[東京都 Oさま邸]
2階バルコニーの存在が印象的なOさま邸。ガレージ部分は、将来、介護などが必要になった際は居室にも変更できるよう考えられている。
閑静な住宅地に建つ3階建ての住まいには、Oさま夫婦と、奥さまのご両親、8歳と6歳の娘さんの6人が生活している。玄関はひとつ、キッチンや浴室も共用する完全同居型の二世帯住宅だ。
1階の和室は親世帯のリビング。子どもたちもお気に入りの場所だとか。置き畳にしたのは、将来的な可変性を考えてのことだ。
最初は、キッチンや浴室を世帯ごとに分ける案も出たそうだ。けれどもご主人・ご両親とも一緒がいいとの意見。中心になってプランづくりを進めた奥さまは「思いが一致してよかったです。でもその後、具体案に入ってからは、細かい部分までそれぞれの希望が出て、調整は大変でしたね」と。
ひとつの世帯なら、物事を決定するのは早い。しかし二世帯で一軒の家を建てるとなると、双方の生活文化の違いも出てくる。どちらか一方だけが我慢することはなるべく避けたい。
「結局、キッチンは母、主寝室は夫というように、その空間を主に使う人の意見を尊重しながら全体のイメージを固めていきました」
完成した住まいは統一感のある明るい雰囲気。暮らす人それぞれの動線を考えたつくりは、とても快適そうだ。共用部と各世帯の空間、個人の空間が違和感なく溶け合い、互いの気配を感じる仕掛けも随所に施されているのがわかる。
2階のリビングダイニングは親世帯・子世帯の共用空間。食事のときだけではなく、いつも家族が集まる空間になっている。
広い玄関を入ると、1階は主に親世帯が使う空間。庭に面した和室は両親のリビングであると同時に、子どもたちの遊び場や客間にもなる。家族は皆、玄関と行き来するたびに開け放った引き戸のそばの廊下を通る。奥にはお父さま・お母さまそれぞれの個室がある。
2階は二世帯共用の場だ。階段を上がるとすぐに洗面と浴室。これは、両世帯が気兼ねなく使えるように考えられた配置だ。
普段、キッチンを預かるのはお母さま。奥さまは晩に仕事から戻ると家事を交代する。
「2人でキッチンに立つことも考えましたが、母娘でも家事のやり方は違います。母が中心と割り切ったほうがいいとわかりました」
小さい子どもがいると、リビングはどうしても乱雑になりがちだが、「両親も過ごす場所なので、なるべく落ち着いた雰囲気にし、収納もかなり計算しました」
子ども部屋はリビングの横に。家事をしながらも子どもたちに声をかけられる位置だ。
3階は子世帯専用。階段上部にはご主人の書斎があり、横を通る家族とは必ず顔を合わせるつくり。
奥の主寝室は、子世帯のセカンドリビングとしても機能する。夜、親世帯が1階に下りた後は、ここでゆっくりとテレビなどを見て過ごすことが多いという。
完全同居ならではの工夫豊かな住まいには、家族が互いに思いやる、さりげない知恵が満ちている。
3階に上がると、階段上の小屋裏部分にはご主人の書斎がある。階段と手前床との間の壁は全面をガラスにして開放感を出した。
所在地 | 東京都 |
---|---|
家族構成 | ご夫婦・お子さま2人・ご両親 |
敷地面積 | 110m² |
延床面積 | 181m²(1階 63m²、2階 64m²、3階 53m²) |
---|---|
建ぺい率 | 59% |
容積率 | 164% |
子ども部屋はLDKから見える位置。ここは2人の娘たちの遊び場兼勉強部屋。大人たちがリビングで過ごしていても様子がわかる。
3階の子どもたち用寝室。扉は1間半分の引き戸にし、通常は開放している。中高生になったら、また使い方も変わっていくだろう。
3階の広い主寝室は子世帯のセカンドリビング。ご主人の好みの都会的なインテリアで揃えた。親世帯は3階には上がらないルールにしている。
ダイニングの外のバルコニー。柵をルーバーにしたのでカーテンは不要。子どもたちと育 てている野菜も常に見える。
1階和室の外には、和の風情の小さな庭をつくった。水鉢も据え付けてある。
和室の2面は光を透かす引き戸。ふだんは開け放って廊下部分と一体感を出す。
2021.1.142021:01:14:11:00:00
古い時代の面影を残す「小正月」の行事 せわしない現代こそ見直したいもの
2021.1. 72021:01:07:00:00:00
新しい日常を安心して子育てができる住まいとはAERA with Kids編集長江口祐子
2020.12.242020:12:24:11:00:00
自宅でのんびり派も、カウントダウン派も年越しは歴史いろいろ人それぞれ
2020.12.172020:12:17:11:00:00
忙しいご夫婦のための、癒しスポット
2020.12.102020:12:10:11:00:00
水平ラインが際立つ風格あふれる佇まい 上質感漂うLDKで美意識が高まる暮らしを