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ファイナンシャルプランナー 久谷真理子「住まいとお金」

●住まいとお金 コラムニスト

池田里美(いけださとみ) 株式会社フリーダムリンク
税理士、ファイナンシャルプランナー。
税理士事務所、大手商社経理部で勤務後、現在は相続・不動産関連の税務、コンサルティング、住宅関連サイトでの執筆、セミナー講師などを務める。

【第68回】同居していなかった場合の救済措置

2020/10/08 11:00

前回ご紹介した小規模宅地等の特例は、相続税の課税価格を計算するときに、課税価格が大幅に減額される制度です。二世帯住宅で同居している場合には、この特例の適用を受けられる可能性が高くなりますが、やむを得ず同居できなかった場合でも、適用を受けられることがあります。


同居を念頭に規定

小規模宅地等の特例は、相続による相続税の負担が原因で、同居している人が住む場所を失わないようにするという趣旨で制定された規定です。ですから、基本的に被相続人と相続人が同居していることが前提となっています。
2014年1月1日以降の相続から、同居の定義が実態に合わせて広がりました。外から見て1棟の建物で区分所有登記でなければ、中で行き来できずお互いの居住空間が完全に独立していても同居と認められます。
二世帯住宅を、同居するお互いのライフスタイルを尊重した間取りやそれぞれの好みのデザインで設計し、かつ相続の際は上記の条件を満たせば、特例を受けることができるようになっています。

やむを得ず別居している場合の救済措置

何らかの事情やタイミングで被相続人と同居できなかった場合でも、いずれは被相続人の土地に住むつもりだったことが第三者から見ても明らかなときには、同居をしていなくても特例が適用できるような救済措置があります。
例えば、1人暮らしの被相続人と同居はしなかったが、近くで賃貸住宅を借りて面倒を見ており、ゆくゆくはそこに住むつもりだった、といった場合には、特例の適用の可能性が高くなります。
また、転勤や海外赴任などにより会社の寮や社宅に入っていたタイミングで、1人暮らしの被相続人に相続が起こった場合なども、適用の可能性が高くなります。
しかし、世の中で「家なき子特例」とよばれるこの救済措置は、規定の乱用により過度な節税対策が横行したため、現在では適用できる要件が厳しく、かつ複雑になっています。
自分が「家なき子」の要件に当てはまるかどうかは、専門家に確認するようにしてください。

適用を受けようとする場合は専門家に相談を

小規模宅地等の特例は、相続税の負担が大幅に軽減される制度です。適用できる条件に当てはまるようであれば是非とも使いたいものです。そのためには、自分たちの状況が条件に当てはまっているのか、また、実際に相続が起こった時にはどんな手続きが必要なのかを正確に把握しておく必要があります。
またよくあるのが、相続税の試算をしたところ、小規模宅地等の特例を適用すると課税価格が基礎控除額を下回るため、税金の負担がなくなることから申告をしなかった、というものです。この特例は、それを適用したことにより相続税を払わなくてよくなった場合であっても、申告書の提出は必要となります。こういった適用のための手続きの確認も含めて、相続が起こった際には専門家に相談されることをお勧めします。

いかがでしょうか。さまざまな事情により親子親族で同居ができなかった場合でも、いずれはその土地の上で生活をするつもりであれば、相続の際の救済措置に当てはまることもあるかもしれません。ぜひあきらめずに専門家に相談していただきたいと思います。

文/ 池田 里美

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