2017年8月25日発行 homeclubより

特集 子育て応援住宅

part1 保育園設計のノウハウに見る
子どもにやさしい環境づく

子どもがすこやかに成長できる安全・安心な住まいづくりに取り組んできたミサワホームは、
住宅だけでなく、質にこだわった保育施設の設計も手掛けている。
保育園設計で培ったノウハウには、子どもにやさしい住まいづくりのヒントがあるはずだ。

自然光でたっぷりと満たされ、心地よい風が通り抜ける吹き抜けの大空間――。ミサワホームが設計を手掛けた「コビープリスクール」(コビーアンドアソシエイツ)の広々とした保育室は、従来の保育園のイメージをすっかり覆してしまうような、そんな大胆で個性的なデザインだ。
子どもにやさしい環境の保育園を設計するうえで、強く意識されているのは次の二つ。「安全・安心」と「子どもたちの五感を刺激」することだ。

まずは安全・安心についてみてみよう。ここ数年、乳幼児の突然死のニュースを目にした方は多いはずだが、その対策のひとつとしても有効なのが、先生の目がしっかりと子どもたちに行き届くこと。広々と見渡せる保育室は、それだけでも見守りやすい環境といえる。それ以外にも、職員室と保育室を壁で仕切らずに見通せる空間としたり、1階と2階をつなぐスロープの壁に窓をつけたり、園児たちの姿や気配を把握しやすい設計になっている。このような建物の造りは、大人が子どものために安全・安心を確保するだけでなく、子どもにとっても、先生の存在を身近に感じられることで、安心してのびのびと過ごせる空間になる。

安全・安心をもたらす「人と人とのつながり」は、園外の地域の人々にも向けられている。建物の正面をガラス張りとし、子どもたちの元気な姿に関心を持ってもらえる設計になっているのである。昨今は、不審者対策などの理由から、外部をシャットアウトする傾向が一般的だが、室内で何をやっているかわからない空間は、外部の人たちが関心を持つことができず、ちょっとした騒音も苦情の対象となるといった悲しい関係を生みかねない。親しみを持ってもらえれば、地域の人たちにも自分たちもともに「見守っている」という意識が生まれ、不審者の存在に注意を払うという「目」も期待できる。もちろんこうしたオープンな設計が、二重の電子錠を入口に備えるなど、万全の防犯対策のうえで実現されているのはいうまでもない。

安全・安心の工夫は、他にも随所に見出せる。ゆっくりと閉まるドアや、重量を大きくすることで園児たちだけでは開け閉めできないようにしたドア。触れても安心な面取りされた壁の角。子どもの手が握りやすい手すりの丸み。衝撃を吸収する床材。子どもだけで階段の上り下りをしないよう、鍵をつけた階段室など、細やかな工夫がいくつも施されている。
 では、子どもたちの五感を刺激する工夫についてはどうだろう。まずはガラス張りの調理室だ。調理室の床を30㎝低くすることで、子どもたちは一段高い場所から、ガラス越しに調理する手元まで見られるようになっている。食への好奇心を喚起し、食事をつくる人たちへの感謝の心を育む「食育」の場にもなる仕掛けだ。

 生活リズムに合わせて明かりの色を変える「光環境」にも注目したい。朝は体を目覚めさせる白っぽい光で、夕方は落ち着きのあるオレンジ色のやさしい光に。そして、昼寝の時間は子どもに直接光が当たらない間接照明のみとし、光の色は眠りを誘いやすい電球色にする。また、室内に蚊帳を吊ることで、天井の高さが本来よりも低く感じられ、眠る子どもたちに母親の胎内にいるような安心感を与えている。
「見せながらしまう本棚」も興味深いアイデアだ。背表紙が並ぶ一般的な本棚とは違い、絵本のカラフルな表紙が見えるように収納できるため、絵本に囲まれたかのような楽しい空間を演出。楽しみながら片づける習慣を自然と身につけることができる。
 安全・安心だけでなく、楽しくすこやかに過ごしながら、子どもたちの成長をも促してくれる空間。ミサワホームの設計した保育園からは、そんな子どもにやさしい環境づくりが見えてくる。

part2 家族の対話が自然にできる安全で
快適な子育てを応援する住まいの工夫

ミサワホームが設計した保育園に見られる子どもにやさしい環境づくりの工夫は、
キッズファミリーの住まいづくりにも活かすことができる。
安全・安心、快適な子育てを実現する住まいの工夫を、4つの視点から考えてみる。

開放的な空間で「つながり」を演出
成長に合わせて居場所が選べる

 保育園の設計でも重視されていた人と人との「つながり」は、家族が暮らす住まいでも大切だ。人とのふれあいは子どもの社会性を育み、家族の絆が実感できる毎日は、子どもにも親にも、大きな安心感と幸福感をもたらしてくれるはず。とはいえ、常に親と子の距離がべったりというのも考えものだ。そもそも「親」という漢字は、「木」の上に「立って」「見る」と書く。ときには適度な距離感を保つことで、子どもの自立を促すことも必要だろう。

リビング中央のソファをはじめ、キッチンカウンター、踊り場を活用した階段ライブラリー、ファミリーコーナーなど、広々とした開放的な空間のあちこちに心地よい居場所がある住まいなら、家族のみんながどこにいてもコミュニケーションがとれ、声をかけ合わなくともお互いの気配が感じられる「程よい距離感」を上手につくることができる。

「程よい距離感」は子どもの成長によっても変わってくる。たとえば幼い子どもにとっては、キッチンで家事をする母親をすぐそばに感じられるキッチンカウンターが安心できる居場所になるだろう。思春期の子どもなら、ソファに座る父親から適度に離れた階段ライブラリーなどが、ちょうどよい快適さを味わえる場所になるかもしれない。

声をかけ合うコミュニケーションだけでなく、お互いの気配を感じ合い、声に出さずに気持ちを推し量るのも、家族にとっては大切な対話のひとつだ。家族一人ひとりが「程よい距離感」を選べる家は、家族の対話を自然と生んでくれる住まいといえるはずだ。

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キッズファミリーの
快適で安心な暮らし                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                 
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