ところ変われば品変わる。バラエティ豊かな月の住人たち
月に住んでいるのは...?
秋は空気が澄み、月が美しく見える季節。月の模様もきっくりと際立ち、餅をつくウサギの姿が浮かび上がってくるようです。日本では月の模様をウサギに見立てることが多いですが、そうではない国や地域もたくさんあります。その背景には、各地域の自然環境や生活習慣、信仰などが関わっているのでしょう。月の模様は世界でどのように見られているのか?ほんの一部ではありますが、ご紹介しましょう。
東の月と西の月は印象が違う
そもそも月の模様は「海」と呼ばれる部分で、水があるわけではなく、黒い玄武岩でできているため黒く見えるのです。
月は常に同じ面を地球に見せており、見える模様も変わりません。ただ、模様の角度は変化し、月はウサギの耳を上にして昇ってきますが、沈む時は耳を下にして沈んでいきます(図1)。
日本では西に沈む月の模様を二宮金次郎(図2)に見立てることがあります。薪を背負いながら本を読む例のスタイルです。"逆さまのウサギ"より、"何かを背負う人"のほうが連想しやすかったのでしょうか。
外国から見た月の住人
二宮金次郎に見立てるのはさすがに日本だけですが、「薪を背負った男」に見立てるのはドイツも同様だとか。また、東から昇る月の模様を、北ヨーロッパでは「本を読むおばあさん(図3)」に見立てるそうです。もう少し南に昇った状態は、東ヨーロッパでは女性の顔(図4)に見立てられます。角度にあまり影響されないのは、南ヨーロッパのカニ(図5)でしょうか。その他、ヨーロッパで月の動物というと、ロバ(図6)が多いようです。
ヨーロッパ以外では、アラビアがライオン(図7)、ネイティブアメリカンやインドがワニ(図8)......動物というのは、なんとなくお国柄が出る気がします。
ちょっと変わっているのが、中国のヒキガエル(図9)。これは月の黒い部分ではなく、白い部分を見立てています。黒い部分は日本と似ていて、薬を煎じるウサギです。古代中国の模様には、月に住むものとしてウサギとヒキガエルを一緒に登場させていることが多々あります。
いかがですか?いろいろな国の例を見てあらためて月を眺めると、そこには何が見えるでしょう?天気の良い日の夜は、ぜひ月を見上げてみてください。
青く透明な秋の空、高く浮かぶのは何雲?
秋の空が高いのはどうして?
「天高く、馬肥ゆる秋」などという時候のあいさつがあるように、高く澄んだ空は、秋の到来を感じさせてくれる事象の一つです。それにしても、同じように暑くも寒くもない"過ごしやすい気候"でも、春の空と秋の空では印象が全く違います。なぜ秋の空はあんなに高く澄んでいるのでしょうか? その秘密を探ります。
秋の晴天は中国大陸からの高気圧が鍵
巻雲
「なぜ秋の空は高く澄んでいるのか」ですが、そもそも空の透明度が高く澄んでいるからこそ、空は青く高く見えるといえます。では、なぜ秋の空は透明度が高いのかといえば、空気中に含まれる水蒸気の量が少ないからです。
夏は、太平洋で発生した湿った高気圧に覆われることで晴れになります。一方秋になると、中国大陸から移動してくる乾燥した高気圧に覆われることで晴れになります。実感としても、秋はカラッとした晴天ですが、夏は晴れてもモワッとしていますよね。
高積雲
ちなみに、春も秋と同様に中国大陸からの乾燥した高気圧によって晴れますが、春の空は「春霞」という季語もあるように、ぼんやりと霞んでいる印象があります。原因はいくつかありますが、春の中国大陸は、雪や氷が融けたばかりで土壌がむき出しの状態。土や砂が舞い上がりやすく、たくさんの砂塵が日本まで飛来することが、大きな原因と考えられます。ところが秋になると、夏の間に草が生い茂って砂埃が立ちにくくなるため、日本まで飛来することはなくなり、空の透明度が保たれると考えられています。
入道雲とうろこ雲、高いのはどっち?
積乱雲
雲の様子は、夏と秋も違います。夏の雲の代表といえば、もくもくと湧き上がる入道雲。正式名称は積乱雲(せきらんうん)といい、下は地表付近から上は高度13kmくらいまで届く、非常に背の高い雲です。積乱雲は積雲(せきうん)が発達したもので、積雲は地表付近から高度2kmくらいに現れる、綿のような形をした雲です。雲の頂上の高さこそ違いますが、雲の底はいずれも高度が低いといえます。
巻積雲
一方、秋によく見られるのは、白いペンキをブラシでさっと刷いたような巻雲(けんうん)、うろこ雲、いわし雲、さば雲などと呼ばれる巻積雲(けんせきうん)、ひつじ雲などと呼ばれ、巻積雲よりやや大きくて厚みがある高積雲(こうせきうん)です。巻雲・巻積雲は高度5〜13kmに、高積雲は高度2〜7kmに現れます。つまり、実際に秋は雲の現れる位置が高くなっているわけです。
「秋らしくなってきたな」と感じたら、空を見上げて、空の透明度や雲の位置などを観察してみてくださいね。
シーンにあわせて"浴衣"を楽しむ今年の気分は古式ゆかしく?
「今日はどこかでお祭りかな?」夏の風物詩"浴衣"姿
夏になると、チラホラと華やかな浴衣姿を見かけます。今は浴衣といえば花火大会や夏祭りなどの外出着、あるいは温泉旅館などの寝巻ですが、かつては夏の日常着として欠くことのできないものでした。そんな浴衣の歴史から最新事情まで、浴衣の今昔をご紹介します。
庶民の生活に密着した"浴衣"
浴衣(ゆかた)の原型は、平安貴族が蒸し風呂に入る際に、やけどを防ぐために着用した「湯帷子(ゆかたびら)」だといわれています。帷子(かたびら)とは裏地をつけない着物のことです。当時、綿は高級品だったので、下着などに用いられる着物は麻で作られていました。
それが江戸時代後期になると、銭湯が普及して庶民に入浴の習慣が広がり、風呂も蒸し風呂から湯に浸かる形に変化しました。裸で入浴するようになり、また綿の国内栽培が盛んになったことから、湯上がりの汗をよく吸う綿で作られた"浴衣"が誕生したのです。
湯上り着=バスローブのようなものとして生まれた"浴衣"ですが、庶民に絹が禁止されていたこともあって、様々なシーンへ広がっていきました。夕方からのくつろぎ着として、寝巻きとして、夏の日常着や外出着として、盆踊りや夏祭りの揃い浴衣として...。ぼろぼろになるまで着たら、最後はおむつに仕立て直して余すことなく利用したそうです。
現代でも人気は古典柄・レトロ柄
現代では、浴衣はかつてのように生活に密着したものではないかもしれません。しかし、"いつもの洋服とは違う、夏を楽しむファッションとしての浴衣"は、平成の初め頃からブームになり、今やすっかり定着したように感じます。
洋服ブランドが出す現代的なデザインの浴衣なども話題になりましたが、ここ数年のトレンドは古典柄・レトロ柄なのだとか。やはりどこか"和風""伝統"を感じさせるものに回帰しているようです。
最近は「浴衣をお祭り以外でも着たい」という人が増えています。ただ、浴衣は基本的にラフな装いで、Tシャツにジーンズのイメージ。もし少しかしこまったところへも着て行きたいなら、下に長襦袢・足袋を着用します。その際、生地はスタンダードな綿コーマではなく、薄い綿紅梅(めんこうばい)や透かし織の綿絽(めんろ)など、上質な生地にするのがポイントです。
なにはともあれ、せっかくの夏!楽しく装いたいものです。
「母なる海」に思いを馳せつつ久しぶりの祝日を楽しんで!
「海の日」って言われても・・・?
7月の第3月曜日(今年は7月17日)は「海の日」。「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う日」とされていますが、「こどもの日」や「憲法記念日」などと違って、何を祝う日なのか、いまいちピンとこない方も多いのではないでしょうか?そんな「海の日」の由来や制定された背景を探るとともに、おススメの過ごし方などをご紹介したいと思います。
私たちの生活・文化を支えた海
「海の日」は比較的新しい祝日というイメージがありますが、意外と歴史は古く、前身である「海の記念日」が制定されたのは1941(昭和16)年。
1876(明治9)年に明治天皇が東北地方を巡幸された際、汽船「明治丸」で航海をし、7月20日に横浜港へ帰着されたことにちなんで、おもに海運関係者によって祝われてきました。
ところが1995(平成7)年の阪神淡路大震災において、空路・陸路による物流が麻痺した中で海運の重要性が見直され、かねてから行われていた「海の記念日」を祝日にしようという運動が実を結ぶこととなったのです。
確かに普段はあまり意識しませんが、日本は四方を海に囲まれており、古来から異国の優れた文物は海を渡ってやって来ました。現在も資源・食糧を始め様々なものが海を通じて輸入されています。日本が世界に誇る"寿司"も、豊かな海があってこその食文化。確かに日本は、海なくして存立し得ない国といえるでしょう。
海の日の過ごし方
そんな海の日には、どんな過ごし方がふさわしいでしょうか?
素直に海へ遊びに行くのもいいですし、贅沢な海の幸を堪能するもいいですね。各地でイベントが行われるので、それに参加するのも楽しそうです。海の日の由来となった横浜では、帆船日本丸が29枚すべての帆を広げる姿が見られます。日本丸が帆走する姿は優雅で美しく、「太平洋の白鳥」と呼ばれていたのだとか。周辺は記念公園となっていて見どころも多く、おススメのお出かけスポットです。
イベントは自治体が主催することが多いですが、中には海に面していない県もあります。奈良県では、「海の日」と同じ日を「奈良県山に日・川の日」に定め、源流体験ツアーや森林伐採体験など、様々なイベントを開催しています。
なにはともあれ、久しぶりの祝日、それも連休です!「海の日」を7月20日に固定化する動きがあるそうなので、ぜひ今のうちに連休を堪能してください。
雨傘も日傘も好きな現代日本。梅雨〜夏に大活躍する傘の意外な歴史とは?
昔はレインコートが雨具の主役だった!?
梅雨の時期に手放せないのが傘。今でこそ「雨具」といえば真っ先に傘をイメージしますが、昔の傘は雨具としてよりも、日除けや権力の象徴、あるいはファッションアイテムとしての役割のほうがメインだったとか。昔の庶民の雨具としては、今でいうレインコートにあたるものがメジャーだったようです。そんな傘と雨具の歴史についてご紹介します。
権威・権力の象徴としての傘
傘が歴史に登場するのは4000年ほど前といわれています。古代エジプトやアッシリアの彫刻や壁画では、王や王族と思しき貴人が従者に日傘を差し掲げられている構図がよく見られ、傘が権力の象徴であったことがうかがえます。
古代ギリシャやローマの時代になると、日傘とともに雨傘の記述がたびたび見られるようになり、また、傘が王侯貴族のものから一般に普及した様子が見てとれます。とはいっても、傘は"貴婦人"のものであり、傘を差し掲げるのは使用人などの役目で、やはり一定の権威の象徴、あるいは贅沢品だったようです。
日傘&女性用の歴史が長い洋傘
私たちが現在使っている傘は、洋傘と呼ばれるヨーロッパ発祥の傘です。ヨーロッパにおける傘は、贅沢品であり富と権力の象徴であるとともに、どちらかといえば雨傘より日傘、男性より女性が持つものでした。雨をしのぐのは、おもに外套や帽子の役目だったのです。
傘が男性も使う雨具として広まったのは18世紀後半以降のこと。イギリスの旅行家ジョナス・ハンウェーが、ペルシャ旅行で見かけた雨傘に感激し、防水加工を施した傘を差してロンドンの町を歩いたことに始まります。最初は変人扱いしていた周囲も、30年間見続けるうちに抵抗がなくなり、やがて持ち手などをステッキに似せた傘が開発されると、一気に普及しました。
「かさ」といえば「傘」でなく「笠」だった日本
明治時代以降は日本でも洋傘が普及しましたが、それまでは和傘と呼ばれる伝統的な傘が使われていました。
日本の傘は、飛鳥時代に百済から伝わった「きぬがさ(絹を張った長柄のかさ)」が始まりとされています。平安時代には竹のフレームに和紙を貼った傘が生まれ、室町時代には和紙に油を塗って雨具としても用いられるようになりました。ただ、やはりまだ一部の特権階級のものであり、実用的に普及したのは江戸時代中期以降といわれています。
それまで庶民の雨具といえば、菅笠(すげがさ)や蓑(みの)。「かさ」といえば、柄(え)のない被り物の「笠」でした。ところが今の日本は雨傘も日傘も使用率が高く、一方、ヨーロッパなどでは日傘はおろか雨傘もあまり使用しないのだとか。不思議なものですね。
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