2017年10月25日発行 homeclubより

特集 デザインの可能性

part1 暮らしのすべてをデザインする
ミサワホームの設計思想

創立以来、住宅デザインの新しいスタンダードを切り拓き続けてきたミサワホーム。
28年連続のグッドデザイン賞の受賞歴は、群を抜いて高いデザイン力の証といえるだろう。
住まいだけでなく、暮らしのすべてをデザインするというその設計思想について、白浜一志執行役員にうかがった。

─ミサワホームでは、デザインの基本理念に「シンプル・イズ・ベスト」を掲げています。

白浜住まいに限らず、デザインは「人」のためにあるものです。人の暮らしをどう豊かにするのか、心身ともに健康に暮らせるためにはどうあるべきなのか。それを考えることが大切です。とりわけ住宅は、長きにわたって使い続けられるデザインであることも必要です。とはいえ、人の価値観は時間とともに変わっていきます。当然、インテリアの好みも変わるでしょう。場合によっては住む人自体が変わることさえあります。そうした将来の変化に対応しやすくするためには、住まいという器をできるだけシンプルにしておいた方がいいわけです。

─シンプルは決して「単純」を意味するのではなく、実は非常に奥が深い世界だと思うのですが。

白浜おっしゃる通り、「シンプル」でも「上質感」や「高級感」を表現することができます。本質的な上質感や高級感は、均整のとれた空間フォルムと、統制のとれた色、柄、サイズなどのディテールでつくられます。それは、ミニマムなスタイルでもクラシックなスタイルでも共通するところです。加えて、将来は違うインテリアも楽しみたいと思うなら、基本の空間はシンプルな方が模様替えもしやすいのです。

─ディテールへのこだわりも、ミサワホームの特徴ですね。

白浜弊社の「CENTURYPrimore」で採用している内と外が一体化した軒天井などはいい例ですね。室内と室外では耐候性や耐久性、メンテナンス性などに求められる性能が異なりますから、見た目は同じでも内と外とで使っている素材が違います。ですから、色を揃えるだけでも大変なことなのです。複雑なものをシンプルに美しく見せること。それもミサワホームの「シンプル・イズ・ベスト」のあり方のひとつです。

─ミサワホームは、住宅業界で唯一の28年連続グッドデザイン賞受賞を果たしています。応募する意義と受賞の意味とは何でしょう。

白浜ひとつは、社内の評価だけでなく、第三者的な評価を得たいということです。私たちは独りよがりなものをつくってはいないか。あるいは、社会から認知されるものなのかどうか。それらを外部の目でしっかりと評価してもらうことが応募する意義です。そしてもうひとつ、私たちが提案する新しい価値が、一歩先を見ている専門家の先生にどう評価されるのかを問うということもありますね。

─グッドデザイン賞の受賞は、生活者には信頼に足る商品であるという安心感にもつながります。

白浜応募を継続しているのは、いわばミサワホームの企業姿勢でもあります。1年や2年で終わらせず、新しい価値をつくり続けていくこと。そして、生活者が気づいていない価値に、いかに気づき、それを提案できるかが大事だと考えています。

─ミサワホームのデザインは、これから、どんな方向に向かうのでしょうか。

白浜環境問題や超高齢社会など、社会にはさまざまな問題が山積みです。そうした背景を考えながら、住宅メーカーとしてできるあらゆることをやっていくという方向になるでしょう。ミサワホームでは50年近く前からエネルギー技術にも取り組んできましたが、当時は住宅メーカーがなぜそんなことをするのかと首を傾げる方もいらっしゃいました。ですが、住まいも電気を消費する場所から、今は電気をつくる場所になっています。今後は水や食料についても、住宅メーカーとして取り組んでいくことになるかもしれません。

─今まで以上に暮らし全体をデザインしていくということですね。ありがとうございました。

白浜一志(しらはま・ひとし)

1963年、宮崎県宮崎市生まれ。ミサワホーム株式会社執行役員、商品開発部長。代表作は大収納を設けた「蔵のある家」、ゼロ・エネルギー住宅「ミサワホームZ」、都市型住宅「MACHIYA」など。その他、数多くの住宅でグッドデザイン賞を受賞。

part2 人を中心としたより豊かな社会へ
次なる暮らしを描くグッドデザイン

今や、生活者が商品を選択する際のひとつの指針にもなっているグッドデザイン賞。
その賞の目的が単なるデザインの優劣を競うことではないということをご存知だろうか。
では、グッドデザイン賞とは何なのか。そしてその受賞には、どんな価値があるのだろうか。

1957年に通商産業省(現・経済産業省)によって創設された「グッドデザイン商品選定制度(通称Gマーク制度)」を母体とし、以来、約60年にわたって実施されているグッドデザイン賞。有形無形を問わず、さまざまな物事を応募対象としており、家電やクルマなどの工業製品や、住宅などの建築物だけでなく、各種サービスや地域づくりのコミュニケーション、さらにはTV番組までもが審査の対象となっている。このことからもおわかりのように、グッドデザイン賞とは、単に見た目の美しさだけを競うコンペティションではないのである。
 グッドデザイン賞が重視しているのは、そのデザインが「人々の暮らしや社会を、どんなふうに豊かにしうるのか」という視点だ。たとえば1985年に受賞した携帯型音楽プレーヤー「ウォークマン」(ソニー株式会社)は、街を歩きながら好きな音楽を聴くという、それまでになかった新しいライフスタイルを生み出した。つまり、「モノ」だけでなく、「コト」もデザインした製品なのである。
 工業化住宅についても、同様の視点からの審査が行われる。求められるのは、そこに住む人の暮らしや、まち全体をより豊かにしていくための新しい提案が織り込まれたデザインだ。さらには、住宅としての性能や品質、一品物とは違う汎用性を備えていること、適正な価格や販売方法、社会や環境への貢献といった企業姿勢、そして美しさまでも含めた、トータルな審査によって受賞の可否が決定されている。
 グッドデザイン賞の受賞にはそうした価値が認められたという意味があり、信頼の証でもあるといえる。ミサワホームは、28年連続でグッドデザイン賞を受賞。53の住まいをはじめ計146点を受賞しており、住宅業界で随一の実績である。
 グッドデザイン賞を通して発見された次なる社会への可能性は、Gマークを使いながら世の中で広く共有され、それがさらなる創造への「気づき」を生み、次なるクオリティスタンダードの糧になっていく。この循環を通して社会発展の推進力を高めていくことも、グッドデザイン賞の大切な理念のひとつなのである。

続きを読みたい方はこちら

月刊homeclub11月号

テーマ
社会に貢献する
住まいのデザイン
特集
デザインの可能性

お申し込みはこちら

PAGE TOP