「路地に昔懐かしい下町の風情が残っていて、散歩しているだけで楽しい」と長谷さん。
「人形町」は歴史と伝統が息づく東京の粋な下町。水天宮を中心に七福神を祀る神社が点在し、明治座や浜町公園に抜ける甘酒横丁には江戸時代から続く伝統工芸店や味な老舗が多く残る。パリで16年、ロンドンで1年半の長い外国暮らしを終えて日本に戻った長谷直美さんは今、そんな下町の魅力にどっぷりとはまっている。
「東京生まれなのに、実は人形町に来たことはなかったんです。帰国後、初舞台を水天宮近くの劇場で踏むことになったので、稽古の合間にぶらぶら歩いてみたら、今どき珍しくコンビニもスーパーマーケットもあまり見かけなくて、昔ながらのお店が活気いっぱい。外国帰りのせいか、すごく新鮮でカルチャーショックでした」
最近は馴染みのお店も増えてきたという長谷さん。知らないと見逃しそうなカフェやお気に入りのすき焼き屋、和菓子店、漬け物屋...。路地の小さな居酒屋で、隣り合わせた地元の人とお喋りしながらお酒を楽しむこともしばしばだ。
「人形町なら素顔のままサンダル履きで歩いても平気ですね。住んでいる人も気取りがなくて人情味豊かだから、自然にうちとけられて心がホッとなごみます」
長谷さんが帰国後に初舞台を踏んだ劇場「BASE KOM」の入口。「太陽にほえろ!」の脚本家、柏原寛司さんの監修で「ハローダーリン!」が上演された。
すっかり下町派になった長谷さんは、最近、人形町まで電車で5分の駅にある新しいシェアハウスに入居して、20代の女性二人と一緒に生活している。
「パリを出るときに家財を全て処分したので、今の私の持ち物はトランク3つだけ。シェアハウスを選んだのは、家具から食器まで生活用具がすべて揃っていて、身一つで暮らせるからなんです」とサバサバした表情だ。
6畳の個室にはベッド、デスク、クロゼットが備え付けられ、共用のキッチンや浴室も広くて快適だ。みんながくつろぐリビングには大型テレビや録画機もあり、冬は炬燵も用意されるという。
「まだ入居したばかりなので、同居の女性たちとは挨拶を交わす程度ですが、すぐに仲良くなるんじゃないかな」と楽しそう。
劇場の上にあるカフェ「三日月座」。昭和レトロな雰囲気の店内に写真や絵画が展示されていて、舞台関係者や役者にも愛されている。
長谷直美 (はせ なおみ)
東京都大田区生まれ。17歳の時にミス・エールフランスコンテストで入賞し芸能界へ。1974年、シングル『私は天使じゃない』でレコードデビュー。1976年、TVドラマ『俺たちの朝』のヒロイン役で脚光を浴び、以後『太陽にほえろ!』をはじめ、数々のヒットドラマで人気を博す。結婚を機に一線を退き、1995年、フランス・パリに移住。2011年よりロンドンの演劇学校で学び、演劇教師の資格を取得。2012年、日本に帰国し、同年10月、初舞台『ハローダーリン!』に出演する。
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