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住まいができる防犯対策を知ろう!一級建築士・総合防犯設備士相川 隆

1日あたり約101件※も発生しているという、住宅を対象とした侵入窃盗被害。
ふだんの暮らしのなかで、どのように住まいの防犯対策に取り組めばいいのだろうか。
防犯について、専門に研究を続けているミサワホーム総合研究所の相川隆主幹研究員にうかがった。

──最近の被害の実態を教えていただけますか。

相川  住宅が対象の侵入窃盗の認知件数は平成16年から減少傾向にあります。 とはいえ、平成29年の認知件数は約3万7千件。 約15分に1件のペースで被害が発生している計算ですから、誰にとっても他人事ではないですね。

──減少理由を教えてください。

相川  警察庁や国土交通省がともに「安全・安心まちづくり」の推進をしてきていますが、平成15年以降、官民協力して「防犯性能の高い建物部品」の開発が進み、平成18年度の住宅性能表示制度の改定では、評価項目に「防犯に関すること」が追加されました。 現在では、一定の基準を満たしたサッシやドアなどに、「官民合同会議」で認定された「防犯性能の高い建物部品」のみ使用できる「CPマーク」が貼付されるようになりました。 今も、住宅機器メーカーは防犯性能に目を向けた開発に力を入れています。 また、自主的にまちの見回りを行う防犯ボランティアの方々が増えたことなど、幅広い取り組みが減少の理由として考えられますね。

──具体的な防犯対策として思い浮かぶのは、高い塀にぐるりと囲まれ、他人が容易に侵入できない家ですが。

相川  そのような家は、いったん敷地に入ってしまえば、周囲の視線を気にすることなく犯行が可能ですから、むしろ狙いやすい家といえます。 侵入盗は人に見られることを最も嫌います。 そのため、敷地に入ってから建物内に侵入するまでの一連の動作が、周囲から見えにくい家を狙うのです。

──防犯ボランティアなどの地域のつながりが被害件数の減少に貢献するのは、侵入盗が人の目を恐れるからなのですね。

相川  たとえば、外構がオープンな作りになっている家は、道路からの見通しが確保されているため、周囲の人の目が届きやすいですよね。 侵入盗にとっては、狙う家を物色するための敷地内の様子をうかがう行動や、敷地に入り込もうとする不自然な姿、敷地に入って建物に侵入する行動も周囲から見えやすくなってしまうわけです。

──ブロック塀で囲んだ閉じた作りだと、夜も窓の明かりが塀で遮られて道路が暗く、侵入盗が姿を隠しやすいですね。

相川  家人の不在を周囲から不審に思われずに確認できる家も、狙われやすいといえます。たとえばインターホンの位置。 門扉についていれば、インターホンを押す姿が周囲から見えます。返事がないのにもかかわらず、敷地に入って行けば、当然不審に思われてしまいます。 対して玄関にインターホンがあると、侵入盗は誰からも不審がられずに玄関の前にたどり着くことができます。 そこからさらに、侵入しやすい箇所を探すために家の裏手に回ろうとする場合も、途中に木戸などがあれば、入ることに抵抗を感じますが、何もなければ、すっと入って行けます。 侵入盗はそうした違いを一つひとつ見ながら、狙う家を定めるのです。

──侵入盗側の視点に立つと、狙われやすい家がわかりますね。

相川  プライバシーを守ることも大切ですから、オープンにすることに限界がある場合は、防犯カメラの設置もおすすめです。 侵入盗は光や音も嫌います。センサーライトや警告音で侵入盗を威嚇するとともに、音声で知らせるセンサーや受信機なども有効ですね。

──防犯カメラ作動中というステッカーも効果がありそうですね。

相川  狙われにくくする以外にも、防犯性能の高い建物部品を使うなど、建物の中に入りにくくする工夫も大切です。 また、侵入盗は、なるべく短時間で犯行を済ませたいと考えますから、貴重品は探すのに時間がかかる場所にしまったり、分散したりしておけば、万が一侵入されても、被害を最小限に食い止められます。

──侵入窃盗の被害に遭うのは、〝運〞の問題だけではないのだと感じます。

相川  被害に遭っても対策をせず、再び侵入されてしまったという例もあります。ちょっとした防犯対策の積み重ねによっても、侵入盗に狙いにくいと思わせる効果があるのです。

──日頃から防犯意識を持つことはとても大切ですね。本日はありがとうございました。

※「平成29年の刑法犯に関する統計資料」(警察庁)より作成

相川 隆(あいかわ・たかし)

株式会社ミサワホーム総合研究所フューチャーセンター 市場企画室スマートホーム研究PJ 兼デザインセンター 空間デザイン研究室主幹研究員 一級建築士・総合防犯設備士

  • 連載「住まいとお金」ファイナンシャルプランナー 久谷真理子
  • わが家の建てどきガイド
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