Column│新しいライフスタイルのご提案や、子育て、オーナーさまのこだわりのお宅拝見、
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おしゃべり上手は子育て上手AERA with Kids 取締役デジタル本部長中村正史

教育から人間関係まで、幅広い切り口で親と子どもの本音に迫る『AERA with Kids』。綿密な取材によって描き出される現代のリアルな家族像は、読者の強い共感を呼んでいる。中村正史取締役デジタル本部長に子育てのこと、そして家のことについて伺った。

子育てで一番大切なのはコミュニケーション

『アエラ ウィズ キッズ』のコンセプトは、「おしゃべり上手は子育て上手」。親子の活発なコミュニケーションが、子育ての基本だと考えています。
学校から帰ってきたら、その日にあったことをお母さんに話す。休日にはお父さんと話をする。こうした日常の何気ない親子の会話が、なによりも大切です。
親子で話すときの、子どもの様子を思い浮かべてください。まず、親の話を聞こうとするでしょう。実はこれ、聞く力が育つと同時に、大人の話し方や難しい語彙を覚えていく上でとても有用です。
そして、子どもは話を聞いたら自分の考えをまとめ、それを言葉にして伝えようとします。つまり、表現力が身につきます。さらに、子どもは親に話を聞いてもらえると、安心感が生まれる、自信もつくのです。

ある調査では、親子の会話量が多いほど勉強に費やす時間が長く、学力向上につながる傾向にある、という結果が出ています。もちろん、勉強がすべてではありません。しかし、相手の話をよく聞いて理解し、それに対して自分の考えを発信するというコミュニケーション能力は、今、社会や企業でもっとも求められているものです。これは経団連などの調査を見ても明らかでしょう。
ある大学の先生とお話しをする機会があったのですが、「話しているときに、相手の目を見ない学生が増えている」という言葉を洩らしていました。また、ある企業の経営者に求める人材像を尋ねたら、「挨拶ができる人」とシンプルに言い切りました。
人の目を見て話す、挨拶をする。これはコミュニケーションの基本ですが、一朝一夕では身につきません。小さい頃からの積み重ねによって培われるものだからこそ、子どもとの会話を大切にしてほしいですね。

子どもはとてもやさしい、親も努力して会話しよう

かつて、日本の家は大家族で暮らすのが当たり前で、地域には親戚も多く、隣近所との付き合いも活発でした。子どもにとっては、親だけではない"斜め"の人間関係が普通に存在しており、大人という他者に触れ合う機会が豊富にありました。
しかし、都市部を中心に核家族化が進むことで、親と子という"縦"の関係しかない家庭が一般的になりました。さらに、母親も外で仕事をする共働き世帯が増えている昨今、親と接する時間も減っているのが、子どもの置かれている現状です。
仕事でへとへとになって帰ってきて、子どもに話しかけられると、つい「後でね」「ちょっと静かにしていて」と言いたくなる気持ちもわかります。
でも、都内の小学校で、子どもたちに聞き取り取材をしていると、みんな親のことをよく見ていることに気づかされます。同時に、ものすごく気を遣っているんです。
「お母さん、疲れているみたいだから、あまり話しかけないようにしよう」
「気分を害してしまったかな」
子どもは親にすごくやさしいんです。だから、親もそのやさしさにがんばって応えてあげないと。話を聞かない状態が続くと「言っても無駄なんだ」と思って、なにも話さなくなってしまいます。
父親も、社員が減って仕事量が増えるという、昨今の労働環境を考えると、子どもと生活の時間帯を合わせられないのが現実だと思います。ならば、せめて休日は子どもと意識的に会話をしましょう。平日でも、朝食だけは子どもと一緒に食べる。そんな努力をしているお父さんもいますよ。

コミュニケーションを豊かにするための家づくり

会話をしよう、と繰り返し言っていますが、なにも特別な話をする必要はありません。その日の出来事、友だちの話、先生の話。日常的なことをたくさん聞いてあげることが、まずは大切です。
ただ、会話は場の影響を受けるものですから、家のつくりはよく考えたほうがいいでしょう。先ほど、昔の日本の家の話をしましたが、かつて、部屋を仕切るものはドアではなく、障子や襖という空間の境が曖昧なものが使われていました。 つまり、家族構成に加え、家のつくりも変わったことで、家族同士の気配が感じにくくなっていることもあるのです。
しかし、ある程度成長したら、子どものプライバシーも尊重してあげたい。となると、家族が自然と集まり会話できるような共有スペース、つまりリビングの場づくりがとても大事になってきます。

最近は、自室ではなくリビングで勉強をさせる習慣も浸透してきています。対面式のキッチンなら、親が料理しながら子どもに勉強を教えたり、手伝ってもらったりしやすい。そこから会話も生まれます。ちなみにお手伝いをする子は、要領や段取りを覚えるので賢くなりますよ。とくに料理はとてもいい。食育になるし、包丁を使わせると手先が器用になるからです。
また、リビングには地球儀や地図、百科事典、書籍などを置くようにしましょう。たとえば、テレビでトランプ大統領が出てきたら、アメリカはここ、ワシントンはここ、とすぐに地球儀で教えてあげられるからです。

漢字や算数などの学力だけではなく、子どもの知力や教養、知的好奇心を育む上で、こうした環境はとても大事です。「知る」ということは面白い。そういう空気を作りましょう。
これから、夫婦共働きの家庭はさらに増えていくはずです。学校から帰ってきたときに、お母さんがいないのは寂しいかもしれない。でも、会話で大切なのは時間ではなく、中身の深さと質です。子どもの毎日の出来事を、ちゃんと聞いてあげれば大丈夫。たくさんおしゃべりして、楽しく、自信をもって子育てしてほしいですね。

中村正史 (なかむら まさし)

長年にわたって教育・大学問題に携わり、『週刊朝日』記者時代に『大学ランキング』を企画し創刊。『週刊朝日』副編集長、『AERA』誌面委員などを経て教育・ジュニア編集部長に。『AERA with Kids』の編集長も務め、朝日新聞グループの教育関連媒体を統括。現在は、取締役デジタル本部長。

大増税時代だからこそ住まいづくりSUUMO編集長池本洋一

消費税増税が見込まれ、相続税も改正によって増税となったいま、それでも住宅を購入するとしたら、どんなことを意識したらいいのだろう。市場動向に精通しているSUUMO編集長 池本洋一さんに伺った。

●大増税時代に突入しつつある今、住宅へのニーズはどのように変化しているのでしょう。

現在の住宅市場のなかで堅調なのが、共働き世代と50歳以上のシニア世代のニーズです。共働き世代には、子どもが生まれると、子育てと仕事を両立させなくてはならず、それにふさわしい住宅を求める必然性があります。夫婦でペアローンを利用できることも大きいでしょう。一方でシニア世代の住み替えは、子どもが独立した後は自分たちの望む暮らしがしたい、あるいは老後の資金としての資産価値を期待するという思いがあるのでしょう。
この傾向はマンション市場でより顕著ですが、戸建て住宅でも同様の動きが見受けられますね。

●戸建て住宅も資産価値を意識するようになっているのですね。

資産活用というとマンションを連想するのに対し、戸建て住宅は一生住み続けるという感覚ですね。ところが、今は事情が少し変わりつつあります。というのも、人も住宅も寿命がとても長くなりました。以前なら子どもの誕生、進学や就職など、その成長を追いかけていればよかったのですが、今はその先まで考えなくてはなりません。両親の面倒を見るため実家に住む、仕事で海外赴任をするなど、不測の事態が起こることもあるでしょう。年金が減った後の老後の資金として、あるいは売却や賃貸せざるを得ないときの担保として、戸建て住宅にも資産価値が求められているのです。

●では、どんな住まいづくりを心がけたらいいのでしょうか。

箱と中身を分けて考えることが大切です。箱とは構造体などの建物部分で、耐震性や耐久性といった基本性能をしっかり確認する。その際、必要な性能は担保したうえでコストに合理性があるかどうかも、きちんと説明してもらうようにしたいですね。
中身は、やはりデザイン性でしょう。動線がコンパクトで家事の時短ができるなどの機能面はもちろん、内装や家具などに自分らしさを表現できるのか、この辺りも重要になってきます。
同時に、可変性も考えておくべきでしょう。たとえば、子どもが巣立った後の部屋を賃貸する、老いた親御さんや単身の兄弟姉妹と同居するなど、事情によっては異なる世代や世帯と暮らす可能性もあります。そうした将来を見すえながら、最小限のリフォームで対応できる間取りにすることも考えておきたいですね。

●建てて終わり、ではなく、その後のことも重要ですね。

今、中古住宅の流通において問題になっているのは、性能の証明、つまりエビデンスです。それがなければ取引ができず、中古流通のネックの一つになっています。ですから、今後は性能を数値的に証明するエビデンスがとても重要になるはずです。せっかく長期優良住宅の認定を受けたとしても、その後の維持管理やその履歴がなければ、資産価値が正しく評価されない可能性もあります。メンテナンスや保証について十分なサポート体制があるかどうかは、ぜひ確認してほしいと思います。
大事なことは、お金のことも含めて、いかに納得できる説明をしてもらえるかどうかですね。

●将来を見すえた住まいづくりが大切なのですね。

先ほど申し上げたように、人も住宅も寿命が伸びています。直近の事情だけを考慮するのではなく、20年、30年先を意識してほしい。その際に重要なのが、お金の問題です。日本人は奥ゆかしいせいか、親子で互いの資産について話し合うことが少ないのですが、気持ちよく次の世代へ引き継ぐためにも、互いの状況を把握することは大事です。家を建てるというのは、まさにそのグッドタイミング。親子みんなでお金と暮らしについて話し合っていただきたいと思います。

池本洋一(いけもと・よういち)

1995年上智大学卒業、同年株式会社リクルート入社。「都心に住む」編集長、「住宅情報タウンズ」編集長、「SUUMOマガジン」編集長を経て、2011年より「SUUMO」編集長に就任。消費者、不動産会社、賃貸オーナー向けの講演、業界新聞での連載、マスメディアを通じて住まいのトレンド発信を行う。2013年より国土交通省「中古住宅市場流通活性化ラウンドテーブル」委員。

長寿社会の二世帯住宅住宅資産研究所倉田剛

税制改正による相続税の優遇措置もあって、「二世帯住宅」に関心が高まっている。具体的にはどんなメリットがあるのだろう。そして高齢化社会の「共住」はどう変わっていくのだろう。住宅資産研究所主宰の倉田剛さんにお伺いした。

強まる同居志向、資金面でもメリット大

人々が「絆」の大切さを見直すようになった今、家づくりにおいても親子二世帯の同居志向が強まっている。ひとつ屋根の下で子ども家族と暮らしていれば、老いていく親は何かと心強いし、子どもにとっても日頃から親の健康状態がわかるので、介護が必要になったときも早めに対応できる。子育ての面でも安心だ。昨今は夫婦共働きの家庭が多いが、親に子どもの面倒を見てもらえれば心置きなく働けて、保育所の待機児童問題などで悩むこともない。一方、親は孫の成長と向き合える喜びがあり、暮らしにメリハリも生まれる。孫にとっても、祖父母とのふれあいから得るものは貴重だろう。
「資金面で考えても二世帯住宅にするメリットは大きいですね。実家を建て替えれば土地代がかからず、土地から購入する場合も1軒分でいいから安くすみます。建築費用も別々に建てるより軽減できますから」と倉田剛さんは語る。

小規模宅地の特例が緩和、二世帯住宅が相続税対策に

さて、2013年度の税制改正で、2015年1月より相続税の基礎控除額が大幅に引き下げられ、路線価の高い都市部では相続税の負担が大きく増えると予想されている。一方で二世帯住宅の宅地相続については優遇特例の要件が緩和されたことから、今、有利な相続税対策としても二世帯住宅が関心を集めている。
優遇特例とは「小規模宅地等の特例」と呼ばれるもので、子が親と同居していた住宅の宅地を相続する場合、適用条件を満たせば一定の面積まで相続税の評価額が80%減額されるというもの。この適用面積が330㎡に引き上げられたのだ。
それだけではない。二世帯住宅といっても、玄関やキッチンや浴室を共有する「完全同居型」、玄関は1つで他は別々の「玄関共用型」、玄関からキッチン、浴室まですべて独立した「完全分離型」といったさまざまなタイプがある。これまで内部で行き来できない「完全分離型」の場合、同居とはみなされず、優遇特例が受けられなかった。「完全分離型」でも優遇特例の対象となり、二世帯住宅の設計を考える上で選択肢が広がったのだ。将来、親が亡くなって相続した場合、完全分離型で建築した二世帯住宅なら、親が使っていた居住部分を賃貸に転用して資産の有効活用を図ることもできるからうれしい。

民間リバースモーゲージで老後の経済的自立を実現

長寿命社会では高齢者の経済的自立が求められる。それを支援する仕組みとして、倉田さんが推奨するのが、持家を年金化する「リバースモーゲージ」だ。
「自分の家に住み続けながら、その家を担保に老後の生活資金を年金の形で借り入れ、死後に一括返済する仕組みで、欧米では古くから普及しています」
ただし、日本では認知度が低く、利用件数も少ないのが現実。厚生労働省の公的制度リバースモーゲージもあるが、生活困窮者を対象にした適用要件になっているため、この先も利用は限定的だろう。そこで倉田さんが新たに提唱するのが「個人型リバースモーゲージ」ともいうべき持ち家活用である。
「持ち家を相続財産とみなすのではなく、老後の家計を助ける経営財と考えるのです。具体的には、二世帯住宅を親子の共有名義で建てたら、きちんと契約を交わして親の持ち分を毎月割賦払いで子どもに買ってもらい、毎月収入を得ます。子どもは親からちゃんと購入したわけですから、兄弟間の不毛な相続争いも避けられます」

倉田さんは他人世帯との共住型リバースモーゲージも提案する。たとえば、今は離れて暮らす子ども家族と親が将来同居したい場合など、完全分離型の二世帯住宅を建てておいて、10年間の定期借家権で当面は他人家族に貸すといったプランだ。
「あるいは高齢者が境界壁を共有するテラスハウス型の二世帯住宅を他人と区分所有で建てる。生前に持ち分をその人に割賦払いで購入してもらい、死後に引き渡すといった契約も個人的なリバースモーゲージとして検討できます。フランスでは18世紀頃からこうした契約が老後の生活資金調達の自助的な手法として定着しています」
本格的な少子高齢化社会を迎えた日本。老後の居住福祉を考えるとき、今後は他人世帯との共住も積極的に視野に入れた方がいいと倉田さんは説く。血縁関係を超えて人と人が心豊かにつながり、支え合って暮らしていく。「二世帯住宅」という建て方には、そんな未来型の居住福祉を叶える可能性も秘められているといえるだろう。

倉田剛(くらた・つよし)

1944年生まれ。住宅資産研究所主宰。一級建築士・土地家屋調査士。法政大学経営学博士、愛知工業大学経営情報科学博士、日本大学法学修士。法政大学現代福祉学部・同校大学院非常勤講師。NPO法人リバースモーゲージ推進機構理事長。国際ジャーナリスト連盟会員。日本フリーランス・ジャーナリスト連盟会員。著書に『リバースモーゲージと住宅』(日本評論社)、『居住福祉をデザインする』(ミネルヴァ書房)、他

安心のシェアができる収入を生む家ファイナンシャルプランナー大竹のり子

賃貸併用住宅は家賃収入が得られるだけでなく、税制面でのメリットも大きい。ただし、忘れてはならないのが、借り手がつかない空室リスクだ。安定した賃貸経営を実現するためには、何に気をつければいい?

家が稼いでくれるのでローンの返済がグンと楽に

長寿国ニッポンで老後も末永く安心して暮らすには、どんな準備をしておけばいいのだろうか。期待できない公的年金、不透明な経済など、先行きに不安を感じる社会情勢のなか、解決策のひとつとして注目されているのが「収入型住宅」だ。住まいの一部を賃貸住宅や店舗にして、家賃収入を得る家づくりである。賃貸需要のあるエリアなら検討する価値は大きい。
そこで自宅を賃貸併用住宅に建て替えれば、具体的にどんなメリットが生まれるのかを、ファイナンシャルプランナーの大竹のり子さんに訊いてみた。
「まず、家賃収入をローンの返済に充てることができるので、負担が軽減できます。そして払い終われば、家賃がまるまる収入になりますから、老後の私的年金として役立てることができます。長い目でみて収入源を確保できるという観点で、検討する価値は高いでしょう」

会社員オーナーの所得税軽減もメリット

また賃貸併用住宅は、固定資産税や相続税など税制面のメリットも多い。特に会社員オーナーにとってうれしいのが、所得税の軽減だ。通常、会社員で給与所得しかない場合は、必要経費を計上することが認められていない。しかし、賃貸併用住宅から家賃収入を得ることによって、確定申告で必要経費が計上できるようになる。賃貸部分に相当するローンの利息や、建物・設備の減価償却費、さらに建物の固定資産税、賃貸の募集に係った費用、通信費などを、必要経費として税務上処理することができるのだ。

「ちなみに建物・設備の減価償却費は実際に支出を伴うわけではありませんが、大きな金額の必要経費と認められるのでお得です。年間の賃料収入からこうした必要経費を差し引いて、帳簿上、赤字になると、この赤字部分を給与所得と合算することができます。そうなると、赤字額に応じて所得税が軽減されるだけでなく、翌年の住民税も軽減されますから、節税効果は大きいですね」と大竹さん。

プライバシーや音にも配慮した設計プランに

もちろん、メリットばかりではない。一つ屋根の下に他人が暮らすとなると、やはり気遣いが必要になる。オーナーにしてみれば賃貸部分も含めて我が家だという意識だが、入居者はお金を払って住んでいる自分の城という意識だ。その意識のズレを理解して、プランを立てておきたい。
たとえば入居者の側にすれば、出入り口でオーナーとちょくちょく顔を合わせてしまうのが鬱陶しいこともあるだろう。建物のプランを考える段階で、自宅部分と賃貸部分の出入り口の方向を別々にするなど、アプローチの作り方を工夫しておけば、お互いに気兼ねなく暮らすことができる。

もうひとつ、気をつけたいのが生活音の問題だ。上下や隣からの騒音に悩まされると、オーナー家族の暮らしの快適さが損なわれてしまうだけでなく、入居者間のトラブルにもなりがちである。遮音性もしっかりと確保しておきたい住宅性能のひとつである。

立地条件を鑑みて採算性を十分検討しよう

賃貸併用住宅を建てるにあたって、最も忘れてはならないのが空室というリスクがあるということ。今は一昔前のように、どんな賃貸住宅でも「建てれば入る」という時代ではない。では、どのような点に留意すれば、空室を回避することができるのだろうか。
問われるのが敷地の立地条件だ。都市への通勤圏で、駅から徒歩圏内など、人が住みたくなるような場所であれば事業として成功する確率は高いが、もし立地に不利な点があるのなら、人気の設備を採り入れるなど、それを補う付加価値が必要になる。一度、自分が住んでいる土地のまわりにはどんな賃貸住宅が多いのかを観察し、住宅会社や近所の不動産会社に話を聞いてみたい。

「自宅の一部を利用するにしろ、賃貸経営を始めるわけですから、経営者意識を持って臨むことが大切です。特に将来、空室が続いたらどうするか、地震などの災害が起きてローンが返せなくなったときにはどうするかなど、万が一、想定通りにいかなくなった場合のシミュレーションも慎重に行っておくべきだと思います」と大竹さんは語る。
まずは住宅会社や不動産会社と連携して市場調査を行い、採算性を検討することから始めたい。

大竹のり子(おおたけ・のりこ)

1975年生まれ。編集者を経てファイナンシャルプランナーとして独立。女性による、女性のためのファイナンシャルプランニングサービスを実現したいとの想いから、2005年4月に株式会社エフピーウーマンを設立。現在、講演、執筆、テレビ・ラジオへの出演など多方面で活躍している。『一番やさしく株がわかる』(西東社)、『マネーセンスを磨けば、夢は必ずかなう!』(東洋経済新報社)などお金の分野での著書は30冊以上に及ぶ。日本FP協会会員、金融学習協会理事

街や自然とほどよくつながる住まいアーバンデザイナー猪狩 達夫

心地よい暮らしは、外とのつながりを抜きにしては考えられない。エクステリアの植栽計画にはどんな工夫が必要なのだろう。エクステリア&ガーデンアカデミー前学長の猪狩達夫さんにお話を伺った。

個人、家族、近隣、3つの小風景づくり

エクステリアデザインの目的は、①個人単位の小風景づくり、②家族単位の小風景づくり、③近隣単位の小風景づくりの3つに大きく分けられると猪狩達夫さんはいう。
「1つ目は、庭やバルコニーなど、個人と自然が対話できる空間づくり。植物を愛で、水やりや土いじりでやすらぐ『癒やしの景』です。窓辺に置く寄せ植えやハンギングバスケットもこれに入るでしょう。2つ目は、『団らんの景』。家族で屋外生活を楽しむスペースづくりです。みんなで菜園や花壇をつくったり、屋外パーティーなどミニイベントも開ける活動的なシーンですね。そして3つ目は、花と緑に彩られた街並みづくり。地域に根ざす『社会の景』です。家の前庭や花台・バルコニーを植栽や花鉢で飾り、隣人たちと共同で道路に面した生垣等を剪定管理することで、美しい街並みを創り出すことができます」。

常緑樹と落葉樹をバランス良く配置する

エクステリアをプランニングするときは、まずアプローチ、駐車場、門扉やフェンスなどの要素と住まいのつながりを考えて、機能的な動線を決めたい。ただし、アプローチは住まいの顔になり、街並みにも影響を与える存在なので、「路」としてとらえるだけでなく、潤い豊かな「空間」として演出することも大切だ。屋内の窓からどう見えるか、あるいは歩いてくる人の目にどう映るかなど、景色を意識して、アプローチを含めた庭づくりを進めたい。
「エクステリアに命を吹き込むのが植栽の緑ですが、ここで大事になるのが樹種の選定です。常緑樹ばかりを植えると暗さや圧迫感が生まれ、うっとうしくなりがちですし、かといって落葉樹だけだと冬は葉が落ちて寂しい風景になってしまいますから、バランス良く配置したいですね。花や実が楽しめる樹種を植えると、より豊かな表情になって楽しいですよ」

猪狩さんは「マイ・アウテリア」と称し、パーゴラ、デッキ、テラスなどを使った自然浴や団らんが楽しめるスペースづくりを提唱している。住宅まわりの空き空間を活用して、「瞑想空間」「夫婦の対話空間」「ミニパーティースペース」など、自分たちのライフスタイルに合ったスペースを創り出そうという提案だ。
「庭にウッドデッキやテラスを設ける場合は、どんな使い方がしたいのか、具体的なシーンを思い浮かべて計画すれば失敗がありません。たとえばバーベキューを楽しむなら、緑陰や日除けはどうしようか、何人集まるのか、テーブルからの眺めはどうか、水場は必要か...というふうに課題を明確にしていくのです」
また、隣地や道路との境界に塀をつくるときは、高さに気をつけたい。高いほど防犯に効果的だと考えがちだが、実はそうではない。いったん侵入されてしまうと外部から中が全く見えなくなるため、かえって逆効果になりかねない。透過性のあるフェンスや生け垣で、乗り越えにくい程度の高さにするのがおすすめだ。

壁面を上手に活用すれば、狭くても豊かな緑化が叶う

植物は温度が上がれば葉から水分を蒸発させ、気化熱によって周囲の温度を下げる働きがある。従って庭に樹木を植えたり、屋上緑化をすることによって冷暖房エネルギーが節約でき、都市のヒートアイランド現象の緩和にも役立つ。地表を低く覆う性質を持つササやシバなどの地被植物を植えるのも緑化に効果的だ。
また、落葉樹を窓の近くに植えれば、夏場は繁った葉で強い陽射しや放射熱の室内への侵入を防ぐことができ、冬場は落葉して暖かな陽だまりを室内に取り込めるので、エアコンだけに頼ることなく快適に暮らせる。

ただ、ゆとりのない植栽スペースに無理をして植物を植えても、環境が整わず立ち枯れさせてしまう恐れもある。そんな場合は、壁面を活用すると効果的だ。フェンスやブロック塀にツタなどのツル性植物を絡ませてもいい。
「壁から離してワイヤーメッシュを張り、緑化植物を這わせれば、小さな地面でも豊かな緑化ができますし、植物の根で建物を傷めることもありません」と猪狩さんはアドバイスする。
エクステリアと建物は切り離せない関係だ。一体にデザインすることで美しいハーモニーが生まれ、心地よい住環境が得られる。敷地条件や建物の設計にマッチした外構プランを描き、枕木やレンガ、テラコッタといったエイジングが美しい素材と植栽を組み合わせて、年月を経るほどに味わいを増す佇まいを創り出してはいかがだろう。

猪狩 達夫(いかり・たつお)

アーバンデザイナー。エクステリア&ガーデンアカデミー前学長。1959年早稲田大学建築学科卒業。菊竹清訓設計事務所に入所。カナダに渡り、トロント大学大学院アーバンデザイン専攻修了後、ロンドン滞在を経て帰国。1968年より大阪で都市計画に携わる。1972年、(株)イカリ設計を設立。2000年、兵庫県より「人間サイズのまちづくり・街並み設計賞」受賞。著書『戸建て集合住宅による街づくり手法』、編著『イラストでわかるエクステリアデザインのポイント』など。

  • 連載「住まいとお金」ファイナンシャルプランナー 久谷真理子
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