時代とともに変わる年始の挨拶。新年は年賀状?メール?
1月2日の年賀状配達は中止
何かと慌ただしい12月。年賀状の準備に追われる人も多いのでは?2017年からは人件費上昇やメールの普及などによる年賀状数の減少で、1月2日の配達がなくなりました。元旦に届かない分は3日になってしまうので、きちんと元旦に間に合うように出したいものですね。世相に合わせて変わりゆく年賀状の歴史をご紹介しつつ、いつまでに出せばよいかなどの基本をおさらいします。
年賀状の原型は平安時代から
私たちが「年賀状」といえば"年賀はがき"ですが、はがきのない昔は"年賀の書状"でした。平安時代に年始の挨拶回りをする風習が広まり、直接訪ねることができない遠方の人へは、文書で挨拶するようになりました。平安時代後期に作られた手紙の文例集『明衡往来(めいごうおうらい)』には、年始の挨拶の文例が納められています。この頃の貴族階級には、年賀の書状を送る風習が広まっていたことをうかがえます。
それが庶民まで広がったのが江戸時代。またこの頃は、年始回りで相手が不在の際、名前や屋号、お祝いの言葉などを書いた札を玄関脇の棒に刺し、挨拶代わりとする風習も広まりました。これは年賀状のルーツでもあり、また"名刺"のルーツでもあるようです。
初期の年賀はがきは普通の郵便と同じ扱いだった
明治時代になると、郵便制度が始まり"はがき"が登場。これは年始の挨拶のような簡易な内容を送るにはうってつけの形態でした。やがて、はがきで年賀状を送ることが定着しました。
しかしそうなると、年末年始の郵便取扱量が格段に増えることに。特に、「1月1日」の消印を狙って、12月26〜28日と元旦の郵便物がふくれあがりました(当時の消印は受付局と配達局の2つ)。
そこで誕生したのが、年賀郵便の特別取扱です。当初は、一定期間に指定された郵便局に持ち込めば、「1月1日」の消印で新年に配達するというものでした。その後、全国すべての郵便局で取り扱うようになり、やがて「年賀」と表記すればポストへの投函も可能となり・・・。そして昭和24年、私たちが知る"お年玉付年賀はがき"が発行されたのです。
年賀状を元旦に届けるためには
年賀はがき引受開始日は12月15日で、全国への元旦配達の期限日は12月25日。この期間中に投函すれば、基本的には元旦に届きます。喪中はがきは12月初旬までには送りましょう。郵便局窓口やコンビニなどでの年賀状販売は、11月1日から1月6日まで。ただし、売り切れることもあるので、購入はお早めに。なお、年賀状は松の内(元旦から1月7日まで)に届くように出し、それより遅れるなら普通はがきで寒中見舞いを出しましょう。
冬の訪れを告げる「木枯らし一号」あなたの街で吹くのはいつ?
木枯らしは「一番」?「一号」?
11月は秋が深まり冬の気配が近づく頃。「木枯らし一号が吹いた」と聞けば、本格的な冬の訪れを感じます。ところで、似たような"季節の変化を告げる風"として「春一番」がありますが、それぞれに具体的な定義はあるのでしょうか?また「一番」と「一号」、なぜ単位が違うのでしょうか?素朴な疑問に迫ります。
地域が限定されている「木枯らし一号」
気象庁では「木枯らし一号」を次のように定義しています。
●期間は「霜降」(10月23日頃)から「冬至」(12月21日頃)までの間
●冬型の西高東低の気圧配置になった時
●北よりの風
●最大風速が毎秒8m以上
紅葉していた秋の木立の葉を散らし、また「立冬」(11月7日頃)前後に吹くことが多いため、冬の訪れを感じさせる風の代名詞になっています。
なお、木枯らし一号が発表されるのは関東地方(東京)と近畿地方(大阪)についてのみで、他の地方については発表されていません。とはいえ、他の地方で観測されないというわけではなく、気象庁による正式な発表がされていないということのようです。
漁師が使う方言だった「春一番」
一方、「春一番」の気象庁による定義は以下の通りです。
●期間は「立春」(2月4日)から「春分の日」(3月20日頃)までの間
●低気圧が日本海側にあるとき
●南よりの風
●最大風速が毎秒8m以上
●最高気温が平年値または前日より高い
暖かく春の訪れを感じさせる風ではありますが、雪崩・融雪洪水・竜巻などの気象災害や海難事故をもたらすことが多いので注意が必要です。
そもそも春一番という言葉は、ある地方の漁師が使う俗語だったといいます。それが春一番による海難事故が世に紹介されると、春一番という言葉も有名になり、やがて気象用語に採用されたのです。ちなみに木枯らし一号は気象庁の職員が使い始めたため、台風にならって「○号」と呼ぶようになりました。
なお、北日本でも春一番のような風は吹きますが、その後に北西からの季節風が吹き冬に逆戻りするため、春一番とは言わないそうです。また、沖縄でも春一番の発表はされていませんが、それは日本海側の低気圧により、吹く南風がそれほど強くならないためだそうです。
ところ変われば品変わる。バラエティ豊かな月の住人たち
月に住んでいるのは...?
秋は空気が澄み、月が美しく見える季節。月の模様もきっくりと際立ち、餅をつくウサギの姿が浮かび上がってくるようです。日本では月の模様をウサギに見立てることが多いですが、そうではない国や地域もたくさんあります。その背景には、各地域の自然環境や生活習慣、信仰などが関わっているのでしょう。月の模様は世界でどのように見られているのか?ほんの一部ではありますが、ご紹介しましょう。
東の月と西の月は印象が違う
そもそも月の模様は「海」と呼ばれる部分で、水があるわけではなく、黒い玄武岩でできているため黒く見えるのです。
月は常に同じ面を地球に見せており、見える模様も変わりません。ただ、模様の角度は変化し、月はウサギの耳を上にして昇ってきますが、沈む時は耳を下にして沈んでいきます(図1)。
日本では西に沈む月の模様を二宮金次郎(図2)に見立てることがあります。薪を背負いながら本を読む例のスタイルです。"逆さまのウサギ"より、"何かを背負う人"のほうが連想しやすかったのでしょうか。
外国から見た月の住人
二宮金次郎に見立てるのはさすがに日本だけですが、「薪を背負った男」に見立てるのはドイツも同様だとか。また、東から昇る月の模様を、北ヨーロッパでは「本を読むおばあさん(図3)」に見立てるそうです。もう少し南に昇った状態は、東ヨーロッパでは女性の顔(図4)に見立てられます。角度にあまり影響されないのは、南ヨーロッパのカニ(図5)でしょうか。その他、ヨーロッパで月の動物というと、ロバ(図6)が多いようです。
ヨーロッパ以外では、アラビアがライオン(図7)、ネイティブアメリカンやインドがワニ(図8)......動物というのは、なんとなくお国柄が出る気がします。
ちょっと変わっているのが、中国のヒキガエル(図9)。これは月の黒い部分ではなく、白い部分を見立てています。黒い部分は日本と似ていて、薬を煎じるウサギです。古代中国の模様には、月に住むものとしてウサギとヒキガエルを一緒に登場させていることが多々あります。
いかがですか?いろいろな国の例を見てあらためて月を眺めると、そこには何が見えるでしょう?天気の良い日の夜は、ぜひ月を見上げてみてください。
青く透明な秋の空、高く浮かぶのは何雲?
秋の空が高いのはどうして?
「天高く、馬肥ゆる秋」などという時候のあいさつがあるように、高く澄んだ空は、秋の到来を感じさせてくれる事象の一つです。それにしても、同じように暑くも寒くもない"過ごしやすい気候"でも、春の空と秋の空では印象が全く違います。なぜ秋の空はあんなに高く澄んでいるのでしょうか? その秘密を探ります。
秋の晴天は中国大陸からの高気圧が鍵
巻雲
「なぜ秋の空は高く澄んでいるのか」ですが、そもそも空の透明度が高く澄んでいるからこそ、空は青く高く見えるといえます。では、なぜ秋の空は透明度が高いのかといえば、空気中に含まれる水蒸気の量が少ないからです。
夏は、太平洋で発生した湿った高気圧に覆われることで晴れになります。一方秋になると、中国大陸から移動してくる乾燥した高気圧に覆われることで晴れになります。実感としても、秋はカラッとした晴天ですが、夏は晴れてもモワッとしていますよね。
高積雲
ちなみに、春も秋と同様に中国大陸からの乾燥した高気圧によって晴れますが、春の空は「春霞」という季語もあるように、ぼんやりと霞んでいる印象があります。原因はいくつかありますが、春の中国大陸は、雪や氷が融けたばかりで土壌がむき出しの状態。土や砂が舞い上がりやすく、たくさんの砂塵が日本まで飛来することが、大きな原因と考えられます。ところが秋になると、夏の間に草が生い茂って砂埃が立ちにくくなるため、日本まで飛来することはなくなり、空の透明度が保たれると考えられています。
入道雲とうろこ雲、高いのはどっち?
積乱雲
雲の様子は、夏と秋も違います。夏の雲の代表といえば、もくもくと湧き上がる入道雲。正式名称は積乱雲(せきらんうん)といい、下は地表付近から上は高度13kmくらいまで届く、非常に背の高い雲です。積乱雲は積雲(せきうん)が発達したもので、積雲は地表付近から高度2kmくらいに現れる、綿のような形をした雲です。雲の頂上の高さこそ違いますが、雲の底はいずれも高度が低いといえます。
巻積雲
一方、秋によく見られるのは、白いペンキをブラシでさっと刷いたような巻雲(けんうん)、うろこ雲、いわし雲、さば雲などと呼ばれる巻積雲(けんせきうん)、ひつじ雲などと呼ばれ、巻積雲よりやや大きくて厚みがある高積雲(こうせきうん)です。巻雲・巻積雲は高度5〜13kmに、高積雲は高度2〜7kmに現れます。つまり、実際に秋は雲の現れる位置が高くなっているわけです。
「秋らしくなってきたな」と感じたら、空を見上げて、空の透明度や雲の位置などを観察してみてくださいね。
シーンにあわせて"浴衣"を楽しむ今年の気分は古式ゆかしく?
「今日はどこかでお祭りかな?」夏の風物詩"浴衣"姿
夏になると、チラホラと華やかな浴衣姿を見かけます。今は浴衣といえば花火大会や夏祭りなどの外出着、あるいは温泉旅館などの寝巻ですが、かつては夏の日常着として欠くことのできないものでした。そんな浴衣の歴史から最新事情まで、浴衣の今昔をご紹介します。
庶民の生活に密着した"浴衣"
浴衣(ゆかた)の原型は、平安貴族が蒸し風呂に入る際に、やけどを防ぐために着用した「湯帷子(ゆかたびら)」だといわれています。帷子(かたびら)とは裏地をつけない着物のことです。当時、綿は高級品だったので、下着などに用いられる着物は麻で作られていました。
それが江戸時代後期になると、銭湯が普及して庶民に入浴の習慣が広がり、風呂も蒸し風呂から湯に浸かる形に変化しました。裸で入浴するようになり、また綿の国内栽培が盛んになったことから、湯上がりの汗をよく吸う綿で作られた"浴衣"が誕生したのです。
湯上り着=バスローブのようなものとして生まれた"浴衣"ですが、庶民に絹が禁止されていたこともあって、様々なシーンへ広がっていきました。夕方からのくつろぎ着として、寝巻きとして、夏の日常着や外出着として、盆踊りや夏祭りの揃い浴衣として...。ぼろぼろになるまで着たら、最後はおむつに仕立て直して余すことなく利用したそうです。
現代でも人気は古典柄・レトロ柄
現代では、浴衣はかつてのように生活に密着したものではないかもしれません。しかし、"いつもの洋服とは違う、夏を楽しむファッションとしての浴衣"は、平成の初め頃からブームになり、今やすっかり定着したように感じます。
洋服ブランドが出す現代的なデザインの浴衣なども話題になりましたが、ここ数年のトレンドは古典柄・レトロ柄なのだとか。やはりどこか"和風""伝統"を感じさせるものに回帰しているようです。
最近は「浴衣をお祭り以外でも着たい」という人が増えています。ただ、浴衣は基本的にラフな装いで、Tシャツにジーンズのイメージ。もし少しかしこまったところへも着て行きたいなら、下に長襦袢・足袋を着用します。その際、生地はスタンダードな綿コーマではなく、薄い綿紅梅(めんこうばい)や透かし織の綿絽(めんろ)など、上質な生地にするのがポイントです。
なにはともあれ、せっかくの夏!楽しく装いたいものです。
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