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インテリアで叶える四季を愛でる暮らしテキスタイルデザイナー本田純子さん

自然を身近に感じながら、四季の変化を楽しむ暮らしをしてきた日本人。
そうした楽しみは、現代の住まいにも採り入れることができる。
世界的な評価を受けているテキスタイルデザイナー、本田純子さんにお話をうかがった。

日本人の感性をデザインで表現

春(チェルカーレ):揺れ漂う桜の薄い花びらをデザイン。

企画・デザインから織物設計までを手掛ける、数少ないテキスタイルデザイナー本田純子さん。ご自身の名前が冠されたブランド「Sumiko Honda」のカーテンは、日本の四季をテーマにデザインされており、光の加減でさまざまな表情を見せる深い味わいが魅力だ。そんな本田さんが考える「インテリア」とはどのようなものなのだろうか。

夏(エリカチェア):ツツジとヤマボウシをボーダー状に表現。

「楽しみ方は無限にあると思います。ですが、その空間にいる人が居心地のよさを感じられることが大前提です。今はストレスが非常に多い時代です。ご自宅などを心からやすらげる場所にすることも、インテリアの大きな役割です」
本田さんが日本の四季をデザインのテーマにしているのも、不安定でストレスフルな暮らしに、やすらぎやうるおいをもたらしたいという願いからだ。

秋(ソラリタ):グロリオサとラナンキュラスの花をシルエットでデザイン。

「季節のうつろいに美しさを見出すことは、日本人ならではの感性であり、喜びだと思います。私自身も、緑とふれあうとすごくリラックスできますし、自然に励まされているという実感を味わったりします。そうした喜びをお客さまにも感じ取っていただけたらうれしい。そう考えながらデザインしています」

冬(バイードウⅡ):満月を連想させる大胆な円に光効果で裏面の織柄が透けて重なる。

たとえば春先なら桜の花、クリスマスにはアマリリスの花。四季の変化に合わせてカーテンを変えるのも楽しみ方のひとつだろう。
「花をいけるような楽しさで、季節の変化に合わせて、自分の感性に合うデザインを選ぶなど、自由に楽しんでいただきたいですね」

ファブリックの無限の可能性

エリカチェアの図案。糸は職人が染め上げた多数の色糸から丹念に選定。
ファブリックという素材には、「自然」を表現できる力があると語る本田さん。
「ファブリックはとてもやわらかな素材です。ファブリックのカーテンは光を通せますから、陰影のうつろいで時間の流れが感じられたり、風にそよぐ姿から自然が感じ取れたりします。空間を仕切るという意味では『壁』と同じ役割を持っていますが、やわらかく動き、閉塞感を感じさせないことは、『壁』のように動かないものでは得られない魅力です。自然界には『直線』というものがありません。ですが住まいは、間取りや家具など、ほとんどが直線や角で構成されています。それが悪いということではなく、もう少しやわらかい感覚が室内にあれば、空間をもっと人に寄り添える場所にできるはずです。ファブリックは自由に加工ができますし、縫製のスタイルも無限です。カーテンだけでなく、クッションなど、さまざまなスタイルでインテリアをやわらかくまとめ上げることが可能です」

チェルカーレのカーテンが空間に自然の繊細な伊吹を注ぎ込んでいる。

そんな本田さんの考え方を追求しているのが「Sumiko Honda」というブランドだ。元になるデザインは、本田さんが手描きの水彩画で作製、水彩ならではの滲みや偶然性も美しさの表現として採り入れている。華やかさと落ち着きという、本来なら相反する魅力が両立した精緻なデザインは、日本の伝統的な織物技法に、最新技術を融合させることで実現したもの。自然の美しさがデザインされ、ふわりと軽く仕上げられたファブリックは、自宅用として人気があるだけでなく、病院や介護施設などの採用も増えている。本田さんに、これまでに手掛けてきた数多くの仕事のなかで、思い出深いエピソードをうかがった。
「ご年配で、病にふせっていた男性のお客さまが、ご自分の終の棲家にと選んでくださいました。いつでもあたたかい気持ちになりたいからとピンクのファブリックをお選びになりました。楽しみとして、そして生きる力の支えとして選んでいただけたのだと思います。私にとって、本当に忘れられない仕事になりました」
ファブリックには、まだまだ可能性があると語る本田さん。それは住まいにも、もっともっと素敵にできる可能性があるという意味にもなるはずだ。

本田純子 (ほんだ・すみこ)

㈱川島織物セルコン インハウスデザイナー
米国国立スミソニアン協会の所蔵となるファブリック設計を手掛けた実績を基に、1998年にSumiko Hondaブランドを発足。以来、他ジャンルのデザイナーやアーティストとのコラボレーション、Maison&Objet editeurusへの出展などを通じ、国内外から高い評価を受ける中、その世界を結実させるコレクションの拡充と飛躍を目指し、挑戦を続けている。

  • 連載「住まいとお金」ファイナンシャルプランナー 久谷真理子
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