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観測隊員の命と活動を守る木質パネルの高い断熱性ミサワホーム技術部秋元 茂

南極観測活動の拠点であると同時に、隊員たちの住まいでもある昭和基地。
極寒の地では、建物は隊員の命を守るシェルターの役割も果たす。
強固な建物の構造体に採用されているのは、断熱性に優れた木質パネルだ。

基地機能の拠点である「管理棟」。食堂や医療施設なども備える昭和基地最大の建物だ。

 吐いた息が一瞬で氷と化し、露出した肌は凍傷の危機にさらされる──。昭和基地の夏は平均気温がマイナス1℃、冬は平均マイナス20℃。そんな過酷な自然環境にもっとも適している建物建設に採用されたのは、木質パネル工法だ。

 国立極地研究所に出向し、南極地域観測隊に参加した経験を持つ秋元茂元隊員は、その特長について次のように語る。

 「木という素材は、非常に優れた断熱性を備えています。断熱性とは、いわば熱の伝わり方のこと。たとえば鉄は、温めたり冷やしたりすると、触ったときに熱かったり冷たかったりしますね。これは熱を伝えやすい、つまりあまり断熱ができていないことを意味します。木を1とすると、鉄は525倍も熱を伝えやすく、コンクリートでも木の10倍もの熱伝導率がありますから、南極には木が適しているのです」

※ 正式名称は、大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立極地研究所です。

現地では既存建物のメンテナンスも大切な仕事だ。

 極寒の地でありながら、室温が20℃前後に保たれているという昭和基地。このことからも、木質パネルの断熱性がいかに優れているかが理解できるだろう。

 高い断熱性に加え、南極では強固な構造体も不可欠だ。「隊員が暮らす居住棟は、秒速60mのブリザードが発生すると、風向きによっては56tもの力が加わる計算になります。しかもそれは一瞬ではありません。ブリザードは通り過ぎるまでに3日から4日はかかります。その間ずっと建物に力が加わり続けるわけですから、とてつもなく強靭な構造体が必要になるのです」

現在の居住等。室温は約20℃に保たれ、南極にいると思えないほど快適だ。

 それを実現しているのが、木質パネルによる「モノコック構造」だ。ジェット機などでも採用されているこの一体構造は、どの方向から荷重がかかっても建物全体で分散して受け止めるため、部分的なひずみやくるいが生じにくく、構造体の強さを最大限に発揮できることが特長である。

 南極の厳しい自然から隊員の命を守る強固な構造体は、地震や台風の多い日本の安心な住まいづくりにもしっかり活かされている。

南極の自然環境

陸地の97%以上が厚い氷に覆われている南極大陸。その広さは、日本の国土の約37倍にあたる約1,388万k㎡。昭和基地は比較的温暖な地域にあるが、それでも厳冬期の最低気温はマイナス45℃を下回るという過酷さだ。1年の1/3は風速15m/秒以上の風が吹き、風速60m/秒のブリザードが何日も続くこともある。

ブリザードでは自分の指先も見えないほどのホワイトアウトに。

命を守る木質パネルとモノコック構造

隊員が暮らす居住棟は過酷な環境下では命を守るシェルターとなる。

優れた断熱性と気密性を備えた木質パネルと強靭なモノコック構造が、ブリザードが吹き荒れる極寒の地で隊員の命を守り、快適な室内環境を提供する。

M I S A W A a d v a n t a g e

住まいの未来基準「センチュリーモノコック」

南極で培った技術が、「大開口×高断熱」「大空間×高耐震」という矛盾する技術を両立させ、高快適な住まいをつくる新構法へと発展。木質パネルは従来の厚さ90㎜に加え、南極と同じ120㎜厚もラインアップ。強さと快適さを併せ持つ未来基準の構法だ。

秋元 茂(あきもと・しげる)

1967年、神奈川県逗子市生まれ。現在、ミサワホーム技術部。南極関連業務として1997年からミサワホームが供給する建物の設計・部材製作等に従事。2009年「第51次日本南極地域観測隊・越冬隊隊員」として参加。設営部門・建築担当として自然エネルギー棟の建築工事に携わり、技術的な指導なども行った。

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