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極地の技術が日本で進化「蔵」のある基本観測棟ミサワホーム技術部福田 真人

創立から50年以上、数々の「今までにないもの」を送り出してきたミサワホーム。「基本観測棟」の12角形という斬新なフォルムもそんな挑戦から生まれた。2016年にスタートした現地での建設は、完成まであとわずかとなっている。

建設中の基本観測棟とオーロラ。オーロラ観測は、基地開設以来、継続して行われている。

南極での基本観測棟の建設にも携わった福田真人元隊員は、高床式12角形というフォルムには機能的な裏付けがあると語る。「風の流れをきれいに整え、効率よく雪を吹き飛ばすための形状です。本来の理想は球形ですが、施工のしやすさ、設備や家具の配置なども考慮し、風洞実験の結果と合わせ、12角形が最適であると判断したのです」基本観測棟は、建物の内部にも斬新な発想が活かされている。「観測体制が将来的に変化することを見据え、それに伴う間取りの変更が自由にできる構造です。そのため、外壁と床、真ん中の4本の柱以外は、どの壁を取り払っても構造体の強度が維持できるようになっています」現状では、各研究分野の観測方法の違いに合わせ、広さや天井の高さが異なるいくつもの部屋が用意されている。

南極では雪かきも大事なメンテナンス作業のひとつ。

「気象隊員がバルーンを膨らませる放球室は、4mの天井高が必要です。一方、オゾンの観測をする部屋は、天井高が1.7m以下でなければなりません。天井高の違う部屋をつくるとデッドスペースが生まれますが、そこを大収納空間『蔵』にして観測資材の保管などに活用します。さまざまな天井高の部屋がありながら、風速60m/秒の強風に耐えられる強固な建物を実現できるのは、木質パネルならではですね」実はミサワホームでは、30年以上も前に、間取り変更が容易な8角形の住まいを発売している。新しい技術は一朝一夕で生まれるものではなく、積み上げられてきた挑戦の歴史の上に成し遂げられるもの。基本観測棟は、そんなミサワホームの姿勢があるからこそ誕生したといえるだろう。

基本観測棟

これまで別々になっていた「気象棟」「地学棟」「電離層棟」「環境科学棟」の4つの研究棟をひとつに統合する「基本観測棟」。高床式で12角形という斬新な建物フォルムは、ブリザードの雪でも埋もれないことを狙ったものだ。将来の研究スタイルの変化を見据え、間取りが自由に変更できるようになっている。

8角形の住まいセンチュリーA8

ミサワホームが1985年に発表した、従来の常識を覆す8角形フォルムの住まい。RC構造の架台を利用した高床設計とし、ライフスタイルの変化に応じて間取りを自由に変えられるワンフロア40畳以上の可変空間となっている。画期的かつ斬新な発想は30年後の基本観測棟の源流といえる。

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ミサワホームの「蔵」

基本観測棟でも採用された大収納空間「蔵」には、抜群の収納力の他に、変化に富んだ空間づくりができるメリットがある。進化を続ける「蔵」はスキップフロアで家族のほどよい距離感を生み出すなど、新しいライフスタイルを提案。さらには非常時に備える備蓄スペースにも役立つなど、日本の住まいに貢献し続けている。
※「蔵」は居室としての使用はできません。

福田 真人(ふくだ・まさと)

1979年、神奈川県横浜市生まれ。現在、ミサワホーム技術部。2015年12月から2017年3月まで、「第57次日本南極地域観測隊・越冬隊隊員(建築土木部門)」として、昭和基地に1年4カ月滞在。自然エネルギー棟のメンテナンス、基本観測棟の新築工事、情報処理棟・光学観測棟のリフォーム工事などを担当した。「南極クラス」の講師も兼任。

先進の環境技術を結集した自然エネルギー棟のチャレンジ第56次日本南極地域観測隊・越冬隊隊員(建築土木部門)浅野 智一

マイナス45℃の世界では、人間は電気や暖房がなければ生きていけない。
昭和基地では、究極のエネルギー自給をめざして挑戦し続け、日本の住まいにも大きな貢献を果たす技術への取り組みが行われている。

外部からの燃料補給が年に1度だけという昭和基地。エネルギーの自給は大きな課題のひとつだ。

 必要物資の補給を南極観測船「しらせ」による年に1度だけの輸送に頼っている昭和基地。万が一、厳冬期に発電機の燃料が不足すれば、隊員の命を脅かす事態に直結する。限られたエネルギーを最大限に有効活用することはもちろん、南極の自然環境への負荷を低減するという意味でも、自然エネルギーの積極的な利用が必須といえる。

「自然エネルギー棟」は、そんな課題に向けた試みのひとつである。

自然エネルギー棟

観測隊の一員として自然エネルギー棟のメンテナンスなどに携わった浅野智一元隊員に話を聞いた。「外壁に組み込まれているのは、太陽熱を集熱するパネルです。暖かい空気を室内循環させて暖房システムとして活用します。外気がマイナス15℃のときでも、吹き出し口の温度は最高60℃くらいになります。また、今後は太陽光発電や風力発電を活用して他の棟に電力を送ることも考えています。建物内には蓄電池室があり、その運用も進めています」

雪上車整備室にはアルミ床材の床暖房システムを設置。建物の基礎全体を断熱するため、保温力が非常に高い。

自然エネルギー棟では、太陽熱集熱システムや、太陽光・風力発電による蓄電制御、アルミ床材の床暖房システムなどのエネルギー技術や、それを活かした防災技術へのチャレンジも行われている。

「屋根が流線形の建物フォルムは、風の力を利用してブリザードによる雪の吹き溜まり、スノードリフトを防止するために考案したものです。雪を降らせることのできる風洞実験施設で、建設地周辺の地形も再現してテストを行い、コンピューター解析を繰り返して形状を決定しました」

マイナス20℃の寒さのなかで行う高所の電線補修作業。

電気機器の需要や使用頻度の増加によって、年を追うごとにエネルギー事情がひっ迫している昭和基地。それはまさに日本のエネルギー事情の縮図そのものだ。南極での数々の挑戦は、エネルギー自給、災害に強い住まいやまちづくりの大きな指針となるはずだ。

自然エネルギー棟

2013年に完成した「自然エネルギー棟」。太陽熱を利用する暖房システムが備わり、さらには太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーも活用し、他の棟に電力を供給する。風上側の屋根が流線形になった特長的な建物フォルムは、ブリザードの雪害対策として生み出されたものだ。2011年グッドデザイン賞受賞。

南極のエネルギー事情

周囲と隔絶した南極では、電力はすべて現地で創り、管理しなければならない。ディーゼル発電機、雪上車などに使用される昭和基地の燃料の年間必要量は約600t。これは、年に1度、砕氷艦「しらせ」で輸送する全ての物資の約1/2に相当する。また、南極では自然環境への負荷を減らす国際条約が定められているため、廃棄物を極力出さないエネルギーの利用方法が求められている。

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一歩先行く環境住宅「ECO Flagship Model」

建設時から居住時、廃棄に至るまでのトータルのCO2収支がマイナスとなる画期的な住宅。木質パネルの外側にさらに断熱材をつける「付加断熱」や、太陽熱による暖房補助システムなど、南極で培われた技術が活かされている。

インフラを必要としない蒸暑地サステナブルリビング実証棟

電気も水も創り出す、持続可能なインフラを必要としない住まいを実現させる実験が、沖縄科学技術大学院大学とミサワホーム総合研究所の共同で進行中だ。太陽光発電と風力発電による電力を蓄電し、家庭内で使用するシステムの検証などが行われている。

浅野 智一(あさの・ともかず)

1972年、千葉県千葉市生まれ。現在、ミサワホーム建設・千葉事業部所属。2014年7月から2016年3月まで、「第56次日本南極地域観測隊・越冬隊隊員(建築土木部門)」として昭和基地に1年4カ月滞在し、建設やメンテナンス業務などを行う。帰国後は、「南極クラス」の講師も務めている。

観測隊員の命と活動を守る木質パネルの高い断熱性ミサワホーム技術部秋元 茂

南極観測活動の拠点であると同時に、隊員たちの住まいでもある昭和基地。
極寒の地では、建物は隊員の命を守るシェルターの役割も果たす。
強固な建物の構造体に採用されているのは、断熱性に優れた木質パネルだ。

基地機能の拠点である「管理棟」。食堂や医療施設なども備える昭和基地最大の建物だ。

 吐いた息が一瞬で氷と化し、露出した肌は凍傷の危機にさらされる──。昭和基地の夏は平均気温がマイナス1℃、冬は平均マイナス20℃。そんな過酷な自然環境にもっとも適している建物建設に採用されたのは、木質パネル工法だ。

 国立極地研究所に出向し、南極地域観測隊に参加した経験を持つ秋元茂元隊員は、その特長について次のように語る。

 「木という素材は、非常に優れた断熱性を備えています。断熱性とは、いわば熱の伝わり方のこと。たとえば鉄は、温めたり冷やしたりすると、触ったときに熱かったり冷たかったりしますね。これは熱を伝えやすい、つまりあまり断熱ができていないことを意味します。木を1とすると、鉄は525倍も熱を伝えやすく、コンクリートでも木の10倍もの熱伝導率がありますから、南極には木が適しているのです」

※ 正式名称は、大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立極地研究所です。

現地では既存建物のメンテナンスも大切な仕事だ。

 極寒の地でありながら、室温が20℃前後に保たれているという昭和基地。このことからも、木質パネルの断熱性がいかに優れているかが理解できるだろう。

 高い断熱性に加え、南極では強固な構造体も不可欠だ。「隊員が暮らす居住棟は、秒速60mのブリザードが発生すると、風向きによっては56tもの力が加わる計算になります。しかもそれは一瞬ではありません。ブリザードは通り過ぎるまでに3日から4日はかかります。その間ずっと建物に力が加わり続けるわけですから、とてつもなく強靭な構造体が必要になるのです」

現在の居住等。室温は約20℃に保たれ、南極にいると思えないほど快適だ。

 それを実現しているのが、木質パネルによる「モノコック構造」だ。ジェット機などでも採用されているこの一体構造は、どの方向から荷重がかかっても建物全体で分散して受け止めるため、部分的なひずみやくるいが生じにくく、構造体の強さを最大限に発揮できることが特長である。

 南極の厳しい自然から隊員の命を守る強固な構造体は、地震や台風の多い日本の安心な住まいづくりにもしっかり活かされている。

南極の自然環境

陸地の97%以上が厚い氷に覆われている南極大陸。その広さは、日本の国土の約37倍にあたる約1,388万k㎡。昭和基地は比較的温暖な地域にあるが、それでも厳冬期の最低気温はマイナス45℃を下回るという過酷さだ。1年の1/3は風速15m/秒以上の風が吹き、風速60m/秒のブリザードが何日も続くこともある。

ブリザードでは自分の指先も見えないほどのホワイトアウトに。

命を守る木質パネルとモノコック構造

隊員が暮らす居住棟は過酷な環境下では命を守るシェルターとなる。

優れた断熱性と気密性を備えた木質パネルと強靭なモノコック構造が、ブリザードが吹き荒れる極寒の地で隊員の命を守り、快適な室内環境を提供する。

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住まいの未来基準「センチュリーモノコック」

南極で培った技術が、「大開口×高断熱」「大空間×高耐震」という矛盾する技術を両立させ、高快適な住まいをつくる新構法へと発展。木質パネルは従来の厚さ90㎜に加え、南極と同じ120㎜厚もラインアップ。強さと快適さを併せ持つ未来基準の構法だ。

秋元 茂(あきもと・しげる)

1967年、神奈川県逗子市生まれ。現在、ミサワホーム技術部。南極関連業務として1997年からミサワホームが供給する建物の設計・部材製作等に従事。2009年「第51次日本南極地域観測隊・越冬隊隊員」として参加。設営部門・建築担当として自然エネルギー棟の建築工事に携わり、技術的な指導なども行った。

ペットと暮らすということドッグライフカウンセラー三浦 健太

ペットとの暮らしは、家族にどんなものを与えてくれるのだろうか。
ドッグライフカウンセラーとして数多くの愛犬家と接してきた三浦健太さんに、
日本人ならではのペットとの関係を中心に、愛犬家の悩みなども合わせてうかがった。

愛犬が人に与えてくれるもの

── 犬・猫の飼育頭数がアメリカに次いで世界第2位という日本は、今やペット大国と呼んでも過言ではないと思います。そんな日本では、飼い主と愛犬の関係はどのようなものなのでしょうか。

三浦 昔は伴侶動物、つまりパートナーという存在でした。それが今では家族の一員という考え方が一般的です。パートナーとは、仕事をする存在です。たとえば番犬や猟犬などがわかりやすい例ですね。パートナーは役に立つかどうか、つまり必要か不要かを判断される立場です。欧米では、今もパートナーという位置付けが主流です。対して愛犬を家族と考える日本では、必要か不要かといった視点はありません。何もできなくてもかわいい存在ですし、むしろ出来の悪い子ほどかわいいと考える方もいらっしゃいます。

── 日本人のペットとの関係は世界から見ると少し特殊なのですね。

三浦 日本人は昔から自然を身近に感じ、自然と一体化することに長けています。動物は自然の一部。日本人の動物好きはそんな歴史が関係しているのかもしれません。

── 近年では、ご高齢の方が、心を癒してくれる存在として犬を飼うという話も聞かれます。

三浦 役に立つかどうかではなく、心の糧になることを重視する。こうした日本的なペットとの関係は、欧米でも増えつつあります。人という生き物は、モノが満ち足りてくると、次は心の豊かさを重視します。日本的なペットとの付き合い方は、今後ますます世界に広がっていくかもしれません。

── 心の糧となるだけでなく、愛犬との散歩が健康促進になるなど、愛犬はさまざまなものを与えてくれますね。

三浦 おっしゃる通りです。他にも、家族の絆が深まったというケースもありますね。犬は人間と違ってしゃべりません。そのため、犬の気持ちを汲み取ろうという姿勢が自然と促されるようになります。それが家族同士にも活かされて、親は自然と子どもの声をよく聞くようになり、様子に気を配るようになったりします。子どもにとっても同様で、相手のことをわかろうとする習慣が自然と身につくようになります。

── 子どもは成長とともに趣味や興味も変わり、親や祖父母と話題が合わなくなることがありますが、愛犬はいつまでも家族の共通の話題になりますね。

犬の一頭一頭に違う個性が

── 飼い方教室や講演会などを年間100回以上も行っているそうですが、愛犬家からはどのような質問が寄せられますか。

三浦 愛犬の無駄吠えを直すにはどうしたらいいかといった相談が多いですね。直すのは、実はそれほど難しいことではありません。直せないケースの多くは、犬の個性を理解していないことが原因です。たとえばバイクに乗った郵便屋さんが来ると吠えてしまう場合なら、郵便屋さんが怖くて吠えているのか、攻撃したくて吠えるのか、あるいは飼い主に伝えるためか、バイクが嫌いなのかなど、犬の個性によって吠える理由が違います。攻撃心が理由なら叱ることで直せますが、もしも怖くておびえているときに最愛の飼い主が叱ってしまったら、犬はどうしたらいいかわからなくなってしまいます。犬の個性を見極め、それに合わせて対処することが必要です。

── 昨今は大規模な自然災害も多く、ペットについてもしっかりと考えておきたいですね。

三浦 愛犬はかけがえのない存在ですからね。災害時に心の支えになったという声も聞きました。ですが、災害時の避難所は犬の受け入れができないケースも少なくありません。これから住まいをつくるなら、大きな地震があっても飼い主と一緒に暮らし続けられる強い家を建てて欲しいですね。

── 愛犬にとっても、一緒に暮らし続けられることは幸せですね。本日はありがとうございました。

三浦健太(みうら・けんた)

1950年東京都生まれ。ドッグライフカウンセラー。NPO法人ワンワンパーティクラブ代表。全国各地で愛犬家のためのイベントやしつけ教室、セミナーなどを開催する他、自治体などと協力しながら、マナー啓発やドッグランの設置、運営アドバイスなども実施。毎年春には、犬の正しい飼い方を書いた小冊子を制作し、保健所を通して全国100万人の飼い主に配布する活動を、20年にわたって続けている。著書に『心があったかくなる犬と飼い主の8つの物語』(アスコム刊)など。

子どもの成長に必要な住まいの環境AERA with Kids編集長江口 祐子

子どもが成長するために、親が大切にすべきこととは? そして必要な環境とは?
小学生の子どもを持つ親向けの育児誌「AERA with Kids」の編集長として、
専門家や子育てファミリーへの豊富な取材経験を持つ江口祐子さんにお話を伺った。

自己肯定感を育む大切さ

── 子どもの成長にとって大切なものとは何でしょうか。

江口 出してほめてあげることが大切です。そのような親の声かけは、子どもの自信や自己肯定感を育みます。どんなに学力があっても、自己肯定感がないと、何かにチャレンジする勇気が持てなかったり、どこかでつまずいたとき、立ち上がれなかったりすることが起こりがちです。

── 自己肯定感は、社会に出てからの力にもなりますね。

江口 ほめすぎの弊害を指摘する声もありますが、家庭のなかでは、ほめすぎるくらいほめてあげてもいいのではないかと思います。というのも、幼少期には点数や偏差値で測られることは少ないのですが、小学校に入学すると、とたんに「点数社会」になってしまいます。子ども自身も、つい隣の子と自分を点数で比べて、「自分はダメだ」と思ってしまうことが増えてくるからです。

── どんなことをほめてあげたらよいのでしょうか。

江口 たとえば、家庭でのお手伝い。お手伝いは、無条件にほめてあげられるよい機会です。学校のテストのように点数がついたりしませんからね。子どもにとっては、「自分はできるんだ」という自信をつける場となるだけでなく、親から「ありがとう」と感謝してもらうことで、自分の存在価値を感じる機会にもなります。

手伝いやすい環境をつくる

── お手伝いをさせたいけれど、なかなかうまくいかないという家庭もあるようです。

江口 お手伝いをするまでのハードルが高いと、子どもはお手伝いを面倒くさく感じてしまいます。たとえば、離れた部屋に持って行って片付けなければいけないとか、片付けるまでに手間がかかりそう、などですね。モノを片付けるお手伝いの場合なら、使ったモノをそのまますぐにしまえる場所に収納があったり、さっと簡単にしまえる収納が用意されていると、子どもは面倒くさがらずにお手伝いできます。また、室内の「動線」も重要なポイントです。テーブルの位置と家事スペースの関係がちょっと変わっただけでも、お手伝いがすごくやりやすくなったりします。

親子の程よい距離感を

── 住まいのちょっとした工夫が大きな差になるのですね。

江口 親密なコミュニケーションが必要な一方で、子どもの成長とともに、ある程度の距離感をつくってあげることも大切です。たとえば、最近の学習環境の定番のひとつに「リビング学習」というものがあります。リビングで親子が関わりながら勉強するというスタイルですね。親の目が届きやすいという利点がある一方で、子どもにとっては親に常に見られていることがストレスになってしまうこともあるようです。そんなときには、子どもがこもれるようなちょっとした基地のようなものをつくってあげるといいですね。完全な個室ではなく、壁に向かってテーブルを置いて、小さな本棚などでなんとなく視線を遮れるような、そんな場所でいいのです。

── 視線は遮るけれど、気配は感じられる、そんな距離感ですね。

江口 さらに成長すれば、いずれは個室を与えてひとりで勉強するというのもあるでしょう。

── 成長期に合わせて子どもの居場所を変えられる住まいなら、各時期の親子の距離感もつくりやすいですね。

江口 住まいについては居心地のよさも大切です。友だちや先生との関係など、子どもも大人同様にさまざまなストレスを抱えています。帰ったらホッとできる、そんな場所にしてあげたいですね。

── 安心して暮らせることも、子どもの成長には欠かせませんね。本日はありがとうございました。

江口祐子(えぐち・ゆうこ)

生活情報誌や一般書籍の編集を経て2009年より「AERA with Kids」編集部へ。教育専門家、小学生を持つ読者の取材を重ねる。2018年より編集長。中学1年生の女子の母。

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