかりと改良することも考えたいものです。
そして特に注目してほしいのが、省エネ性です。2020年には現在の省エネ基準を満たすことが義務化されます。この基準をぎりぎりクリアするのではなく、できるだけ高い水準を満たした住宅をつくることが大切です。省エネ性の高い住宅は光熱費を大幅に削減し、断熱性が高いため結露しにくく長持ちします。また、家族の健康面にも好影響を及ぼします。
ドイツやイギリスでは、各物件に「エネルギーパス」という省エネ性能を表示することが義務付けられています。立地や価格だけでなく、どれだけ省エネができるのか、それが不動産を選ぶ際の重要な条件になっているのです。日本も、これからは省エネ性の高さが資産価値を大きく左右するはずです。

●性能の高い住まいは、価格も高めになりがちですが。

確かに、省エネ性が高いなど良質な住宅は、建築費というイニシャルコストは高めです。しかし、住み始めてからの光熱費やメンテナンス費などを含めた住宅のトータルコストを考えたときには、むしろ低くなります。つまり、できるだけ良質な住宅を建てることが、将来も資産価値が落ちにくく、家計的にもリーズナブルなのです。これからは、ぜひそうした視点で住まいづくりを考えてみてください。

長嶋 修(ながしま・おさむ)

第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタントの第一人者。1999年、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社、株式会社さくら事務所を設立。現会長。国土交通省、経済産業省などの委員歴任、メディア出演、講演、執筆と活動は幅広い。『「空き家」が蝕む日本』(ポプラ新書)、『これから3年 不動産とどう向き合うか』(日本経済新聞出版社)他、著書多数。

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