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家族の事情で決まる「建て時」 ゆとりある資金計画を冷静に判断ファイナンシャルプランナー深田晶恵

はじめて資金計画を立てようとする場合、意外と見落としがちなポイントが少なくない。
資金計画相談業務の豊富な経験を持つファイナンシャルプランナー深田晶恵さんにうかがった。

我が家の建て時とは?

── 住宅ローンの金利が史上最低水準と呼ばれるレベルを推移しています。絶好の「建て時」「買い時」という声も聞きますが、どうお考えになりますか?

深田  金利が低い今のうちにローンを組んで住まいを手に入れておこうというのは、一般的にはその通りだと思います。ですが、金利などの外部要因以上に、家族それぞれの「我が家の建て時」を重視することが大切です。たとえば、住まいを購入してもお子さんが転校せずに済むタイミング。あるいは、お子さんの人数が確定したとき。そうした家族ごとの事情が建て時を左右すると思います。

── お子さんの数によって必要な養育費も大きく変わりますから、将来にわたる資金計画を立てるうえでも大切な要素ですね。

深田  お子さんの話でいえば、最近は「保育園縛り」という問題もあります。これは私の造語ですが、都心に近い利便性のいいエリアで賃貸住まいをしている共働き夫婦が、マイホーム購入を検討するとき、ようやくお子さんが入れた保育園の権利を失いたくないため、そのエリアから離れられなくなってしまうことを意味します。

── 待機児童の問題が盛んに報道される昨今では、改めて探そうとしても入れる保育園がないという事態もありそうです。

深田  今の便利な住まいから数十分電車に乗った郊外にエリアを拡げると、物件価格が1千万円以上安い戸建てが見つかる可能性もあります。思い切って子育てに向いたエリアに移って住まいを探すという方法もありますよね。ですが、「保育園縛り」が理由で、その選択肢を選べないという方もいらっしゃいます。

── 他にも意外と気づかない注意点があれば教えていただけますか。

深田  たとえば、初めて住まいを手に入れようと考えた場合、同じ勤務先の同期社員がマイホームを購入したのを見て、自分も同じ金額の住まいを買っても大丈夫と考える方がいらっしゃいますが、その判断は危険です。同じ収入でも、年間に貯蓄できる金額は人によって違いますからね。

我が家の「お金の実力」を知る

深田  結婚と同時に住まいを購入する計画を立てる若い方もいらっしゃいますが、それもおすすめしません。結婚してから二人でいくら貯蓄ができたか。それが何年続いたか。そうした実績、いわば「我が家のお金の実力」を見極めて資 金計画を立てていただきたいですね。貯蓄をすることは、住宅ローンを返す練習にもなります。

── 「お金の実力」を理解して返済計画を立てる。その重要性は若い夫婦以外にも言えますね。

深田  返済額を決める目安の一つに「今の家賃並みの額」という考え方がよくいわれますが、実際に家賃並みに設定すると苦しくなります。住まいを所有すると固定資産税がかかり、その分だけ住宅費がオーバーしてしまうからです。年間の家賃額から固定資産税額を引いて、残った金額を12で割ったものが、今と同じ暮らしができる返済額です。とはいえ、持ち家になるのだから、もっとがんばるつもりだという方もいらっしゃいます。そのための貯蓄に励んでいた方なら、家賃並みプラス1万円〜2万円多くても返していけるというケースもあります。

── 判断するうえでも我が家の「お金の実力」を知っておきたいですね。

深田  予期せぬことが起こるのが人生です。たとえば勤務先の業績が急に悪化したり、思いがけずもう一人子どもを授かったりといった理由で、世帯収入が一時的にダウンする可能性もないとはいえません。不測の事態に備えるためにも、住宅ローンでリスクを取るべきではありません。住まいづくりは決断する場面がたくさんあります。どれだけ冷静になれるか、それが大切です。

深田晶恵(ふかた・あきえ)

ファイナンシャルプランナー。(株)生活設計塾クルー 取締役。個人向けコンサルティングなどを行う一方、国土交通省の「住宅ローン商品改善ワーキングチーム」をはじめとした数々の委員を歴任。著書に『住宅ロー ンはこうして借りなさい』ほか。

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