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ファイナンシャルプランナー 久谷真理子「住まいとお金」

●住まいとお金 コラムニスト

池田里美(いけださとみ) 株式会社フリーダムリンク
税理士、ファイナンシャルプランナー。
税理士事務所、大手商社経理部で勤務後、現在は相続・不動産関連の税務、コンサルティング、住宅関連サイトでの執筆、セミナー講師などを務める。

【第66回】遺言

2020/06/11 11:00

二世帯住宅を建てて親子で同居したいが、同居しない他の兄弟がいるなど、将来遺産分割をするときのために配慮をした方がいい場合があります。

そのような時に役立つ手段の一つである遺言について見ていきます。


1.公正証書遺言と自筆証書遺言

代表的な遺言は2種類あります。1つは公証役場に行って作成してもらう公正証書遺言と、自分で自由に書ける自筆証書遺言です。この2つについて比較してみます。

公正証書遺言
遺言の内容を公証人に伝え、公証人が遺言書を作成する方法です。この時、客観性を保つため、証人が2人以上必要です。この遺言書は公証役場で保管されるので、紛失や偽造、改ざんなどの心配がなく、安全です。また、相続がおこり遺言書を開封する際、相続人が裁判所に出向いて遺言書の存在と内容を確認し、その後の偽造変造を防止するための「検認」の手間がありません。
ただし、作成時の手続きが煩雑で、費用もかかります。作成費用は、遺言書にある財産の額に応じて定められており、例えば9,000万円を3人で等分に相続させる遺言であれば、最低でも8万円かかるなど、数万円単位で費用がかかってきます。

自筆証書遺言
遺言書を自筆で作成し、自分で保管しておく方法です。証人も費用も必要ありません。しかし、知識がないと形式に則っていないなどの不備も起こりやすく、遺言書の保管は自分で行うため、紛失や偽造、改ざんなどのトラブルも発生しやすくなります。また、相続が起こった際、開封するときには裁判所の検認が必要となります。

2.自筆証書遺言が使いやすくなる

今年(2020年)の7月10日から、法務局による自筆証書遺言書保管制度が始まります。遺言書を自筆で作成することは変わりませんが、作成した遺言書を法務局に預けることができるようになるのです。このため、紛失や偽造、改ざんの心配がなくなります。また、預ける際、その遺言書が形式通りに書かれているかの簡単なチェックが受けられ、また、相続人も、開封するときの検認の手続きが不要になります。
預ける際の手数料は3,900円、相続開始後の閲覧などの申請料も内容により800円~1,700円となっています。
※財産目録はパソコン等でも可

3.遺言も万能ではない

基本的に遺言者の自由に財産を分けることができますが、財産を受け継ぐ側にも一定の額を受け取る権利が保障されています。これを「遺留分」と言います。例えば、3人の子どもに相続の権利がある場合、子どもたちにはそれぞれ遺産額の6分の1ずつ遺留分があります。子どものうちの1人に全ての財産を相続させようとしたときに、他の2人がそれに納得していればよいのですが、感情がこじれて自分たちの遺留分を請求すれば、その請求した相続人たちへその遺留分に相当する金額を支払わなくてはいけなくなる可能性があります。
この遺留分は、配偶者と直系卑属、直系尊属にはありますが、兄弟姉妹には認められていません。

昔に比べて終活の一環としての遺言は身近になってきました。法務局による自筆証書遺言書保管制度によりさらに使いやすくなりそうです。遺言書があれば全てが解決するわけではありませんが、マイホームなどのように分けられない財産がある場合の、将来の「争族」を避ける有用な手段の1つであることに間違いはないでしょう。

文/ 池田 里美

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